357.オリガ選手を縛り上げる
「ロープあったよ~」
アヤが、丈夫そうな太いロープを見つけてきた。
でかしたアヤ。
コレで、オリガ選手を拘束できる。
あれ?
ロープで人を拘束するのって、どうするんだっけ?
オリガ選手を押し倒すのが忙しくなければ、
縛り方の動画を検索して見てみるのにな~
仕方がないので、普通に両手両足をキツめに縛って拘束した。
ちょっと縄が食い込んじゃったりしても、仕方ないよね……。
「ふぅ」
やっと、なんとかなった。
「兄ちゃん、やけに女性の縛り方が手慣れてるね」
アヤが、バカな事を言いだした。
「アヤ。そんなにお前も縛られたいのか?」
「やめとく~。
私は今度、エレナちゃんを縛って遊んでみるよ」
おのれアヤ! 許しまじ!!!
あとは、オリガ選手を元に戻せればいいんだけど……。
とりあえず、もう一度【鑑定】してみよう。
ステータス的には、変わっていなかったが、
状態が『???』と、なっていた。
鑑定でも分からない状態異常なのか。
そう言えばエレナが、何か埋め込まれているって言ってたな。
「エレナ。
何かが埋め込まれているって、どういうことだ?」
「よくわかりません。
体の方は、なんともないんです。
体の奥の方からの力で、強制的に何かされているような、そんな感じなんです。
なんとなくしか分からないんです。ごめんなさい」
「いや、仕方ないさ」
うーむ、
とは言ったものの、どういうことだ?
わけが分からん。
実験で何かを埋め込まれたのか?
「お兄さん」
今度は、舞衣さんがツンツンしてくる。
「舞衣さん、どうしたんですか?」
「このオリガ選手だけど……、
頭の中心あたりに、変な魔力の流れを感じるんだ」
「なんだって!?」
舞衣さんの【魔力感知】か!
おそらく、それが埋め込まれた物なのだろう。
しかし、頭の中心辺りって!
そんな場所じゃ、
ナイフで体を切って異物を取り出して、すぐに回復魔法で治すなんてことも出来ない。
もしかして、オリガ選手だけじゃなくて、
マーシャ選手と、イリーナ選手も、似たような状況なんじゃないだろうか?
ん?
魔力の流れ?
もしかして、何らかの魔力の影響で、状態異常が維持されているんじゃないのか?
だとしたら、魔力がなくなれば、
もとに戻るんじゃないのか?
これは、【魔力強奪】の出番か?
百合恵さんがおかしくなった時に、たまによくやっているアレだ。
俺は、オークになってしまったオリガ選手の頭に手を乗せ、
【魔力強奪】を発動させた。
「お!
お兄さん、いい感じじゃないか。
変な魔力の流れが、ぜんぶ吸い取られているよ」
どうやら上手くいっているみたいだ。
そして、オリガ選手のMPが、
とうとう『0』になった。
「あ! 兄ちゃん!
オリガ選手の体が縮んでいくよ!」
アヤの言う通り、
オリガ選手の状態異常は解除され、
じょじょに元の女性の姿に戻った。
そして、彼女はそのまま気を失ってしまったが、
【鑑定】の結果でも、状態異常がなくなり、
普通に寝ているだけのようだ。
せっかく拘束した縄も、体が縮んだことで解けてしまっている。
まあ、状態異常も治ったし、
縛り直すこともないだろう。
『ご協力、か、感謝します……。
も、もう、大丈夫なのですか?』
オリガ選手の状態異常が治って、大丈夫になったとたん、
警備員たちが駆けつけてきた。
君たち、遅いよ!
『私にもよく分かりませんが、
時間がたったことで元に戻ったのかもしれません』
『そ、そうですか。
医務室に運んでも大丈夫そうですか?』
なんか、すっごくビビてるな。
まあ、ムリもないけど。
『多分、大丈夫だと思いますよ』
俺は、そう答えておいた。
警備員たちは、オリガ選手を運ぶための担架を運んできた。
『それでは、オリガ選手を医務室に運びます』
警備員たちが、
気を失っているオリガ選手を担架に乗せようと……、
ちょうどその時だった。
ドカーン!!
試合会場に、爆発音が鳴り響き。
会場の大きな鉄の扉が、破壊されて吹き飛んでいた。
「「!?」」
俺たちも含め、その場にいた全員の視線が、
破壊された扉に集中する。
そして……。
ドスン。ドスン。
何やら巨大な足音が鳴り響き……。
破壊された扉の向こうから、
巨大な生物?が、ゆっくりと現れた。
「な、なんだアレは!」
そこに現れたのは……。
『ドラゴン』だった。
え!?
いやいや、ありえんだろ!
さっきまで、マップにも表示されてなかったぞ?
そもそも、なんでドラゴンが、
地球に、いるんだよ!!
しーん。
会場の全員が、状況を理解できず、
ただただ、静かに立ち尽くしていた。
ドラゴンは、象ぐらいの大きさだ。
ドラゴンとしては、少しちいさめだろうか。
そして、そいつは、おもむろに息を吸い込む。
ギャーーーーーオ!!
大きな大きな、雄叫びを上げた。
会場全体が、その雄叫びで震える。
そして、それを聞いた人たちが、
腰を抜かし、動けなくなってしまった。
「ひ、ひぃ……」
俺の近くにいた警備員も、
小さな悲鳴を上げて、へたり込んでいた。
そして、そのドラゴンの後ろから、
白いコートの男が、ゆっくり現れた。
このドラゴンも、お前の仕業か!
男は相変わらず、いたるところから血を流したままだ。
『くけけけ……。
いいぞいいぞ!
まさか、この【実験体1号】も、コレだけのパワーを発揮するとは!
少し形がおかしくなったが、そんなことはどうでもいい!』
さっき打った注射のせいだろうか?
あの男、テンションが少しおかしくなってないか?
『さあ、【実験体1号】よ!
【実験体2号】を奪還するのだぁ!!』
白いコートの男は、
ドラゴンのしっぽを、パシッと叩いた。
おそらく、
あのドラゴンが【実験体1号】で、
オリガ選手が【実験体2号】なのだろう。
「あ!」
次の瞬間、
白いコートの男は……、
ドラゴンに、
頭から、かぶりつかれていた。
ご感想お待ちしております。




