405.奴隷救出
穴の奥に、侵入を開始した。
俺に続いて、アヤとエレナとヒルダも鉱山の中に入ってくる。
入ってすぐのところに、10人の子供たちを発見した。
全員小学生くらいの女の子だった。
彼女らは、ブルブル震えながら、
濡れた体を温め合うように、皆で身を寄せ合っていた。
「助けに来たぞ」
そう言って俺たちが近づく。
しかしなぜか、子供たちは微妙な表情を浮かべている。
どうしたんだろう?
「も、申し訳ありません、ここには私たちしかいません」
子供たちのひとりが、そう返事をした。
ん? この子たち、何言ってるんだ?
意味がわからない。
「どういうこと?」
俺が質問すると。
「す、すみません!
ここには奴隷しか、いないんです」
「知ってるよ?
だから、その君たちを助けに来たんだろ」
「え?」
今度は子供たちが、
頭の上にハテナを浮かべている。
どうやら、奴隷の身の自分たちを、
誰かが助けに来てくれるとは、まったく思っていなかったらしい……。
そうか……、
奴隷って、もともとはこういう扱いが当たり前だったんだな。
ふと見ると、ヒルダが悲しそうな表情を浮かべている。
もしかしたら、この中に知り合いとかもいるのかもしれない。
「細かいことはどうでもいいから、
つべこべ言わず、ついてこい!」
「あ、はい……」
俺たちは、子供たちを連れて鉱山を脱出した。
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「エレナ様、申し訳ありません。
この避難所はいっぱいでして、
これ以上、しかも奴隷なんかを避難させる余裕はありません」
泥だらけで現れたエレナは、最初は疑われていたが、
なんとか本人だと分かってもらった。
しかし、10人の子供たちを避難させてほしいというお願いは、
断られてしまった。
仕方ない、他の街に避難させるか。
今度は、王都の城にやってきた。
「エレナ様! そのようなお姿でどうされたのですか!」
ライルゲバルトが、エレナの泥だらけの姿を見てびっくり仰天している。
「私のことはさておき、この子供たちをお城に避難させてください」
「申し訳ありません、警備上の問題がありますので、
エレナ様のたのみでも、それはできかねます」
こいつ、こんな事態で、まだこんなことを言っているのか……。
お前らがピンチになっても、俺は絶対に助けないからな!
今度は、リルラのところへやってきた。
「というわけで、この子供たちをここに避難させてくれ」
「そんなことよりセイジ、泥だらけではないか!
私が……」
「俺のことはどうでもいい。
ってか、泥だらけなのは俺だけじゃないだろ」
「あ、エレナ様まで泥だらけで!」
リルラは、時々なぜかまわりが見えなくなることがあるよな。
なんでだろう?
「避難は構わないが、
まずはその泥をなんとかしないと」
そう言えばそうだな。
「ここには風呂はないのか?」
「あるのだが……。
避難している者たちが順番に使用していて、
奴隷を優先させることは、さすがに……」
順番待ちなら仕方ないな。
「じゃあ、俺の家の風呂を使うか」
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こっちの世界を見せるのは、あまり良くないことだけど、
緊急事態だから仕方ないよね。
俺は、ひとりだけ先に家に戻ってきて、
リビングにレジャーシートを敷いておく。
そして、泥だらけの皆を、その上に【瞬間移動】で連れてきた。
そうしないと、部屋中泥だらけになっちゃうからね。
子供たちは、みんなビックリしていたが、
予め、静かにするように言っておいたので、
10人全員が、一言もしゃべらない。
逆に静かすぎて怖いくらいだ。
「それじゃあ、アヤ、エレナ、ヒルダ、
皆をお風呂に入れてやってくれ」
「はーい」「「はい」」
俺は異世界に戻り、
バケツを引っくり返したように振る雨を使って、
適当に泥を落とす。
戻ってくると、俺の家は戦場と化していた。
ヒルダが、泥だらけの子供を1人ずつ風呂場に連れていき、
アヤが、風呂場でその子を洗い、
エレナが、髪を乾かしてあげて服を着せる。
そんな流れ作業が出来上がっていた。
「セイジ様、服が足りません」
そうだよね、泥だらけの服をまた着せるわけに行かないもんね。
「お、おう」
俺は、自分のTシャツをだした。
「これでいいか?」
「大きすぎますけど……なんとかします」
確かに、子供たちに男物のTシャツは大きすぎる。
肩幅が大きすぎて、胸元が空いちゃうし、
丈も長すぎて、完全にワンピース状態だ。
エレナは、パックリと開いた胸元と腰回りを、
リボンでなんとか整えて、
子供たちを、かわいらしく仕上げていった。
「セイジ様、あの……、
し、下着が足りません」
どうやら、奴隷にそのような高価なものは履かせてもらえてなかったらしい。
「うっ、さすがに女の子の下着は、
俺には、どうもできないな」
「そうですよね……」
うーむ、
コンビニなら、パンツも売ってるかな?
けっこう夜遅くなので、
ヒルダやエレナに行かせるわけにはいかない。
ちょうどアヤが、全員を洗い終わって風呂から出てきたので、
アヤに振ることにした。
「アヤ、パンツが足りないんだってさ、
金を渡すから、コンビニで買ってきてくれ」
「え~、兄ちゃんが買ってくればいいじゃん」
30歳DTに女物のパンツを買ってこいだと!
何と恐ろしいことを言う奴だ。
「あ、兄ちゃんじゃ無理か」
なんとか、俺の表情で察してくれたらしく、
アヤは、コンビニまでパンツを買いにいった。
さてと、
なんとか一段落したけど、
1LDKに14人は、さすがにきついな。
早く、パンツを履かせてリルラの所へ連れて行かないと。
でもさ、
君たち……。
パンツが、まだ到着してないんだから、
Tシャツいっちょで、体育座りはダメだよ~。
ご感想お待ちしております。
※ちょとあれだったので、冒頭部分をちょっと修正しました。




