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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
アイドルマネージャー編
378/438

368.トラこれ

以前に投稿した人物紹介1~4を、ちゃんとした場所に移動しました。

話数がズレているなどの現象がありましたら、連絡いただけるとありがたいです。


 めぐみちゃんを家まで送り、

 【瞬間移動】でヒルダと帰宅した後、

 【追跡用ビーコン】を取り付けた暴走族男の様子を確認する。


 しばらくして、やつは目が覚め、

 自分の手がちゃんと動くのを見て、ホッとしていた。


 しかし、俺に負けたことを思い出したのか、

 真っ青な顔をして、どこかに電話をかけ始めた。


 どうやら黒幕に連絡するらしい。


『もしもし、俺です。

 申し訳ありません。

 し、失敗しました……』



 あの男が連絡したことで、黒幕の電話番号は分かった。

 しかし、それだけでは誰なのかはわからなかった。

 ネットで電話番号を検索してみたが、ヒットしなかった。


 うーむ、電話を逆探知できる魔法があればいいんだけどな~。



 電話でのやり取りで、

 やはり、黒幕がいろいろとお膳立てをしていたのが分かった。


 男は、何かの組織の幹部にしてやるという条件で言うことを聞いていたらしい。


 今回の失敗で、幹部にする話はだめになってしまったらしく、

 男は、がっくりと肩を落としていた。



 この分だと黒幕は、また別のやつを使ってチョッカイを出してくるに違いない。

 十分注意しておくべきだろう。


 しかし、何が目的なのか、まったく見えてこないな。


----------


 翌日、俺とヒルダは、昨日に引き続きめぐみちゃんの家にやってきた。



「丸山、遅い!」


 俺たちが到着すると、

 めぐみちゃんと社長が出迎えてくれた。


 だいぶ、はりきっているみたいだな。



「丸山くん、昨日は酔っぱらいに絡まれたのを助けてくれたそうだな。

 ありがとう、本当に助かるよ」

「もう!

 おじいちゃんは偉いんだから、丸山なんかにペコペコしなくていいの!」


 社長は、少し困ったような顔をして……。


「それじゃあ、丸山くん、今日もよろしく頼むぞ」

 社長は、偉そうにそう言った。


「はい。

 了解いたしました」

 俺も、それに合わせて、深々とお辞儀をしておく。


「さ、丸山。行きましょ!」

 めぐみちゃんは、俺と社長のやり取りに満足したのか、

 ニコニコ笑顔で、歩いて行く。



 社長は、めぐみちゃんの見てないところで、

 俺に『すまない』の合図を送っていた。


 本当に、孫に甘いな。



 俺はまた、巨大な荷物を持って、めぐみちゃんを追いかけた。


-----


「ところで、めぐみちゃん。

 今回って、何のオーディションなんだっけ?」

「丸山……、

 あなた、そんなことも知らずに付き人をやっていたの?」

 めぐみちゃんは、若干あきれ顔だ。


「いやあ、そう言えば聞いてなかったな~っと思ってさ」

「もう、しょうがないわね~。

 私が教えてあげる!」



 めぐみちゃんの説明によると、

 今回は、ゲームの声優のオーディションなんだそうだ。



 そのゲームの名は、

 『トランプこれくしょん』、通称『トラこれ』というらしい。


 そのゲームに登場する52人の『トランプ娘』、通称『トラむす』を担当する声優が、

 そのままアイドルとしてデビューする、ということになっているんだそうだ。


 52人中50人は、すでに大手芸能プロダクション所属のアイドルが担当することが決定していて、

 のこり2人を、このオーディションで決めるんだそうだ。


 オーディションがここまで大掛かりなのは、大手芸能プロダクションが絡んでるからなのか。


-----


 会場に到着し、

 昨日と同じように、オーディションの本選が開始された。


 昨日よりだいぶ人数が減り、

 控え室にいるアイドルは20人ほど。


 そして、部屋全体がピリピリしている。

 俺、こういう雰囲気って苦手なんだよな~。



「あ、あの、めぐみさん。

 き、昨日はどうも……」


 あ、『真っ赤な飴』の娘が、また来やがった。


 その娘は、警戒しているらしく、

 俺の様子をチラチラうかがって、笑顔が少しぎこちなくなっていた。



 また、何か仕掛けに来たのか?

 俺は、めぐみちゃんを守るため、

 二人の側に、ズカズカと近づいた。


「昨日は、飴を取ったりして、ごめんね~」

「い、いえ……」

 いきなり俺に話しかけられ、その娘は、あからさまに警戒のレベルをあげた。


 めぐみちゃんも、それに気がついたらしく、嫌な顔をしている。

「まるや……マネージャーさん、

 え~っと……、

 私、喉が乾いちゃった~。

 オレンジジュースを買ってきていただけませんか?」


 めぐみちゃんは、人前では俺を『マネージャーさん』と呼ぶ。

 大人の男を、呼び捨てにしている所を見られると、印象が悪いと分かっているのだろう。


 そして、急に『オレンジジュースを買ってきて』だと?

 おそらく、邪魔だから、どっかに行けと言いたいのだろう。

 めぐみちゃんは、その娘が危険人物と知らないのだから、仕方がない。


 だからといって、俺がめぐみちゃんを置いて、ジュースを買いに行くわけにはいかない。



ササッ。


「はい、オレンジジュース」

 俺は、【インベントリ】から素早くペットボトルのオレンジジュースを2本取り出し、

 めぐみちゃんと危険人物娘に渡した。


「え?」

 めぐみちゃんは、いきなりジュースが出てきて驚いていたが……。

「えぇ!?

 い、いま、ジュースが、いきなり……、

 ど、どうして?」

 危険人物娘の方が、もっとびっくりしていた。


「あはは、

 まるや……私のマネージャーさんは、

 いつも、もの凄く準備がいいんです。

 私も、最初は驚いちゃったけど、もうなれちゃいましたよ」

「は、はあ」


「あなたも、よかったらどうぞ」

 危険人物娘は、めぐみちゃんに進められて、しぶしぶジュースに口をつける。



「お、美味しいです、ありがとうございます」

 危険人物娘は、ジュースを一口飲み、俺ににっこり微笑んでお礼を言う。


 まあ、だからといって、俺は君に気を許したりはしないよ?



「昨日は、君の『飴』を勝手に舐めてしまってごめんね。

 あの飴、とっても美味しかったんだけど、

 アレって、どこで買ったの?」

「……」


 危険人物娘は、急に『飴』の話を振られて、動揺している。


「それとも、あの飴は……、

 誰か(・・)にもらったものなのかな?」

「い、いえ……、

 そ、それは……」


 明らかに動揺している。

 この反応から察するに、

 おそらく、黒幕から渡された飴だったのだろう。



 危険人物娘は、そうそうにめぐみちゃんとの会話を打ち切って、

 去っていってしまった。



 【追跡用ビーコン】で後を追って見てみると、

 そそくさと給湯室に駆け込み、

 俺が渡したオレンジジュースを、ドボドボと流しに捨てていた。


 疑り深い娘だな。

 それに、食べ物や飲み物を粗末にするなよ!




 まあ、でも、

 あの娘、すでに一口(・・)飲んじゃったよね?


 実は、あのジュースには『とある薬』が入れてあって、

 今ごろ、あの娘は……。



 なんてことは、もちろんないよ!


ご感想お待ちしております。

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