349.世界空手大会・第一回戦
「きみちゃん、朝ごはん、おいしかったね~」
「アヤさん、食べすぎですよ、
試合の時、動けなくなっちゃいますよ」
干し芋の代わりということで、夕飯と朝食を一緒に食べ、
きみよちゃんとアヤは、すっかり仲良しになっていた。
アヤは、人と仲良くなることに関しては天才的だな。
今日開催される大会のため、会場へやってきていた。
「ここが、会場か~
けっこう立派な建物だね」
「来年のオリンピックの会場になるんだってさ」
立派な会場を見上げつつ、会場入りしようとしていたところ、
俺たちは、見知った人たちにバッタリ出会ってしまった。
「よう、昨日のジャップじゃねえか、
空手大会を見学に来たのか?」
昨日レストランで絡んできた、アマゾネス三姉妹だ。
こいつらも空手大会の出場者だったのか。
「見学じゃなくて出場するんですよ」
「はぁ!? お前たちが?
全員子供じゃないか!
あ、もしかして、小学生の大会でもあるのか?」
まあ、そう思われるのも仕方ないことだとは思いますけどね……。
「出場するのは、この3人ですよ」
俺は、出場する3人を紹介してあげた。
「「ははははは」」
アマゾネス三姉妹は、それを見て3人で大爆笑を始めた。
「ジャップはジョークが苦手って聞いてたけど、
あんたのジョークはとっても面白かったよ!
コメディアンでも目指してみたら、けっこういけるんじゃないか?」
アマゾネス三姉妹は、そういい残して去っていった。
「まあ、こっちには舞衣さんもいるし、仕方ないよな」
「お兄さん、ボクにケンカを売ってるのかい?」
「滅相もございません。
舞衣さん、その闘志は試合にぶつけてくださいよ」
「わかったよ、そうする」
舞衣さんは海外に来て、日本以上に子供扱いされることが多く、
少々うんざりしているようだった。
会場の『選手専用入り口』まで、みんなでやってきた。
「三人とも頑張ってくるんだぞ」
「だいじょーぶ、まかせて!」
「まあ、なるべくケガをさせないように頑張ってくるよ」
「が、が、が、頑張りましゅ」
あと、百合恵さんもトレーナーとして同行を許可され、
4人は、選手専用入り口から入っていった。
「さあ、俺たちは観客席の席取りをしにいこう」
「「はーい」」
俺は、エレナとヒルダを連れて、観客席へ向かおうとした。
その時、また、見知った顔とすれ違った。
『マトリョーシカ三姉妹』だ。
しかし、3姉妹を先導して歩いている白いコートの男……。
なんか不気味な感じだな。
その4人も選手専用入り口から入っていった。
あいつらも選手なのか……。
あの3人……見た目的には、それほど強そうには見えないんだけどね~。
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俺、エレナ、ヒルダの3人で、観客席に陣取り、しばらく待っていると、
ようやく試合が開始された。
まずは軽量級の一回戦からスタート。
最初に出てきたのは、きみよちゃんだった。
しかし、きみよちゃんは、ガチガチに緊張してしまっているようで、
歩く時、右手と右足が同時に出てしまっている。
「きみよさーん、頑張れー!」
俺が応援の声を上げると、
きみよちゃんは俺に気づき、小さく手をふり返してきた。
いくぶんか緊張がほぐれたらしく、
きみよちゃんは、しっかりした足取りで競技場に進み出る。
そして、『始め!』の合図で試合が開始された。
相手のカナダの選手は、のっけから猛攻撃を繰り出してきた。
防戦一方になるきみよちゃん。
しかし、きみよちゃんのガードは硬く、すべての攻撃をきっちり受けきっている。
きみよちゃんの得意分野は、ガードなのかも。
しばらく攻防が続いたが、さすがに攻め続けていた対戦相手の息が上がってきた。
きみよちゃんは、そのスキを見逃さず、反撃を試みる。
そこからは、一気にきみよちゃんの流れになり、
ついに、一撃をクリーンヒットさせ、勝利をおさめることが出来た。
見ごたえのある試合に、会場から拍手が巻き起こる。
きみよちゃんは、四方の観客に向かってそれぞれ礼をし、
最後に競技場に向かって一礼をして控え室に入っていった。
礼儀正しい娘だな~。
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軽量級の一回戦が終了し、
次は、中量級の試合が開始された。
何試合目かでアヤが登場した。
アヤは、まったく緊張していないらしく、
観客に向かって手をふったり、投げキッスをしたりしている。
相手はフランスの選手で、それなりの実力者らしい。
試合開始と同時に、対戦相手が猛攻撃を繰り出してきた。
しかし、その攻撃は空を切り、
その場所にアヤは、いなかった。
攻撃を避けるため、バックステップで距離をとっていたのだ。
そして、攻撃の戻しのモーションに合わせてアヤが飛び込み、
一撃で、対戦相手を吹き飛ばしてしまった。
吹き飛ばされ、尻もちを突いて唖然とする対戦相手。
審判も、何が起こったか分からず、立ちすくんでいる。
バカ、アヤ……。
攻撃の速度が速すぎだ。
あれじゃあ、誰も目で追えてないぞ。
審判の人たちが誰ひとりとして見えておらず、
仕方がないので、『ビデオ判定』で確認することになった。
なんか、最近導入されたシステムらしい。
ビデオ判定の結果、アヤの攻撃がかろうじて1コマだけ映っていたのが確認され、
アヤの勝利が確定した。
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そして、真打ちの舞衣さんが重量級の試合に登場した。
案の定、会場は大いにざわつき始めた。
観客の一人が、『児童虐待だ!』などと係員に食って掛かる場面も見受けられた。
混乱を収拾すべく、
会場内に、異例の放送がなされた。
『次に対戦する日本のマイ・カワイは、19歳であることが正式に確認されております。
この情報は、何度も確認を取り、間違いがないとの確信に至っております。
会場の皆様は、なにとぞご静粛にお願いします』
なんか凄い放送だな……。
会場にぽつんと立ちすくんでいる舞衣さんは、
若干、ムッとした表情を浮かべていた。
ご感想お待ちしております。




