384.お礼の品
翌日、俺とヒルダは、めぐみちゃんの家にお呼ばれされた。
俺は、仕事を定時で上がり、
ヒルダを連れて、めぐみちゃんの家に来た。
「こんばんは」
「丸山、いらっしゃい」
ん!?
めぐみちゃんが、出迎えてくれたんだけど……。
セーラー服だ!
かわええ。
「丸山、何へんな顔をしているの?」
変な顔は生まれつきです!
「いや、何で制服なのかなと思って」
「今日から学校が始まったのよ。
私もさっき帰ってきたばっかりなの!
バカな話をしてないで、さっさと上がりなさいよ」
なるほど、今日から二学期か。
あれ? そういえば……。
めぐみちゃんの俺に対する呼び方が、『丸山』と呼び捨てに戻ってる。
まあいいか。
たぶん、神様的な存在から何かしらの命令を受けたのだろう。
「さあ、ヒルダも早く来て!」
めぐみちゃんは嬉しそうにヒルダの手を引っ張った。
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リビングには、八千代家の人々が勢揃いしていた。
八千代家は、社長夫妻、長男一家、次男一家の、3世帯住宅だ。
東京に建つ、ちょっとした城のような感じだ。
「丸山君、よく来てくれた」
社長がにこやかに歓迎してくれた。
「君が丸山さんか、はじめまして。
例の薬の時は、大変お世話になりました」
次に、社長の長男で名前は八千代一郎さん。
凍傷で寝たきりになっていたのを、エリクサーで治した人だ。
一郎さんとその奥さんから、握手を求められてしまった。
この夫婦にも子供がいるそうなのだが、
もう家を出ていて、今回は不参加だそうだ。
「めぐみを助けてくれて本当にありがとう」
次に、次男で名前は八千代次郎さん。
めぐみちゃんのお父さんで、八千代プロダクションの社長さんだ。
こちらも、次郎さんとその奥さんに握手を求められた。
「丸山、あ、ありがとう 」
そして、めぐみちゃんからも、改めてお礼を言われた。
なんか恥ずかしそうにしていたのが、逆にかわえかった。
「さあ、話はそれくらいにして、
お夕飯を用意したので、みんなで食べましょう」
社長の奥さんに促されて、
料理がずら~っと並んだテーブルをみんなで囲んだ。
なぜか、俺とヒルダが誕生日席だ。
おそらく、いつもだったら、ここに社長と奥さんが座るのだろう。
みんなで『いただきます』を言って、盛大なパーリーが始まった。
かなり高級そうな料理と酒が並び、
どんどん勧められた。
「美味い!」
「美味しいです!」
おそらく、高級な食材を贅沢に使って作られているのだろう。
テーブルに並ぶたくさんの料理は、どれも超美味かった。
ヒルダも、美味しい料理に大はしゃぎだ。
「丸山君、お酒もどうだね?
これは、ワシがヨーロッパに旅行……じゃなくて出張に行った時に買ってきたものなんだ」
何か高そうなワインを勧められてしまった。
「う、美味い!!」
なんだか、深い歴史を感じさせる、凄く美味いワインだ。
これ、かなり高いんじゃないだろうか?
まあ、いいか。
「せっかくだから、この酒も開けてしまうか」
社長は、調子に乗って、次々に高そうな酒を持ってくる。
「これも美味い!」
俺が、調子よく飲んでいると……。
「めぐみ、丸山さんにお酌してあげなさいよ」
「わ、私が?」
めぐみちゃんのお母さんが、めぐみちゃんの背中を押す。
「か、勘違いしないでよね!
お母様が言うから、仕方なく、し、してあげるんだからね!」
ナ、ナ、ナニをしてくれるというんだ!
あ、お酌か~。
危うく勘違いするところだった。
まずい、だいぶ酔ってきてしまった。
「おっとっとっと。
ありがとう」
「ふん」
めぐみちゃんがお酌してくれた大吟醸は、もの凄く美味かった。
なんだか、顔の筋肉が崩壊しそうな感じだ。
その後、俺は、ベロンベロンになるまでめぐみちゃんにお酌をしてもらった。
飲みすぎで、ちょっと気持ち悪くなったりもしたけど、
【回復魔法】で気持ちの悪いのだけを治したので、
いくらでもイケた。
「丸山さん、もうこうなったら、めぐみをもらってくださいな」
「またまた、冗談ばっかり~」
めぐみちゃんのお母さんも酔っ払っているのかな?
変なことを言い出す。
「お母様!
何で私が丸山に……もらわれなくちゃいけないの!」
「そんなこと言って~。
あなたもまんざらじゃないんでしょ?」
「そそそ、そんなこと、あるわけないでしょ!」
めぐみちゃんは、顔を真赤にさせて、リビングから出ていってしまった。
お母さんの冗談に腹を立てちゃったのかな?
「めぐみの嫁ぎ先のことはひとまず置いておいて、
丸山君には、もらってほしいものがあるんだ」
社長が、急に真剣な顔をしてそう言い出した。
いったい、ナニをくれるというのだろう?
社長は、別室から風格のある木箱を運んできて、
俺の前に置いた。
「もらってほしいものは、これだ」
社長は、木箱の蓋を開け、それを取り出した。
俺は、思わず【鑑定】してしまう。
┌─<鑑定>────
│【妖刀村正】
│刀工村正が作り上げた刀。
│妖刀と呼ばれてはいるものの、
│実際には祟などはない。
│レア度:★★★★★
└─────────
「む、村正!?」
一気に酔いが冷めて、冷や汗が出てきてしまった。
「おぉ、見ただけで分かるとは!
丸山君もそうとう日本刀が好きみたいだな」
しまった、思わず鑑定結果を口にしてしまった。
しかし、こんな物、もらって良いんだろうか?
「お、お父さん。
これは、お父さんが一番大事にしていた……」
次郎さんが、驚いている。
やっぱり、かなり大事なものらしい。
どうしよう。
日本刀は好きだけど……。
それは、魔物と戦うための武器としてだ。
しかしこれは、美術品としての日本刀。
なんか八千代ファミリーは、俺が日本刀大好きと勘違いしているみたいだし……。
「あ、ありがたく、頂戴いたします」
俺は、雰囲気にのまれて、村正をもらってしまった。
これ、本当にどうしよう……。
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