361.異世界ですっぽんぽん
本日、『時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり①』が発売されました!
よよよ、よろしくお願いしましゅ。m(_ _)m
リオの空手大会が終わった、その日の夜。
俺は一人、ホテルの部屋で、出発の準備をしていた。
「よし、それじゃあちょっと異世界に行ってくるかな」
俺は、【瞬間移動】で異世界へ飛んだ。
「お、こっちは昼間か!」
そういえば、異世界は日本時間と同じだったっけ。
俺がやってきたのは、
悪魔族の街があった近くの森で、
ちょっと前にドラゴンと戦った場所だ。
今はもう、街には誰もおらず、
辺りに人や悪魔族の気配はない。
「よし、実験にはもってこいの場所だな」
そう、俺は、実験をするためにここに来たのだ。
何の実験かって?
それは……。
【竜化の魔石】の実験だ!!
【鑑定】の結果では、
『レベル50未満の者が使用すると、正気を失い、もとに戻れなくなる』
と、あった。
つまり、レベル50以上なら、
正気を失うことも、もとに戻れなくなることもないということだ。
現在、レベル50以上なのは、俺とエレナだけだ。
こんな実験をエレナにさせるわけにはいかない。
だから、俺自身が実験台になろうということだ。
さっそく、【竜化の魔石】をインベントリから取り出し、実験開始だ。
「竜化!!!!」
俺はキメ顔で、そう叫んだ。
「おぉ!」
なんか体がムズムズする。
何かが起こり始めている感じだ。
「え?」
ビリビリ。
次の瞬間、俺の着ていた服が、
すべて弾け飛んでしまった。
パンツまでもが、木っ端微塵だ。
「は、恥ずかしい……」
俺は、異世界の森のなかですっぽんぽんになってしまった。
どうしてこうなったかというと、
俺の体が、巨大化しているからだ。
こんなことになるんだったら、
エレナに実験を頼めばよかった……。
徐々に巨大化する俺の体。
それだけじゃなく、皮膚が鱗みたいになってきている。
これは、ドラゴンになってきているのか?
待つこと、数十秒。
俺は、巨大なドラゴンに変身していた。
「ヤバイ、デカすぎだ!」
たぶん、都庁くらいの大きさはあるんじゃないかな?
ドスン!
少し動いただけで、辺りが揺れ、森の動物たちが逃げ惑う。
「これが【竜化】か!
パないな!!」
もしこれを、東京で使ったら……。
自衛隊にミサイルを打ち込まれちゃいそうだな。
「一回、もとに戻ってみるか」
もとに戻るように念じると、
俺の体はヘナヘナとしぼみ、もとの姿に戻った。
すっぽんぽんだけどな!!
「いやん!」
俺は、急いでインベントリから着替えを取り出し、服を着た。
こまった。
服が破けてしまうなら、事前に脱いでおけば済む。
しかし、それでも、すっぽんぽんになってしまうことには変わりない。
これじゃあ、人前では使えないな。
そうだ!
魔法少女の変身シーンみたいに、謎の光で目隠ししよう!
俺は、さっそく試してみることにした。
まずは、【光の魔法】で、俺の体が謎の光に包まれる。
次に、すばやく【変身魔石】で着ている服を魔石に格納し、
しかる後に、【竜化の魔石】でドラゴンに変身!
今度は上手くいった!
服は破けなかったし、
変身に要する時間もかなり短縮できた。
必要なMPを【竜化の魔石】に一気に流し込むことで、
素早く変身できるみたいだ。
何度か練習を重ね、
【竜化】を完了させるタイムは、僅か0.05秒まで縮めることが出来るようになった。
ここまで出来れは実用に耐えられそうだ。
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次に、変身後のドラゴンの能力についても、実験をしてみた。
まず、『しっぽ』。
人間にはない部品だけど、
意外にも、けっこうかんたんに動かすことができた。
とはいっても、左右に振ったり、
地面にビッタンビッタンと叩きつけたりするくらいだ。
細かい調整まではできなかった。
あと、地面に叩きつけた時、
周囲に亀裂が走ったけど、
これくらい平気だよね?
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次は、『翼』。
これも、かんたんに動かすことはできた。
しかし、バサバサするだけで、
飛ぶことはできなかった。
おかしい。
ドラゴンなんだから、飛べるはずなのに。
あ!
俺は、思いつきで、
翼に魔力を送り込んでみた。
「おぉ!」
翼に魔力を送り込んだとたん、
体の重さが急に減り、
巨体が宙に浮かんだ。
なるほど、物理的に飛んでいるのではなく、
魔力で飛ぶのか。
どちらかと言うと、鳥の羽根ではなく、
魔女のホウキに近いものなのかも。
いちど飛べてしまうと、
けっこう自由に飛べるようになった。
これは気持ちいい……。
速度も、かなり出せる。
風が体をすり抜けていく感じが、爽快でたまらん。
調子こいて、さらに速度を上げると、
風の抵抗が強すぎて、ある一定の速度で頭打ちになってしまった。
こんな時こそ、【風の魔法】の出番だ。
魔法で風を上手く流れるように誘導し、
さらに、進行方向の空気を真空状態にすることで、
とんでもない速度を実現できるようになった。
ハッと気がついて、後方を見てみると、
衝撃波で、地面がえぐれてた……。
音速を超えていたか……。
まあ、誰もいない場所だし、大丈夫だよね?
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最後に、もう一つ実験をしてみることにした。
息だ。
ドラゴンといったら、火を吐いたりするものだ。
とりあえず、喉の辺りに魔力を溜め、
イメージを固めて、一気に吐き出してみた。
ブウォーーーー!!
出た!
物凄い炎が吹き出て、
前方の森が、扇状に数キロ先まで消し飛んでいた。
これはヤバイ!
誰もいないところで良かった。
『火』が上手くいったので、
今度は『氷』を試してみよう。
氷をイメージしてブレスを吐き出す。
消し飛んでいた場所が、一転、カチンコチンに凍りついていた。
さらに俺は、
調子に乗って、『光属性』も試してみた。
それは……、
『レーザービーム』だった。
口から一直線に発射され、
地面に底の見えない溝が、遥か地平線の彼方まで出来上がっていた。
溝の底には、溶岩らしきものが見えたりしているけど……、
大丈夫だよね?
ね?
ご感想お待ちしております。




