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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ヒルダの冒険編
398/438

388.初めてのクエスト


 向かった森の奥でヒルダが見たものは……!


『キャー! 誰か助けて~!』

 小さい女の子がゴブリンに襲われていた!


『【火の玉】!』

 ヒルダお得意の【火の魔法】が炸裂する。


ひでぶ~。

 火だるまになったゴブリンは、

 断末魔の叫びをあげながら、豚の丸焼きのようになった。



 襲われそうになっていた女の子は、

 目の前でゴブリンの丸焼きが出来上がったのを見て、唖然としていた。



 あ!

 ホッとしたのもつかの間、

 火が森の木に燃え移ってしまっている!


『たいへん!』

 ヒルダは、魔法で上手く火をコントロールしながら、なんとか消し止めた。


 森で火の魔法を使うのは、あぶないな。



『大丈夫だった?』

 火を消し止め終わったヒルダが、女の子に声をかける。


『うわーん』

 女の子は、よほど怖かったのだろう、ヒルダに抱きついてきた。

 ヒルダは、女の子を落ち着かせようと頭をナデナデしてあげている。


 あ、この子、ネコ耳ネコしっぽだ。



「あれ?

 この子、ミーニャちゃんじゃありませんか?」

 テレビに移った映像を見ていたエレナが身を乗り出す。


 ミーニャって誰だっけ?


 あ、そうか!

 王都の教会に住んでるあの子か!


 初めてこの世界の街をエレナと探索した時、お金をすられたんだ。



 ヒルダは、ミーニャちゃんのネコ耳をなでなでしている。


『く、くすぐったいよ~』

 怖がっていたミーニャちゃんも、だいぶ落ち着いてきた様子だ。


 しかし、10歳くらいのネコ耳幼女と12歳の幼女がキャッキャウフフしている様子は……、

 ご飯が何杯でもイケそうだな!



『私はヒルダ、あなたのお名前は?』

『私ミーニャ!

 お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!』


 ヒルダは、お姉ちゃんと呼ばれて嬉しそうだ。

 周りが年上ばかりだったからな~。


 あれ?

 そういえば、ヒルダとミーニャちゃんは面識がないのか。



『ミーニャちゃんは、何でこんな森の中に一人でいたの?』

『だって、薬草がなかなか見つからなくって……』


『薬草? 誰かケガでもしたの?』

『ううん、冒険者のクエストなの』


『ミーニャちゃん、冒険者なの?』

『うん!』


 マジか!

 そう言えば、ギルドで襲ってきた冒険者も、子供が増えてきたとか言ってたな。

 あれはミーニャちゃんの事だったのか。



『だからって、森の中に一人で入ったら危ないでしょ』

『うん……』


 ミーニャちゃんは、だいぶ反省したらしく、

 おとなしくなってしまった。



『じゃあ、私と一緒に薬草を探しましょう』

『ほんとう!?

 でも、お姉ちゃんのお仕事はいいの?』


『大丈夫だよ。

 私も、薬草探しのクエストやってるところだったから』

『そうなの!?

 じゃあ、いっしょだね!』



 二人は一緒に森から出て、

 楽しそうに薬草集めを再開した。


 ちなみにゴブリンの丸焼きは、

 討伐の証である『ゴブリンの耳』も丸焼けになっていて、

 持ち帰ることはできなかったようだ。




 しばらく、二人の様子を見ていたのだが‥‥、

 俺は、いてもたってもいられなくなった。


「しばらくヒルダの見守りは中断するぞ」

「え? なんで?」


「ちょっと、野暮用だ」

「野暮用って何よ!」


-----


 アヤの質問を無視して、

 俺は、ヒルダたちから少し離れた場所に【瞬間移動】した。



「さーて、ヒルダたちが来るまでに、

 いっちょやりますか!」


 ヒルダたちは、森と草原の境目を、薬草を探しつつ移動している。

 それを計算すると、もうちょっとしたら二人がここを通るはずなのだ。


 俺はまず、周囲を探す。



 しばらくして、未成熟な薬草が群生している場所を発見した。


「よし、ここらへんが良さそうだ」


 俺は、薬草以外の雑草やじゃまな木などを素早く取り除いた。


 そしておもむろに【大地の魔石】を取り出し、魔力を込める。

 この【大地の魔石】は、日の出の塔の地下で『土の精霊』が閉じ込められていたゴーレムを倒してゲットしたものだ。

 周囲の植物の成長を促進させる効果がある。



 未成熟な薬草は、ニョキニョキと成長し、

 立派な薬草群生地のできあがりだ!



「おっと、そろそろヒルダが来る頃だ」


 俺は、急いで自宅に戻った。


-----


「もう! 兄ちゃん、何してたの!

 ヒルダちゃんの様子を早く見せてよ!」

 アヤが怒っている。

 エレナも、口にはださないものの、ヒルダを心配しているようだ。


 まったく、二人とも心配症だな。



 テレビにヒルダの様子を映し出すと……、


『すごーい!

 薬草が、こんなにいっぱい!』

 ヒルダたちは薬草を見つけて大喜びしていた。



「兄ちゃん……。

 これ、兄ちゃんがやったの?」

「な、ナンノコトカナ~」


 ちょっと過保護すぎたかな?

 アヤの視線が痛い。


 まあでも冒険者初日だから、ちょっとくらいいいよね?



『もうカバンに入らないよ~』

 ミーニャちゃんが持ってきたカバンは、薬草でパンパンになってしまっていた。


『私も、もう十分だから帰ろうか』

『うん!』


 二人は薬草厚めを終え、帰路についた。



『ねえ、ヒルダお姉ちゃん。

 いっしょにたくさん薬草を取ってたよね?

 なのになんで、お姉ちゃんの荷物はそんなに少ないの?』


『それは、これのおかげなの』

 ヒルダは、ミーニャちゃんに腕輪を見せる。


『腕輪?』

『うん。

 これは、【格納の腕輪】っていって、物をたくさん入れておける魔道具なの』

『すごーい!』


 ミーニャちゃんは、目をキラキラさせていた。


-----


 しばらくして二人は、冒険者ギルドに帰ってきた。


『ミーニャさん、すごいですね。

 薬草が30束なので、今日の報酬は……、

 100ゴールドと、ギルドポイント10ポイントです。

 これでギルドポイントの合計が17ポイントになったので、

 もうすぐEランクにアップできますよ』

『わーい!』


 ミーニャちゃんは、受付のテーブルに背が届かないので、

 他から持ってきた椅子の上に立って、受付のお姉さんから報酬の100ゴールド金貨を受け取って大はしゃぎだ。



『ヒルダさんは……。

 す、すごい!

 薬草が60束なので、

 報酬は200ゴールドと、ギルドポイント20ポイントです。

 20ポイント貯まりましたので、Eランクに昇格です!

 おめでとうございます』

『ありがとうございます』


 初日で昇格か~。

 まあ、ヒルダだったら当然だな。



 受付のお姉さんから100ゴールド金貨を2枚もらったヒルダは、

 満面の笑顔をみせていた。


ご感想お待ちしております。

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