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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
空手大会編
365/438

355.世界空手大会決勝3


 試合は、重量級決勝。

 舞衣さんとオリガ選手の試合が始まろうとしていた。


 オリガ選手は、かなり身長が高く、大人の女性といった感じだ。

 舞衣さんと並ぶと、完全に親子にしか見えない。



「始め!」

 審判の合図で最後の試合が始まった。


 オリガ選手は、マーシャ選手やイリーナ選手よりも、

 早く、そして、力強かった。



 ちょっと【鑑定】してみるか。


┌─<ステータス>─

│名前:オリガ 年齢:21

│職業:被験者

│レベル:8

│HP:1256

│MP:139

│力:129 耐久:37

│技:129 魔力:14

│スキル

│ 肉体強化3

│ 体術5

└─────────


 おお、強い!


 体術5って事は、これまでの二人と違って、

 ずっと空手をやってきた人なんだろう。


 【肉体強化魔法】も、レベル3だし!



 まあ、それでも舞衣さんには、かなわないけどね。



 舞衣さんは、さっきからあまり本気を出していない。

 おそらく、オリガ選手が力を隠し持っているのを察していて、

 実力を出してくるまで待っているのだろう。



 そんな舞衣さんの思いに答えるように、

 オリガ選手は、少し距離をとり、

 『マトリョーシカ三姉妹』特有の集中するポーズを取り始めた。



 すぐに、オリガ選手が【肉体強化魔法】で強化を完了させ、

 ふたたび舞衣さんに突撃をかける。



 お!

 オリガ選手の動きが、かなり良くなった!


 オリガ選手の【肉体強化魔法】は、これまでの2人と違って、

 力、速さ、防御など、複合的に強化してるっぽい。



 そして、オリガ選手と舞衣さんの、本格的な戦いが開始され、

 激しく戦う二人からは、重低音が連続で鳴り響いていた。



 案の定、一般の人には速すぎて見えないようで、

 審判たちは困り果てている。


 逆に、観客席の人たちは、見えない戦いに賞賛の歓声を上げていた。

 アヤの時は、みんな唖然としていたけど、2回目だから慣れてきたのかな?



 オリガ選手は、体に無理がかからないように、

 上手く肉体強化魔法を使っているらしく、

 舞衣さんも安心して戦いを楽しんでいるようだった。


-----


 しばらくの間、一般人には目で追えないハイレベルな戦いが続いていたが……、

 オリガ選手のMP切れだろうか、

 とうとう、オリガ選手は息切れを起こし始めた。



 満身創痍のオリガ選手。

 彼女は、力を振り絞って最後の一撃を放った。


 しかし、その攻撃は舞衣さんに受け流され、

 スキだらけになったオリガ選手は、舞衣さんの見事な正拳突きを食らってしまった。



「一本! それまで!」


 オリガ選手は、そのまま後ろ向きに倒れ、

 仰向けのまま顔を手で覆って、悔しさに震えていた。


 そして、舞衣さんの重量級優勝が宣言された。



 オリガ選手は、舞衣さんに手を差し伸べられて立ち上がる。

 そして、そのまま、二人は固い握手をかわした。



「「おぉーーーー!!」」

 会場からは、割れんばかりの歓声と、拍手が鳴り響いた……。




 あれ?

 けっきょく何も起きなかったな。


 いけない、いけない。

 こんな不謹慎なことを考えてちゃダメだな。




 二人は、お互いに礼をして……。



 あれ?



 オリガ選手が、礼をしたまま顔を上げない……。


 感極かんきわまってしまって、顔を上げられないのかな?



「うぐぐ……」

 なんか、オリガ選手が……、

 心臓のあたりを手で抑えて苦しみだした。



ドクン!


 オリガ選手の心臓の音が、

 なぜか、離れた俺の場所まで聞こえた。



「ぐわぁーーー!!!」

 オリガ選手が、さらに激しく苦しみだす。


 舞衣さんも、異変を感じて警戒態勢をとった。



ドクン、ドクン!!


 心臓の音がまた、激しく聞こえ、

 その音と連動して、オリガ選手の体が、

 ビクンビクンと、痙攣けいれんし始めた。


 そして、それに合わせて、

 なんかオリガ選手の体が、微妙に大きくなっているような気がする……。

 そんなこと、あるわけないのに……。



 いや!

 気のせいじゃない、

 本当に大きくなってきている。



 筋肉がモリモリ膨らみ、

 まるでオークのような、体つきになってきている。



 あまりの出来事に、静まり返る会場。



「オリガ選手、大丈夫ですか?」

 審判の一人が話しかけたが、

 オリガ選手は、まったく反応しない。


 困り果てる審判たち。



 しばらくして、オリガ選手の痙攣が止まった。


 そして……。


「グワーーッ!!」

 オリガ選手は、叫び声を上げ、

 近くにいた審判さんに、急に殴りかかった。


ドカン!


 殴られた審判さんは、壁まで吹っ飛び気絶した。



 あれ、マズイんじゃないか?



 オリガ選手が、さらに別の人を殴りに行こうとした時、

 舞衣さんが、とっさに立ちはだかり、その拳を受け止める。


ドオン!


 そうとうな衝撃だったのだろう。

 拳を受け止めた舞衣さんの足元、

 板張りの床が、衝撃で少しめくり上がってしまった。



 会場にいた審判やそれ以外の人たちが逃げ惑い、

 代わりに警備員が駆けつけてきた。


 しかし警備員たちは、暴れるオリガ選手が怖くて、近寄れないでいた。




「俺たちも、下に降りるぞ!」

 俺は、観客席から飛び降りて、

 舞衣さんのところへ駆け寄った。


 エレナとヒルダも、俺を追って飛び降り、

 ケガをした審判さんのところへ向かった。



「あ、お兄さん。

 これ、どういう事なんだい?」

 俺が横につくと、舞衣さんが話しかけてきた。


「俺にも分からん。

 とりあえず、この人を止めないと」

「了解」


 俺と舞衣さんは目配せをして、

 同時に駆け出した。


ご感想お待ちしております。

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