395.ヒルダの災難2
本日、2話目です。
「うわ、いきなり何だ!?」
「わるいロンド、急用だ」
「なんだ、セイジか。
それに、エレナ様と…アヤさん!」
「あれ? みなさん、ヒルダは一緒じゃないの?」
ミーシャさんもいた。
「そのヒルダが冒険者を始めたんだが……。
ロンドの知り合いだとかいう冒険者ギルドの奴に、
金とアイテムを巻き上げられたんだ」
「ヒルダが、冒険者に!?」
ミーシャさんは、そっちに驚いてるのかよ。
「そんなことがあったのか。
しかし、冒険者ギルドに知り合いなんていたかな?」
「もういいから、
ロンド、お前一緒にギルドへ来い」
「え? しかし、俺はこの街の領主なんだぞ?
そんな簡単には……」
「ちょっと! ヒルダちゃんがひどい目に合わされたのに、
あんたは黙ってるつもり!?」
アヤがロンドに詰め寄る。
「え、アヤさん怒ってらっしゃる?」
ロンドは、アヤに言われるとよわいのな。
「ヒルダは、この街のためにオークを討伐したんです。
それなのに……」
今度は、エレナが詰め寄る。
「エレナ様まで!」
エレナにも弱いんだな。
2人を連れてきて大正解だ。
さて、あともうひと押し。
「その犯罪者は、お前の知り合いだと触れ回っているんだ。
そのままにしておいて良いのか?」
「そうだな。
ここは、俺が行くしかないな!」
領主が1人釣れたぜ!
「私も一緒に行く!」
ついでにミーシャさんも釣れた!
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ロンドとミーシャさんを連れて、
総勢5人で冒険者ギルドへとんぼ返りした。
「ほら、連れてきたぞ」
「ん? またあんたらか。
俺は忙しいんだ、さっさと帰れ」
あれ?
ロンドを連れてきたのに。
「君が、俺の知り合いだとかいう奴か?
ところで、お前誰だ?」
どうやらロンドは、こいつのことを知らないみたいだ。
「あんたこそ誰だ。忙しいって言ってるだろ」
仕方ない、俺がネタばらししてやるか。
「こいつがロンドだよ」
「ロンド? それがどうかしたのか?」
「どうやらこいつ、顔だけじゃなくて名前すら知らないらしい」
「バカバカしくて笑えてくるな」
「まったくだ」
俺とロンドは顔を見合わせて、失笑していた。
女性陣たちも呆れ顔だ。
「何笑ってるんだ!」
お前が笑われてるんだよ。
「何を騒いでいるんだ?」
「あ、ギルドマスター」
ギルドマスターが、騒ぎを聞きつけてやってきた。
「あ、これはこれはロンド様。
このたびは、どのようなご用向きで?」
さすがギルドマスター。ロンドのことをちゃんと知っていた。
まあ、それが当たり前だけどね。
「こいつが俺の知り合いだというんで、ちょっと様子を見に来たんだ」
「あ、ギドバくんのことですか?」
「こいつギドバというのか?」
「え? ロンド様のお知り合いではないのですか?」
「知らんな」
「え? えぇ~!?」
どうやら、ギルドにもロンドの知り合いだと嘘を言っていたらしい。
名前も知らなかったくせに、よくそんな嘘をつけたものだ。
ギドバとかいう奴は、汗をびっしょりかいて、青い顔をしていた。
「えーっと、これは何かの手違いでして……。
さいなら!」
奴は、いきなり逃げた!
「逃がすか!」
アヤが素早く反応し、
逃げる奴の頭を殴りつけた。
「ひぎゃっ!」
カエルが潰れるような声を上げて、
そいつは動かなくなった。
死んでないよな?
「こ、この度は、とんだ不手際でロンド様にご迷惑をおかけしまして……」
ギルドマスターはロンドに平謝りだ。
「領主様が、あの、いけ好かない男をやっつけたぞー!」
「領主様ばんざーい!」
なんか、まわりの冒険者たちからロンドを賞賛する声が上がっている。
ロンドは最初来るの嫌がってたのに。
まあ、ヒルダがひどい目に合わなければどうでもいいけど!
「ところで、ギルドマスター。
私の知り合いのヒルダという娘が、冒険者をやっているのだが……」
「はい、了解いたしました。
今後その者を、特別に取り扱います」
「ならば良し」
良しじゃねえよ!
「ちょっとロンド!」
「え? アヤさん? なぜ怒っているんですか?」
アヤが珍しく、ロンドに絡んだ。
「ヒルダちゃんは、認めてもらうために冒険者やってるのよ!
えこひいきしたら、台無しでしょ!」
「ですから、こうして口添えを……」
「それがよけいだって言ってるの!」
「わ、分かりました……。
ではギルドマスター。
その娘は、私の知り合いだが、特別扱いはしないように」
「あ、はい……」
ギルドマスターも困惑していた。
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翌日の土曜日。
朝早くからヒルダの様子を見てみると、
すでに冒険者ギルドへ到着していた……。
『これはこれはヒルダ様。
お待ちしておりました』
『え?』
ギルドマスターが待ち構えていた。
特別扱いしないんじゃないのかよ!
ヒルダは、わけも分からずギルドマスターの部屋に案内された。
『昨日は窓口の者の手違いで、とんだご迷惑をおかけしました。
なにとぞお許しを』
『え? あ、はい……』
ヒルダも困惑していた。
『調査したところ、あの者は、何度も着服を繰り返していたことが判明しまして、
現在、兵士たちによる取り調べを受けております』
そうか、あいつ、捕まったのか。
まあ、ヒルダに悲しい思いをさせたのだから、万死に値するよな。
『ヒルダ様におかれましても、奴に被害を受けたということでしたので、
ギルドからきちんとお返しいたします。
誠に申し訳ありませんでした』
ギルドマスターは、その場で土下座をした。
『えぇっ!!?』
ヒルダは、かなりビックリしていた。
『それで、被害の賠償ですが、
100ゴールドと、オークの牙3本で間違いないでしょうか?』
『はい、間違いないです』
『本来でしたら、迷惑料として1万ゴールドほどお支払したいところなのですが、
ロン……いえ、き、規則で、そういうわけにもいきませんので、
額面通りの返却だけとなってしまいます。
ご腹立かと思いますが、なにとぞご容赦を……』
『あ、はい。
ちゃんと返していただけるのでしたら、それでいいです』
『ありがとうございます!!』
ギルドマスターは、また土下座だ。
大変な仕事だな~。
『その代わりと言ってはなんですが』
ん? 何かあるのかな?
『ヒルダ様ご指名の依頼が入っております。
お受けなさいますか?』
『ご指名!?』
ガタッ!
ご、ご指名だと!?
ご感想お待ちしております。




