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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
アイドルマネージャー編
390/438

380.1億円


「はいはい、そこまで!」


 ブラウスの2つ目のボタンを外しためぐみちゃんに、

 俺は、スーツの上着をかぶせた。


「えっ!?」

「な、何をする!

 マネージャー風情が、

 ロリ……じゃなくて、契約を邪魔する気か!」



「めぐみちゃんが本気なのは良くわかった。

 でも、だからといって、

 自分自身を大事にしないのは良くないことだよ」


「私を無視するな!」


 やつは、怒り狂っている。

 さて、少し相手をしてやるか。



「無視なんかしてませんよ、

 黒山社長……」

 俺は、やつを睨みつけた。


「な、なんだ!

 暴力でも振るおうというのか!?

 だ、誰か!

 不審者がここにいるぞ!!

 早く、取り押さえろ!!!!」


 しかし、やつの声は、誰にも届かない。

 部屋に音を遮断する【バリア】を張っておいたからだ。



「な、なぜだ、なぜ誰も助けにこない!?

 やめろ、それ以上近づくな!

 俺は、空手の有段者なんだぞ!」

 まあ、嘘なのはバレバレだけどね。

 【鑑定】結果を見ても、そんな情報は一切ない。


「暴力反対!

 こんなことをしてただで済むと思っているのか!」

 暴力なんて振るわないよ?

 暴力なんて……。



ドスンッ!

「ひぃ!」

 やつは、音に驚いて、足をぷるぷる震えさせている。

 ずいぶんビビりだな。


 てか、社長室の机の上に、物をおいただけなんだけど。



「いま、どうやってコレを出した!」


「手品ですよ、手品。

 さいきん流行ってるじゃないですか、

 カニが宙に浮いたりするやつとか、

 アレですよ」


「て、手品か……。

 そ、それより、何だこれは!」


「黒山社長が、さっきご自分で言ってたじゃないですか。

 違約金1億円って」

「ま、まさか……」


 俺が机の上に置いた『ジュラルミンケース』を、

 やつは、恐る恐る開けた。



「ま、まさか!!

 1、2、3、4……。

 本当に1億円……だ」

 マジで数えたのか?



「コレで契約は無効ですね」


「……そ、そうだな……。

 これで、契約は無効だ……」

 やつは、瞳が¥マークになっていた。



 俺は、やつの持っていた契約書を素早く奪い取った。

 やつは、契約書を俺に取られたことも気づかないくらいに

 1億円に夢中になっていた。



 そして、それをビリビリに破き、

ボッ!

 【火の魔法】で、マジックっぽく空中で燃やしてみせた。



「ひぃ!」

 目の前で急に炎が上がり、黒山社長はビビっていた。

 そうとうなビビリだな。


 まあ、だからこそ、

 これまでの犯行も、足がつかないように慎重にやってきたのだろう。




「さあ、めぐみちゃん、

 帰りましょう」


 めぐみちゃんは、

 ぶかぶかな俺のスーツの上着を、コートのようにはおり、

 うつむいたまま小さく頷いた。



 1億円に夢中になっている黒山社長をその場に残し、

 めぐみちゃんの手を引いて、

 二人でその場を後にした。


-----


『うけけけ!

 バカなやつだ!

 あんな小娘なんて、もうどうでもいい!!

 1億円も儲かってしまった!!!

 ぐはははははははは!!!!』


 やつの会社を出て、タクシーを拾い、めぐみちゃんを家に送り届ける途中、

 俺たちがいなくなったあとを【追跡用ビーコン】で監視していたが、

 黒山社長は、大はしゃぎだ。


 まあ、後でこっそり、回収に行くけどね。



「丸山……」

 タクシーがめぐみちゃんの家の近くまで来た時、

 めぐみちゃんは、やっと口を開いてくれた。


「どうしました?」



「あのお金は?」

「ああ、あのお金は、

 こんな事もあろうかと、あらかじめ用意しておいたんですよ」

 まあ、嘘だけど。



「あれは、丸山のものなの?」

「ええ、そうですけど……。

 まあ、使い所がなくてずっとそのままにしてたお金なので、

 気にしなくてもいいですよ」


 アレは、前にエリクサーとかの代金として、社長と部長にもらったお金だ。

 本当に使いみちがなくて、ずっとインベントリにしまいっぱなしになってたんだよね~。

 まあ、後で取り返すし!



「ご、ごめんなさい……。

 私のせいで‥…」

シクシク……。


 めぐみちゃんは、俺に抱きついて泣き始めてしまった。


 はじめは、めぐみちゃんのことだから嘘泣きかと疑ったんだけど……、

 どうやら、ガチ泣きのようだ。

 おかげで俺のワイシャツが、鼻水まみれになってしまった。



「1億円は、お祖父様にお願いして、すぐに返します」

 めぐみちゃんがしおらしく(・・・・・)なってる!


 っと、そんなことより、

 めぐみちゃんはこんなこと言ってるけど……。


 あの1億円は、後でやつから取り返すつもりなのに、

 めぐみちゃん側からも返されたら、ダメな気がする。



 ってか、社長に払わせるのも違う気がする。


「社長に払わせるくらいなら、返さなくていいですよ」

「で、でも……」



「じゃあ、めぐみちゃんが有名アイドルになって、

 何億円も稼ぐようになったら、その時に返してください。

 いわゆる『出世払い』というやつです」

「だ、だって……」


「めぐみちゃんは、有名アイドルになるんだろ?」

「うん」


「じゃあ、1億円なんてすぐですよね?」

「う、うん」


 よし、なんとか話はまとまったな。

 コレで一安心……。



「じゃあ、お金を返すまでの間。

 私……なんでもするから!

 なんでも言って!」


 ぐはっ!

 俺の魂にダイレクトアタックをかけてきやがった。


 どうやら、めぐみちゃん、

 あんなことがあったあとで、かなり動揺しているらしい。



 あ、タクシーの運転手さんが、

 バックミラーでこちらの様子をチラチラうかがっている。


 いけない、素数を数えて冷静さを取り戻さなければ。



「め、めぐみちゃん、

 そそそ、そんなことを軽々しく言ってはいけないよ」

「だって……。

 私のせいで、丸山の1億円が……」


 めぐみちゃんは、上目遣いでうるうると俺を見つめる。

 ヤバイ、なんという攻撃力!


 運転手さんが、さらにチラチラ様子をうかがっている。

 おそらく、通報・・するべきかを迷っているのだろう。


 ここでめぐみちゃんの上目遣い攻撃に耐えなければ、

 社会人としての生活を失ってしまうに違いない。




「め、めぐみちゃん……、

 それなら、俺からのお願いは、1つだ」

「はい……」



「家族と、なかよく(・・・・)しなさい」

「え?」



「君のお父さんは、

 あの会社が危ないところだと知っていて、めぐみちゃんを止めてたんだよね?

 それなのに、めぐみちゃんは、

 お父さんの話を聞かずに、一人で行ってしまった」

「うん……、

 で、でも、お父様が、

 アイドル活動を反対してて……」


「げんに君は、こんなトラブルに巻き込まれたんだよ?

 こうなる可能性があることを知っていたなら、

 親なら反対するのは当たり前だよ」

「う、うん」


「どうしても、アイドル活動をしたいのなら、

 まずは、お父さんを説得しないと!

 それができないなら、アイドルなんて諦めた方がいい」

「……わかった……」


 よかった、なんとか分かってくれたみたいだ。



 なんか、途中からお説教っぽくなってしまった。

 俺も完全におじさんの仲間入りだな……。


-----


「めぐみ!」


 めぐみちゃんの家につくと、

 家の前で待っていためぐみちゃんのお母さんが、めぐみちゃんを抱きしめた。


「めぐみ……」

 めぐみちゃんのお父さんは、真剣な表情をしていた。


「お、お父様……。

 ごめんなさい……」


「ケガとかはしてないか?」

「はい、大丈夫です。

 丸山……さんが……」


 うわ、めぐみちゃんが、俺を『さん付け』でよんでるよ!



「この度は、娘が……大変お世話になったみたいで。

 なんとお礼を言ったらいいか……」

「本当にありがとうございました」

 お父さんとお母さんに、激しく感謝されてしまった。


「別にたいしたことはしてませんよ。

 ほんと、たまたまなので……」



「丸山くん、君には助けられてばかりだな」

 なんか、社長も涙ぐんでいる。


 どうしよう……。

 なんか、めぐみちゃん一家が変なテンションになっているみたいだ。



「あの……。

 俺は、これから用事があるので……」


 そう、俺にはやり残したことがある。


「そうか、すまん。

 このお礼は、後日必ず!」

 社長は、俺の手をぎゅっと握りしめてきた。


 ご両親とめぐみちゃんも、

 何度もお辞儀をして俺を見送ってくれた。


----------



「さーてと……。

 やり残したことを片付けてしまうかな」


 俺は、忍者の格好に着替えて、

 最後の仕上げに取り掛かった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 今後セイジは地球の悪人用に向こうの世界から 隷属の首輪を入手して悪人を 合法的に処罰しないとな 地球では魔法や呪いは不可能犯罪だから 処罰する法律は日本には有りませんよ! 隷属の首輪を使って…
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