400.パッドをツンツン
ドレアドス王国のことはアヤとエレナにまかせて、
俺は会社にいった。
国の危機なのに会社に行くのかって?
あたりまえだよ、怒られるじゃん。
2人には、ヒルダと同じように、
【魔石コンセント】と、【どこでも通信魔石】を持たせてある。
これで、通話やメッセージのやり取りができる。
エレナは王都に、アヤはニッポの街へ行ってもらった。
王都はドレアドス王国の中心だし、
王様もいるし、誰かいたほうがいいので、エレナに行ってもらったわけだけど……。
エレナが帰ってきたと、王様が大喜びしているので、少し腹が立った。
王国の危機はどうしたんだ?
ニッポは、一番被害が大きそうなので、アヤに行ってもらった。
短大は、まだ夏休み中だしね。
アヤが来てくれたと、ロンドが大喜びしている。
お前も浮かれてるんじゃないよ!
お前の街、がんばらないと滅ぶぞ?
もちろん、ヒルダにも事情を説明し、
そのまま開拓村にいてもらっている。
3人と俺は、スマホで連絡を取り合って、情報を共有しているのだが……。
どうにもリルラとの連絡が取りづらくて問題がありそうだ。
仕方がないので、
昼休みに家電量販店に行って、とあるタブレットPCを購入してきた。
いわゆるwifiモデルというやつだ。
【どこでも通信魔石】のおかげで、どこでもwifiがつながるし、
スマホみたいに維持費もかからなくていいよね。
電話はかけられないけど、無料通話アプリを入れておけばOKだ。
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そんなこんなで、終業時間がやってきた。
残業もせずに、すぐにリルラのところへ向かった。
「よう、リルラ。様子はどうだ?」
「セイジ! 大丈夫だ、まだ何も起こっていない」
「今日は、いいものを持ってきたぞ」
「セイジが私に!? プ、プレゼントか!!?」
ずいぶん嬉しそうだな。
友達からプレゼントをもらったことがないのかな?
リルラは友達が少なそうだし、仕方ないか~。
まあ、俺もそうなんだけどね!
「これだ」
「こ、こ、こ……」
ニワトリかな?
「こ、これは! セイジがたまに使っている……、魔道具!!!」
なんか、すごい食いつきようだな。
「まったく同じ物ってわけじゃないけど、似たようなことができるやつだ」
「なぜ、これを私に? もしかしてあい……なのか?」
「ああ、商品名の頭文字はiだ。よくわかったな」
それにリルラは、とある場所にパッドを入れているし、
その場所は、かなりミニだし、ちょうどいいかな。
しかし、なぜリルラは商品名をしっていたんだ?
まあ、そんなことはどうでもいいか。
「これは、どのように使えばいいのだ!?」
リルラは、顔を赤らめて興奮しているようだ。
そんなに嬉しかったのかな?
俺は、肩を寄せるようにしてリルラと一緒に画面をのぞき込み、
使い方を教えてやった。
「ここに、セイジの顔が!」
リルラは大興奮だ。
俺の顔のアイコンは、予め用意しておいたもので、
自動的に俺に通話を開始するようにしてある。
「ああ、その場所をタップすると、俺と通話ができる」
「タップ? 通話?」
「タップとは、指でその場所を1回軽く突くことだ。
まあ、試しにやってみたほうがはやい」
「セイジの顔をツンツンするのか!?」
「そうだ」
リルラは、おそるおそるツンツンした……。
俺の顔を。
「なんで俺の顔をツンツンするんだよ!」
「だって、セイジがそうしろと行ったじゃないか」
「その魔道具に表示されている俺の顔のところを、ツンツンするんだよ!」
「そ、そうか……」
はあ、疲れる。
機械が苦手な人に、使い方を教えるのは、ほんとうに大変だな……。
リルラは、今度こそちゃんと、俺の顔のアイコンをタップした。
しばらくして、俺のスマホから、着信の音楽が流れ始めた。
「音楽が!?」
「ああ、リルラから連絡があったことを、俺の魔道具がしらせてるんだ」
「しゅ、しゅごい……」
知能が低下し始めたリルラを無視して、
自分のスマホの通話ボタンを押した。
「もしもし、聞こえますか?」
「あ、セイジの声が!」
「これで、双子魔石式糸電話と同じように会話ができる」
「こ、これで、いつでも……セイジと……会話‥‥」
リルラは、涙を流して喜んでいる。
大げさだな~。
まあ、俺も、初めてスマホを買った時はうれしかったから、
気持ちはわからなくはないけどね。
その後、電源のオンオフ、充電の仕方などを教えた。
しかし、それだけで、だいぶ時間が経ってしまった。
「セイジ、こんな良いものをもらってしまって、
どのようにお礼をしたら良いのか……」
「まあ、それなりに高かったけど、
緊急時に連絡が取れないのも問題だしな、べつにかまわないさ」
「いや、そうは行かない。
かくなる上は、私の……から……から……」
じめんタイプのモンスターかな?
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数十分後、リルラの屋敷のとある場所から、
ギシギシ……と、ベッドのきしむような音が聞こえてきた。
「セ、セイジ……」
「リルラ……」
「セイジ。
この、ギシギシという音は、何の音だろう?」
「さあな、
一階の方から聞こえてくる気がする」
え?
俺とリルラがベッドでギシギシ?
そんなこと、あるわけないじゃん!
2人で、音の正体を確認しに行ってみると……、
使用人たちが使っている屋敷の裏手のドアの金具が外れかけており、
風でギシギシと音を立てているだけだった。
え?
オチ?
そんなものは、ない!
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