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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
アイドルマネージャー編
384/438

374.暗闇の中の歌声


「セイジ!

 どこにいるの?

 危ないから、私の近くにいなさいよ!」

 暗視ゴーグルの奴らを無力化し終えたところで、

 暗闇の中、めぐみちゃんが俺を呼ぶ声が聞こえた。


「ごめんごめん、ここにいるよ」

 俺はめぐみちゃんの近くに移動し、頭をナデナデしてやった。


「ちょっと、丸山! どこを触ってるのよ!」

 めぐみちゃんは、セリフとは裏腹に少し安心した顔を見せていた。



 暗視ゴーグルのやつらを気にしつつ、

 しばらく待っていたのだが……。


 いっこうに、停電が回復する様子がない。

 スタッフさんたちも、裏の方で慌てているばかりだ。


 観客たちも、真っ暗なままでまったく動きがないことにしびれを切らせて、

 ざわざわし始めている。



「いつまでたっても、暗いままだな。

 どうする?

 いったん舞台から降りるか?」

「ダメよ!」

 めぐみちゃんは頑固だな。


「しかし、全然明かりがつかないぞ?

 そのうち観客が騒ぎ出すかも」

「そうね……。

 でも!

 私はアイドルなのよ!

 トラブルがあったからって舞台を降りるわけにはいかない」


 やれやれ……。

 めぐみちゃんは、アイドルの事となるとクソ真面目だな。



「でも、こんな真っ暗な状態で舞台に立ってても、

 何もできないだろ?」

「そんなこと、ないわよ!」


 めぐみちゃんは、何かをやるつもりなのか?

 しかし、いったい何ができるっていうんだ。




「ラララ~♪」


 めぐみちゃんは、真っ暗な中で、

 いきなり歌い始めた。




「……おい、誰かが歌ってるぞ!」

「こんな暗い中で?」

 観客席の一番前の方に座っていた観客たちが、

 めぐみちゃんの歌声に気がついた。



 めぐみちゃんは、

 アピールタイムで披露するはずだった歌を、

 アカペラで歌い続ける。



「おいみんな、めぐみちゃんが歌っているぞ!

 静かにするんだ!」

 観客席の一人が、そう叫んだが……。

 いっこうに観客たちのざわめきが収まる気配はない。


 めぐみちゃんの声は、観客席の前の方にしか届いていない。

 会場が広すぎるのだ。



「めぐみちゃん、頑張って!」

 ヒルダが応援し、めぐみちゃんはそれに答えて、

 出来る限りの声を絞り出す。


 しかし、会場全体に声を届けるなんてできるはずはない。


 それでも、頑張り続けるめぐみちゃん。



 ……。


 ここは、一つ、

 俺が助けてやるか。



「【風精霊召喚】!」

 俺は、めぐみちゃんに気づかれないように、少し離れた位置で風精霊を召喚する。


「わたくしに何か用ですか?

 うわ、真っ暗じゃないですか!」

 風精霊は、真っ暗な中に召喚されて、少し戸惑っていた。


「あの娘の歌声を、この会場の全員に届けることはできるか?」

「歌声?

 そんなこと、わたくしにかかれば、お茶の子さいさいですわ!」


 なんか、風精霊って性格がめぐみちゃんに似てるな。



 風精霊は、めぐみちゃんに近寄り、

 周りをくるくる回り始めた。



 会場全体に、ふわっとした風が吹き抜ける……。

 そして、めぐみちゃんの歌声が、会場全体に届き始めた。



「何だこの歌声は!?」

 観客たちは、急に聞こえてきた歌声に、はじめは驚いていたものの、

 その歌声を聞こうと、徐々にざわめきが収まっていく……。



 そして、めぐみちゃんの歌声が、会場全体を優しく包み込んでいく。

 真っ暗闇の中、めぐみちゃんの歌声だけが、会場を支配していた。




 一所懸命に歌い続けるめぐみちゃんの姿を見ていて……、

 俺は、徐々に我慢できなくなってきた。



 もういいや!

 もっと魔法を使っちゃおう!



「雷精霊召喚、水精霊召喚、氷精霊召喚、土精霊召喚、火精霊召喚、

 ついでに、オラクルちゃん召喚!」


 俺は、思い切ってトキ以外の精霊を、全員召喚した。



「うわ、真っ暗~、

 なにこれ~」


 あ、しまった!

 オラクルちゃんは、他の属性精霊と姿形は似てるけど、

 一般の人にも見えちゃうんだった。


 まあいいか、どうせ真っ暗で見えないし。


 そして、他の精霊たちも、真っ暗なことに戸惑っていた。



「みんな聞いてくれ。

 来てもらったのは他でもない、今、この暗い中で歌っているめぐみちゃんの手伝いをしてほしいんだ」

「手伝い?」


「トラブルで真っ暗になり、ここに集まっている人たちが不安に陥っているのを、

 あの娘は、自分の歌声で元気づけようと頑張っているんだ。

 風精霊が、歌をみんなに届けるために手伝ってくれている。

 君たちも、君たちの力で、あの娘を助けてくれないか?」

「面白そうだな!」「頑張ります~」

「まあ、良いでしょう」「オレに任せな!」「やるぜ!」

 みんなノリノリだ。


「あ、でも、

 人にケガをさせたり、物を壊したりしないように、気をつけろよ!」

「「はーい」」


 オラクルちゃん以外の精霊たちは、一斉にめぐみちゃんの応援に飛んでいく。



 まずは雷精霊。

 真上のピンスポにとりつき、明かりをつけ、めぐみちゃんを照らす。


「あ!」「明かりがついた」

 1ヶ所だけとは言え、やっと明かりがついて、

 観客たちは、ホッとした声を上げる。



 次に火精霊。

 めぐみちゃんの周りに、神秘的なろうそくの炎を大量に揺らめかせる。


「「おぉーー!!」」

 観客たちから、感嘆の声が響く。



 次は、水精霊と土精霊。

 水精霊が水の玉を、土精霊が宝石を、それぞれ出現させ、

 めぐみちゃんの周りを踊るように飛び回らせる。



 そして氷精霊。

 上から雪の結晶を、ひらひらと舞い踊らせる。



「綺麗だ!」「すげー!」

 観客たちが、さらに驚く。



「私も行く~」

「あ、待て!」

 俺の制止を聞かずに、オラクルちゃんも飛び出していってしまった。


 あちゃー、

 間違って呼び出しちゃった俺も悪いけど、

 もうどうなっても知らないぞ。


ご感想お待ちしております。

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