36.危険なエレナの癒やし
数日間、俺は会社で仕事、エレナはDVD鑑賞、アヤは短大の準備を行っていた
通勤に関して、朝は普通に電車を使い、帰りは【瞬間移動】で帰るという形で落ち着いた
行きは移動先に誰かが居て見つかってしまう危険性があるため【瞬間移動】を使うのは止めることにした
仕事自体は順調に行き過ぎて残業をすることがほぼ無くなってしまった
エレナは魔法少女シリーズのDVDにかなりはまっているらしく、DVDを見まくっていた
DVDを一度見た後で【言語一時習得の魔石】をわざと手元から離し、『言語一時習得』がない状態でもう一度見直すことで、日本語を理解する為の勉強も同時に行っていた
魔法少女DVDに対する愛とエレナの努力のかいもあって、エレナの日本語能力は片言なら喋れる位にはなっていた
アヤはエレナと毎日ジョギングには出かけていたが
短大の準備はほとんど無く、エレナと一緒にDVD鑑賞をしたり、ふらっと何処かに遊びに行ったりして、だらだらした生活を送っているようだった
あの時の情熱は何処にやった!
『アジド』さんは、『ニッポの街』に滞在し続けて商売などを行っているようだった
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そんな生活を続け、金曜日の仕事も定時で終わり【瞬間移動】で自宅に帰ってきた時のことである
「ただいま」
「兄ちゃん!今から異世界に行こう!」
「いきなりだな『おかえり』は?」
「セイジ様、おかえりなさい」
「兄ちゃん、おかえり」
「それで、明日の朝に出発の予定なのに、なんで今からなんだ?」
「だって、早く冒険者になりたくて、もう我慢できない」
「お前は子供か!だいたいこんな時間に行って宿屋が満室だったらどうするんだ?3人で野宿するのか?」
「平気だって、宿屋だって1部屋くらい空いてるよきっと」
「なんだよ、その根拠の無い自信は
部屋が空いてなかったら俺とアヤだけじゃなくエレナも野宿させることになるんだぞ?」
「うっ、そ、それは……」
「わ、私は野宿もしてみたいです」
「ダメダメ、エレナを野宿させるなんて絶対ダメだ」
「私だったらいいの?」
「アヤもダメ!
諦めて、予定通り明日の朝出発だ、分かったな」
「あ、いいことを思いついちゃった
宿屋の部屋が空いてなかったら『アリア』さんの所に行って泊めてもらえばいいじゃん
ね、それならいいでしょ?」
「うーん、いや、やっぱりダメだ
こんな大勢じゃ寝るところが足りない」
「私は【寝袋】でいいから
ね、一生のお願いだから」
こやつめ『一生のお願い』とやらを一生の内に何回するつもりなんだ?
「あー、もう分かったよ、行けばいいんだろ」
「やったー」
「毎日働いて疲れているっていうのにお前は・・」
「ご、ごめん」
「セイジ様、疲れているのでしたら
私が癒やします」
「エレナはやさしいな」
エレナは俺の手を取って魔法を使い始めた
「これは!癒される!」
エレナの魔法の力によって、どんどん疲れがとれていくのを感じ、心身ともに癒やされていくのを感じた
これは病みつきになりそうで危険だ!
しかし、魔法を使っているエレナの様子が何やら変だ
「エレナ?なんか様子が変だぞ?」
「そ、そんな・事・は・ありま・・せん・よ」
「いやいや、明らかに顔色がおかしいぞ」
俺はエレナを【鑑定】してみた
┌─<ステータス>─
│名前:エレナ・ドレアドス
│職業:姫
│
│レベル:5
│HP: 20/104 ✹危険!
│MP:200/278 (+70)
│
│力:10 耐久:9
│技:10 魔力:31 (+7)
│
│スキル
│【水の魔法】(レベル:2)
│ ・水のコントロール
│
│【回復魔法】(レベル:3)
│ ・病気軽減
│ ・傷回復速度上昇
│ ・体力回復
│ ・体力譲渡 ★NEW
└─────────
「エレナ!ちょっと待て!ストップ!!
魔法を止めろ!!」
「ど、どう・・され・・ました?」
「どうしたの!?エレナちゃん顔が真っ青だよ!」
「エレナ、HPが減ってる!
今の魔法は【体力回復】じゃなくて【体力譲渡】だ!
自分の体力を相手に譲渡してしまっている!」
「え?そう・・なん・・ですか?」
「早く、自分のHPを回復するんだ!」
「は、はい・・」
エレナは【体力回復】を使って自分のHPを回復させた
「あーびっくりした、エレナ、あの魔法は使用禁止だ!
わかったな?」
「は、はい」
出鼻をくじかれてしまったが
俺達はちゃんと準備をしてから、
【瞬間移動】を使い、異世界に向けて飛んだ
やっと、次から冒険者として活動が始まります
ご感想お待ちしております




