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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
王国の危機編
411/438

401.山雨来らんとして、風、楼に満つ


 ヒルダはレイチェルさんのところへ、

 エレナは王様のところへ、

 アヤはロンドのところへ、

 そして、俺は、リルラのところへ……。


 みんな、お泊り……。


 なんてことは、あるはずもなく、

 俺は、帰ってきた。



 今日は、家で一人か~。



 と、思ったら――。


 エレナとアヤも帰ってきていた。



「あれ?

 2人とも帰ってきたの?」

「当たり前じゃん、

 ロンドのところになんて、泊まらないよ」

 まあ、そうか。


「エレナは、どうして泊まってこなかったんだ?」

「だ、だって……、

 お父様が……、

 私の帰ってきたお祝いに、パーティを開こうとしていたので、

 逃げてきちゃいました……」


 王様、そんなことしようとしてたのか。




 まあ、そんなことはさておき。


「2人とも、向こうの様子はどうだった?

 何か変わったこととか、気づいたこととかなかった?」


「王都は、特に変わった様子はありませんでした」

「ニッポも、特に変わったってことはないんだけど……」

「けど?」



「街が、なんだか、みょ~なふいんき(・・・・)なんだよね~。

 何か~、雲行きが怪しい感じっていうか~、

 何かが起こりそうな、そんな予感がするような~」


 アヤの話は、ぜんぜん要領を得ないな。


 明日の朝にでも、ちょっとだけ様子を見に行ってみるかな。



「あ、もう一つ、困ったことがあったよ」

「ん? 困ったこと?」


「うん、

 ニッポで暇な時に動画を……じゃなくて、

 ネットで調べ物をしてたら、

 途中で止まっちゃったことがあったよ。

 電波が弱くなったりしてるんじゃない?」


「アヤ……こんな時に動画なんてみてるんじゃないよ!」

「ちがうし! 調べ物してたの!」



 まあ、家のwifiルーターに5台も繋いでるからな~。

 電波の強いやつに買い換えないと、まずいかも。


 緊急事態の時に電波状況が悪くなっても困るし、

 早めに対応しておくか。



「分かった、

 じゃあ、今からポチッとく。

 明日の午前中に届くように注文するから、

 エレナ、悪いけど明日は午前中は留守番しててくれ」

「了解しました」



 さっそく、オフィスとかでも使えそうな高めのwifiルーターを、

 超お急ぎ便で注文しておいた。



「セイジ様、

 私も、1つお願いがあります」

 エレナがお願いとか、珍しいな。

「何でも遠慮なく言ってくれ」


「王都だけじゃなく、他の街も気になるので、

 それぞれの街へ行ける【瞬間移動の魔石】を、作っていただけないでしょうか」


「なるほど、わかった。

 明日までに用意しておく」

「ありがとうございます!」


 もう夜も遅いけど、

 エレナの頼みとあらば、やらないわけにはいかない。



 その日は、夜遅くまで、実際に各街をまわって、

 エレナ、ヒルダ、アヤの3人分の【瞬間移動の魔石】セットを作った。


-----


 翌朝、早起きして、

 出社前にニッポの様子を見に行ってみた。



 たしかに、妙な雰囲気が漂っている。


 雲行きが怪しい……、

 っていうか……、

 今にも雨が降りそうな感じだ。


 そして、風が強い。



 そういえば、

 ここ2,3日ずっとが強かったな。


 開拓村では民家が倒壊してたし……、

 シンジュの街のリルラの屋敷でも、ドアがギシギシしてたし……。



 ……。



 あれ?

 もしかして……。



 ドレアドス王国の危機って、

 ……【台風】、とかじゃないよな?


-----


 家に帰ってくると、

 アヤとエレナが、出かける準備をしていた。



「セイジ様、こんな朝早くからどちらへ行かれていたんですか?」

「ちょっとニッポの様子を見にいってた」


「何かわかりました?」

「ああ」



「え? 兄ちゃん、何か分かったの?」


「多分だけど……、

 台風・・が来るんじゃないかな?

 今回の危機も、そのことかもしれない」


「台風?

 確かに、そう言われてみるとそんな感じだったかもしれないけど……。

 台風くらいで国が危機になったりしないから、今回のこととは別なんでしょ?」



「いや、そんなことはない。

 エレナ、ドレアドス王国には、台風が来たりすることもあるのか?」

「いいえ、

 台風のことは、勉強しましたけど、

 あんなに凄まじい嵐がドレアドス王国にあったという話は、

 いままで聞いたことがありません」



「つまり、台風に対する備えは、当然していないということだな」

「はい」



 備えを全然していないのなら、けっこう被害がでるかも。


 そう考えてみると、マップ上に出た注意を示すエリアも、ある程度合点がいく。



 エビスとシナガは、注意を示す場所がどちらも山沿いなので、

 大雨による土砂崩れがあるんじゃないかな?


 トキの街は、海沿いだから、高潮かな?


 イケブは、日の出の塔の周辺だから、

 ビル風(・・・)的なものが発生するのかも。



 一番被害が大きそうなニッポと開拓村はどうだろう?


 この前印刷した地図をもう一度よくみてみると、

 ニッポの近くに川がある。

 これは、洪水・・かもしれない。




 予想でしかないけど、

 事前にわかっていれば、それなりに準備ができるかも。


 被害が予想される範囲に住んでる人を、予め避難させておくとか、

 食料などを用意しておくとか。



「兄ちゃん、台風がくるなら、私たち何をやればいいの?」


「まずは、一番被害が大きそうなニッポかな、

 きっと川が反乱して洪水が起きるんだろうから、

 川の土手を整備して、洪水が起きないようにする」


「えー、台風がもうすぐ来るかもしれないのに、

 今から、それをやるの?」


「【土の魔法】を使えば、応急処置くらいはできるんじゃないか?」

「あ、そうか」




 まあ、台風だったとしても、

 国の危機となるほどの威力だとすれば、

 かなりの規模になるはずだ。


 ここは気を引き締めていこう。


ご感想お待ちしております。

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