372.公開オーディション・第2回戦
『それでは、第2回戦の種目を発表いたします!
それは……尻相撲だーーー!』
『『うわーーー!!』』
尻相撲?
オーディションでそんなことをやるのか?
舞台上にマットなどが運び込まれ、
準備が整った。
『トーナメント方式で戦い、最後に勝ち残った者が優勝です。
戦い方は、舞台中央の【島】の上に2人が乗り、
尻のみを使って、相手をそこから落としたら勝ちとなります』
『『うわーーー!!!』』
なんか会場が、異常なくらいに盛り上がってるな……。
『それでは、1番と2番は島に上がってください』
『始め!』
審判の合図で、尻相撲が始まった。
アイドルの女の子たちが、胸を揺らし、己の尻をぶつけ合い、戦う姿は、
筆舌に尽くし難い壮絶なものだった。
めぐみちゃんは、他のアイドルと比べるとじゃっかん体が小さかったのだが、
逆にそれを活かして、素早く動き回り、
順当に勝ち進んでいった。
『決勝戦は、この二人だ~!!』
めぐみちゃんは、決勝戦まで勝ち進んだが、
相手は背が高くナイスボディのモデル系のお姉さんだった。
さすがにこの体格差では無理かと思っていたのだが、
めぐみちゃんは、善戦を繰り広げ、思わぬ長期戦にもつれ込んでいた。
『まさか、ここまで白熱した決勝戦になるとは!
この戦い、どちらが勝利をつかむのでしょうか!!!』
『『うをぉぉぉーーー!!』』
実況者も、観客たちも大盛り上がりである。
このままでは埒が明かない。
そう思ったのもの束の間、
めぐみちゃんが、姿勢を低くして、
対戦相手に対して執拗に下段攻撃を繰り出し始めた。
背の高い対戦相手の、弱点をつく良い作戦だ。
それが功を奏し、
めぐみちゃんの下段へのお尻攻撃が、対戦相手の足にクリーンヒットした!
「やったか!?」
俺は、思わず叫んでしまった。
攻撃をうけた対戦相手は、よろよろとバランスを崩す。
誰もがめぐみちゃんの優勝を確信した……その時!
めぐみちゃんは、下段攻撃をしたばかりで、かなり姿勢が低くなっていた。
そのめぐみちゃんの顔面に目掛けて、
バランスを崩してよろめいた対戦相手のお姉さんのお尻が……。
ドスン!!
二人はもつれるように体勢を崩し、
対戦相手のお尻が……
仰向けに倒れためぐみちゃんの顔面を……、
押しつぶしていた。
お姉さんのお尻の下敷きになり、
そこから抜け出そうと暴れるめぐみちゃん。
「だ、だめぇ~」
お姉さんは、お尻の下でめぐみちゃんにもぞもぞされ、
変な悲鳴をあげていた。
なんということだ!
うらやま……かわいそうなめぐみちゃん、
代われるものなら俺が変わってあげたい!!
いや、むしろ代わってくれ!!!
『逆転勝利!!
第2回戦、尻相撲対決の優勝は~、
○○さんです!』
対戦相手のお姉さんが優勝し、第2回戦は幕を閉じた。
『最終審査は、個人個人による歌と踊りのアピール対決になります。
出場者は、最後の衣装に着替えてください』
最後は、歌と踊りか……。
ヒルダと一緒にだいぶ練習していたから、めぐみちゃんなら大丈夫だろう。
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しばらくして、
めぐみちゃんが、控え室に戻ってきた。
「めぐみちゃん、ケガはありませんか?」
ヒルダが即座にめぐみちゃんに駆け寄る。
「だ、大丈夫……」
大丈夫と言う割には、だいぶ落ち込んでいるようだ。
顔面をお尻で潰されて、よほどプライドを傷つけられたのだろう。
ヒルダは、落ち込んでいるめぐみちゃんの頭をナデナデしてあげて、慰めている。
俺からも何か言ってやらねば。
「次は最後のアピールなんだろ?
頑張なくちゃな!」
「丸山のくせに生意気よ!
あなたに言われなくても、頑張るに決まってるじゃない!」
どうやらめぐみちゃんは、俺を罵倒すると元気を取り戻すらしい。
まあ、別にいいけど~。
やっと少し立ち直っためぐみちゃんは、ヒルダを連れて更衣室へ向かった。
さてと、
ここまで、1回戦、2回戦ともに妨害工作は発生していない。
さすがに本番中に事を起こすようなバカな奴らではないらしい。
まあ、だからといって、警戒を緩めるわけにはいかない。
泣いても笑っても、次が最終審査だ。
気を引き締めて護衛を完遂させなくては。
しばらくすると、
最後の衣装に着替えためぐみちゃんが登場した。
「どう? この衣装かわいいでしょう?」
「……」
そこには『妖精』がいた。
「ちょっと丸山、黙ってないで何か言いなさいよ!」
「かわええ……」
「まあ、丸山が私に見とれてしまうのも、無理のないことね」
めぐみちゃんは、ない胸をはって、鼻高々になっていた。
「その衣装、どうしたんだ?」
「ああ、これ?
これは、『りんご』に作ってもらったのよ」
「なるほど!
りんごが作ったのか!」
※『りんごちゃん』のことを、忘れたなんて人はいませんか?
りんごちゃんは、コスプレ大会で知り合った、デザインとかが得意な娘だ。
ジュエリーナンシーのデザイナーをやっているので、
その関係で、めぐみちゃんと仲良くなり、衣装の作成を引き受けたのだろう。
めぐみちゃんは、妖精のようなかわいい衣装で、くるくるまわってはしゃいでいた。
そのあまりのかわいさに、周りの出場者たちからも注目が集まっている。
「それでは、最終審査を開始します。
出場者の方々は、集まってください」
スタッフからの呼び出しがかかり、
とうとうオーディションの最終審査が開始された。
意気揚々と舞台へ向かうめぐみちゃん。
俺とヒルダは、めぐみちゃんを見送った後、
【追跡用ビーコン】の映像を見ながら、めぐみちゃんの活躍を祈っていた。
ご感想お待ちしております。




