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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ヒルダの冒険編
407/438

397.解体ショー


『先生。よろしくお願いします』

『あ、はい……』


 ヒルダは、

 村人に案内されて、オーク退治へ向かった。




 村外れに到着すると、

 オークが、女性を追いかけ回していた。


『助けてー! 犯されるー!!』


 女性がとんでもないことになりそうな場面に出くわしてしまった。

 周りの男たちは、何もできずにオロオロするばかり。



 ヒルダは、いっぺんの迷いもなく、女性を助けるために駆け出した。



『大変だ! 女の子がオークに向かっていったぞ!』

『やめるんだ! 近づくんじゃない!』


 村人たちが止めるのを聞かず、

 ヒルダは、追われていた女性とオークとの間に割って入る。



 いきなり現れたヒルダに驚いたオークは、

 一瞬、ビックリして動きを止めた。


 しかし、すぐに新たな得物だと判断。


 ニヤリ。


 新たな得物を美味しくいただこうと、

 オークは右手を振り上げた。



『キャー!!』

 さっきまで襲われていた女性から、絶望的な悲鳴が上がる。



シュッ。


 振り下ろされたオークの右腕は……、



 ヒルダによって、素早く解体・・されていた。



 オークは、自分の体に何が起こったのか理解すらしていない。



シュッ。シュッ。


 次は、左腕。

 その次は、右足。



 ここでオークは、バランスを崩して、真横に倒れる。


 しかしオークは、まだ状況を理解できていない。



シュッ。

 左足が解体・・され、オークは胴体と頭だけになっていた。



『ギヤオーーーーッ』

 オークは、やっと痛みを感じて雄叫びを上げたが、

 その声は、途中で途切れてしまう……。


 解体されたオーク肉の横に、

 苦痛に顔を歪めた、その頭が、ぽつんと置かれていた。




『『……』』


 黙々と解体を続けるヒルダ。


 村人たちや襲われていた女性は、口をアングリと開けたまま、

 そんなヒルダを、ただただ見つめていた。



『すいません、ダイルさん。

 解体したオーク肉は、どこに持っていけばいいですか?』


『……』

 しかし、

 話しかけられたダイルさんは、他の人と同じように、

 口をあんぐり開けたまま。



『あの~、ダイルさん?』

『え?

 あ、はい!?』


『ですから、オーク肉どこに持っていけばいいですか?』

『え、あ、その……。

 私の酒場に食料貯蔵庫がありますので、そこへ……』

『はい』


 ヒルダは、解体したオーク肉を【格納の腕輪】に、ひょいひょいしまっていく。



『ま、魔道具!?』


 静かだった取り巻きが、ざわざわし始めた。



『それじゃあダイルさん、いったん酒場に戻りましょう』


 ヒルダが解体作業を終え、立ち去ろうとすると。



『ま、待ってください。

 た、助けていただいて、ありがとうございました』

 襲われていた女性が、ヒルダの前にひざまずく。



 それを見て、

 周りでざわざわしていた村人たちも、ヒルダの元へ集まってきた。



『ダイル、その娘……じゃなくて、

 その御方は、どなたなんだ?』

『そうだな、皆に紹介しておいたほうが良いな』



 ダイルさんは、コホンと咳払いをして、

 集まってきた村人に演説を開始した。


『この御方は、ニッポの街からやってきた冒険者の、ヒルダ様だ。

 なんと驚くなかれ!

 あのレイチェル様が所属していた、かの魔法使い部隊のお一人で、

 先の悪魔族との戦いでも大活躍され、

 Sランク(・・・・)に、なられる (かもしれない)そうだ!』



『レイチェル様の!?』

『魔法使い部隊!?』

『エ、Sランク!!?』


 なに勝手に個人情報を漏洩させてるんだ!

 日本だったら大問題だぞ。



『ちょっと、ダイルさん。

 そのことは、言っちゃダメです』


『え? ダメでしたか?

 皆の者、聞いたか!

 今さっき言ったことは、秘密だそうだ!

 誰にも言わないように!!』



『ひ、秘密!?』

『秘密だってさ!』

『秘密……大変なことを聞いてしまった!』


 秘密だといわれて、

 村人たちは、さらに大騒ぎになってしまった。


 これ、絶対に逆効果だよね?


-----


 ダイルさんとともに、酒場へ向かうヒルダ。


 その後ろを、村人たちが、ゾロゾロと付いてきてしまっている。



『それにしてもヒルダ様はすごいですね!

 あんなに大きなオークを、いともたやすく倒してしまうなんて、

 それに、使っていたナイフは、みたことがないナイフでしたね。

 オークの肉を魔道具で片付けていましたけど、

 アレもまた、すごいものですよね』

『あ、はい』


 ダイルさん、よく喋る奴だな。



 酒場に到着する頃には、大名行列だいみょうぎょうれつのようになっていた。



『ヒルダ様。

 先ほどのオーク肉は、売ってくださるということでよろしいですか?

 ギルドポイントは付きませんが、1匹分で2000ゴールドになります』

『はい、買い取りをお願いします』


『ありがとうございます。

 ……とは言ったものの、今すぐに現金は用意できないので、

 お支払は、しばらく待ってもらってよろしいでしょうか?』


 冒険者ギルドなのに、2000ゴールドも用意できないのかよ。

 まあ、小さな村だから仕方ないけど。




 その様子をのぞいていた村人が、声をかけてきた。


『ダイル。

 さっきのオーク、いくらで食べられるんだ?』

 さっき襲われた魔物を食べるのか。


『オークのステーキは、一皿で20ゴールドだ』

『20ゴールドか……。

 被害を受けた仕返しに食ってやりたいけど……、

 ちょっと高いな』

 なるほど、復讐的な気持ちなのか。



『あの……。

 それじゃあ、先ほどのオークの肉を売ったお金で……。

 村の皆さんに、ごちそうしてあげてください』


 ヒルダ!

 なんとかっこいいセリフ!

 俺も、そんなセリフ言ってみたい!



『え!? 2000ゴールド、ぜんぶですか!?』

『はい』


『皆の者、聞いたか!

 今日はヒルダ様のおごりだそうだ!

 全員呼んでこーい!!!』

『『やったー!』』『すっごーい! おごりだーー!!』

『早くしないと無くなるぞ!!』



 その日は、

 その村の村人全員が酒場に集まり、

 一日中、大宴会が執り行われた。



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