表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
空手大会編
362/438

352.きみよちゃんの治療


 3人で、きみよちゃんの運び込まれた医務室に【瞬間移動】した。


「救急車が来ないってどういうこと?」

 アヤがドクターに英語で詰め寄っている。


「救急隊はストライキ中で、動いていないんですよ。

 でも、ちゃんと応急処置はしましたから、心配ないですよ」

 ドクターは逃げるように医務室を出ていってしまった。


 救急隊がストライキか~。

 政情不安で給料が出ていないという話だし、その影響かな?



 きみよちゃんは、負傷した左手に包帯が巻かれていて、

 痛み止めの影響だろうか、ベッドで眠っている。


 早く治してあげたいのだが、百合恵さんがいるので姿を現すことが出来ない。

 どうしようかと思っていると、舞衣さんが助け舟を出してくれた。


「アヤ君はそろそろ次の試合だろ? 準備を始めたほうがいいんじゃないかい?

 きみよ君はボクが見ておくから、百合恵くんもアヤ君の付き添いを頼む」

「はい」


 百合恵さんは心配そうな顔をしていたが、アヤと一緒に医務室から出ていった。



「さて、お兄さんたち来てるんだろ?

 きみよ君の治療をたのむよ」

 やはり舞衣さん、俺たちのこと気づいていたのか。


 俺たち3人は【透明化】をといて、姿を現した。


「エレナ、治療を頼む」

「はい、おまかせください!」

 エレナは【アスクレピオスの杖】を取り出して、

 はりきって治療を開始した。

 ちょっと大げさじゃないか?



 治療が完了し、寝ているきみよちゃんの寝顔も楽そうになっていた。


「これで安心だな」


 一安心していると、舞衣さんが俺の袖をくいくいと引っ張ってきた。


「お兄さん、きみよ君を僕たちの控え室に運んでくれないかい?」

「控え室に?」

「日本人選手3人に充てがわれた控え室だから、

 そっちのほうが安心だろ?」


 なるほどな。


 すやすや眠るきみよちゃんをお姫様抱っこして、日本人選手の控え室へ運んだ。


----------


「あ、兄ちゃん。

 きみよちゃんを連れてきちゃったの?」

 アヤは、百合恵さんとともに次の試合の準備をしている最中だった。


 準備といっても着替えではないよ?

 妹の裸をのぞいたって、ちっとも楽しくないしね。



「こっちのほうが安心できると思ってね」


 きみよちゃんを控え室のベッドに寝かせてあげた。


「大丈夫そうだね、よかった~」

 アヤも、エレナが治療したことを分かって安心していた。


「アヤさん、そろそろ出番ですよ」

「あ、そうだった!

 それじゃ、兄ちゃん、あとよろしくね~」

 アヤは百合恵さんと一緒に、控え室を出ていった。



「さて、お兄さん、

 着替えをする時は出ていってもらう必要があるけど、

 それまではここにいてもいいよ」

 まあ、舞衣さんがいいって言うならいいか。



 しばらくして、きみよちゃんが目を覚ました。

「あれ? ここは控え室?

 私、どうしたんでしたっけ?」


「試合中に負傷したんですよ。

 覚えてませんか?」

「あっ……」

 きみよちゃんは、思い出したようだ。


 そして……。

「私、まけ……ちゃった……、

 ぐすん……」

 しくしく泣き出してしまった。


 俺は、一所懸命きみよちゃんをなぐさめたのだが、

 なかなか泣き止んでくれない。

 そんなに泣いたら、干し芋みたいに干からびちゃうよ?


「きみよさん、何か飲みますか?

 少しは落ち着くと思いますよ」

「はい……、ありがとうございます」


 さて、飲み物は……お茶でいいか。


 俺は、控え室の隣の給湯室に入り、

 インベントリから急須きゅうすとお茶っ葉を取り出す。

 お湯は魔法で作り出した。


 そして、れたお茶をお盆に乗せ、きみよちゃんのところへ持っていく。



「あ、日本茶!」

 きみよちゃんは、驚いていた。


 お茶の香りで少し元気を取り戻したきみよちゃんは、

 ベッドから起き上がり、テーブルに移動する。

 そして、いそいそと自分の荷物から何かを取り出した。


「お茶請け、こんなのしかありませんけど……」

 きみよちゃんが出したのは、『干し芋』だった。

 ほんとに好きなんだな。


 さすがに昨日から干し芋ばかりで飽きちゃわないのかな?


「あ、そうだ!

 ちょっと待ってて」

 俺は、いったん給湯室に行き、

 商店街で貰った和菓子とお煎餅をインベントリから取り出し、

 お皿に並べて戻った。


「こんなのどう?」

「うわぁー、美味しそう!」

 きみよちゃんが目を輝かせて喜んでくれている。



 4人でテーブルを囲み、

 甘いのとしょっぱいのを交互に食べて、日本茶をすする。


 地球の反対側にいるとは思えない、この日本っぽさ!

 なんか、なごむ~。


----------

 みんなでわいわいとなごんでいると、

 しばらくしてアヤと百合恵さんが戻ってきた。


 どうやら勝ったみたいだな。

 まあ、当然だけど。



「あー!

 私を除け者にして美味しそうなのを食べてる~!」


 アヤは和菓子を一つつかむと、

 ポーンと上に放り投げて、

 口でキャッチしムシャムシャと食べた。


 はしたない!


 そしてアヤは、ソファーの俺のすぐ隣にドシンと腰を下ろし、

 ケツをゲシゲシと体当りさせて、俺の座ってた場所に割り込みやがった。


「兄ちゃん、私は紅茶ね。

 あと、ケーキが食べたいな」


「アヤちゃんたら!」

 きみよちゃんは、くすくす笑い始めてしまった。


 アヤのわがままは目に余るものがあるけど、

 まあ、今回はきみよちゃんの笑顔に免じて許してやるか~。


 俺は給湯室に行き、

 アヤの分の紅茶と、インベントリから取り出した人数分のケーキを持って戻った。



「紅茶に、ケーキまで!

 セイジさんって、まるで魔法使いですね!」

 しまった、きみよちゃんに驚かれてしまった。


「お、おう!」

 俺は、そう答えるしかなかった。


ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] きみよちゃんは茨城県人かな 干し芋は茨城産に限るよね、前川越産を買って ガッカリしたよ?矢張り海風に 当て干した芋は美味いよ?冬場の太平洋の 寒風に当てないと美味く成らないよ? 現代は乾燥機…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ