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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
アイドルマネージャー編
383/438

373.公開オーディション・最終審査


『それでは、最終審査のアピールタイム開始します!』

『『うわーーー!!』』


 とうとう最終審査が始まった。


 総勢20名が次々に歌や踊りを披露していく。

 さすが、みんなアイドルを目指すだけのことはあって、素晴らしいアピールだ。

 そして、みんなかわいい!


 めぐみちゃんは20人中20番目、つまり一番最後にアピールする。

 この順番が、偶然なのか誰かの策略なのかは分からない。

 しかし、最後なら一番印象に残るはずなので、審査には有利に働くだろう。


 演奏者やバックダンサーもいるが、その人たちは、ずっとステージ上にいて、

 アピールするアイドルたちだけが、どんどん入れ替わっていく形だ。

 あの人たち、大変そうだな~。



 アピールタイムは順調に進み、19人目のアピールが終了した。

 次は、満を持してめぐみちゃんの番だ。



 めぐみちゃんが、元気よく舞台上に登場すると、

 ひときわ大きな歓声が上がった。

 ここまでの活躍で、確実にファンを増やしているのだろう。


 笑顔で手を振り、歓声に答えるめぐみちゃん。



 しかし、

 その直後、舞台上で変な事態が発生する。



 バックダンサーと演奏者たちが、舞台上からハケて(・・・)しまったのだ。


 その人たちも全員『本当にこれでいいの?』という顔をしていたので、

 誰かに指示されて、それに従っているだけなのだろう。



 舞台上に一人取り残されるめぐみちゃん。

 どうしていいか分からず、キョロキョロしている。



「セイジお兄ちゃん、どうしちゃったんでしょう?」

「うーむ、分からん。誰かの妨害工作かもしれない。

 何かあったらすぐに動けるようにしておくんだ」

「はい!」



 そして、次の瞬間。


バチン!


 大きな音が会場中に鳴り響き、

 それと同時に、会場全体が『闇』に包まれた。



 急に真っ暗になり、ざわめく観客たち。


 しかし、演出の一環だと思ったらしく、

 それほど大きな混乱はない。



 暗闇に包まれたのは舞台上だけではなく、

 控え室や廊下も真っ暗になってしまっている。


「きゃー!」「うわー!」「何で真っ暗なの!」

 控え室の人たちは、悲鳴を上げて驚き戸惑っている。


 おそらく、この建物全体が停電しているのだろう。


 運良く手元に携帯やスマホを持っていた人は、

 それの明かりを頼りにしている。



「セイジお兄ちゃん、真っ暗で何も見えないです!」

 ヒルダが、俺にしがみついてきた。


 俺は、【闇の魔法】の【夜目】を発動させる。


 観客席は、徐々にざわめきが収まりつつあるが、

 控え室の方は、あちこちでぶつかったりしていて、大混乱だ。



「セイジお兄ちゃん、めぐみさんが心配です」

「そうだな、いますぐ助けにいこう」

「はい!」


 俺とヒルダは【瞬間移動】で、めぐみちゃんのところへ駆けつけた。


-----


「何これ!

 何で、真っ暗なままなの?」


 めぐみちゃんは、一人でうろたえていた。



「めぐみさん!」


 ヒルダは、真っ暗な中を声だけを頼りにめぐみちゃんのところへ駆け寄り、抱きついた。


「ヒ、ヒルダ!

 こんな真っ暗な中、どうやってここまで来たの?」

「セイジお兄ちゃんに連れてきてもらいました」


「セイジが!?」

「俺ならここにいるよ」


 めぐみちゃんは、真っ暗な中でホッとしたのか、

 俺の声に嬉しそうな笑顔をみせてくれた。

 まあ、俺が【夜目】を使っていなければ見えなかっただろうけど。

 ってか、めぐみちゃんも、俺が見えてるとは思っても見なかったのだろう。


「ふん、ちょっと暗くなったからって、なに勝手に舞台に上がってきちゃってるのよ!

 ここは関係者以外立入禁止なんだからね!」

「そうか~、ごめんな」


 震えながらヒルダに抱きついてる状態で強がられても、

 ぜんぜん説得力がないですよ~。

 まあ暗闇の中だし、見えてないふりをしておくか。



「まあ、私くらいのアイドルになれば、

 こんなトラブルくらい、自力でなんとかしちゃうんだから!」


 めぐみちゃんは、まだ足元が震えている。



 と、その時。

 俺の頭のなかで、危険を知らせる警報が鳴り響いた。


 さっと、周囲を警戒してみると……、

 観客席から、男が一人、舞台上に這い上がろうとしていた。



 何だあいつは!


 その男は、『暗視ゴーグル』を装着し、

 手には『ナイフ』を持っていた。



 俺は、【夜陰】を使って暗視ゴーグルにも見えないように姿を消し、

 音もなく男の背後に回り込んだ。


ドン。


 素早く、男の頭を鷲掴みにし、床に叩きつけた。


「むぎゅ……」

 男は、この暗闇の中、攻撃されるとはまったく予想していなかったのだろう。

 一撃で意識を失った。



「ちょ、丸山! 今の音は何?」

 めぐみちゃんが、怯えている。


「あーごめん、オナラが出そうになって、

 少し離れようとしたら、コケちゃった」


「バ、バカじゃないの!

 こんな時に、何やってるのよ!」

 上手くごまかせたようだ。



 しかし、まだ危機は去っていなかった。


 倒した男の他に2人、舞台の別々の場所から這い上がろうとしている。

 そいつらも、それぞれ『暗視ゴーグル』を装着して『ナイフ』を持っている。



ドン。「うぎゅ……」

ドン。「くぎゅ……」

 追加で素早く二人ともやっつけ無力化する。


 こいつらいったい何者なんだ?

 『暗視ゴーグル』を装着していたところを見ると、

 停電も計画の内だったのだろう。



 このままにしておくと、停電が回復した時に大騒ぎになって、

 めぐみちゃんのアピールができなくなってしまう。

 俺は、倒した3人を引きずって、舞台袖の人けのない所へ移動させた。


「ちょっと、丸山、何やってるの!」

「ごめんごめん、またオナラが出そうになっちゃって!」

「そんなのいいから、近くにいなさいよ!」


 うーむ、どうしよう。

 この3人を見張っていたいけど、

 めぐみちゃんの側を離れるのも問題がある。



 ここは、あいつを呼ぶか。


 俺は【闇精霊召喚】の魔法を使用した。


「セイジさん! 私をおよびですか?」

「ああ、この3人を見張っててほしいんだ」

「分かりました! 私にまかせてください!」


 こんな真っ暗な中で見張っててもらうには、闇の中でも見えるこいつが一番だ。

 敵が意識を取り戻して逃げようとしても、

 こいつには【睡眠】の魔法があるから、すぐさま無力化できるしね。



「それじゃあ、しばらく頼んだ」

「はい! セイジさん!」


 見張りを闇精霊にまかせて、

 俺は、めぐみちゃんの所へ戻った。


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