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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
風と雷の魔法編
35/438

031.ツバを付けとけば治る

「ほら、家に戻ってきたぞ」


 俺達は、【瞬間移動】で自宅の玄関に戻ってきたのだが、二人ともブルブルと震えが止まらないらしく、俺に抱きついたまま動こうとしない。

 しかたがないので、しばらくの間、俺は抱きつかれたまま、二人の頭を撫で続けていた。



「二人とも、いつまでひっついてるんだ?」


 俺は抱きついたままの二人を玄関に座らせて、一人ずつ靴を脱がせてやった。

 そして、そのままの状態で、リビングのソファーに【瞬間移動】で移動させた。


 ソファーに移動させても、まだ引っ付いたままだ。

 そんなに怖かったのだろうか。



 俺は、インベントリから取り出した2つのマグカップに【牛乳】を注ぎ、【砂糖】をスプーン1杯ずつ入れて。

 アヤの【ドライヤー温風魔法】の電熱線部分だけを【雷の魔法】で真似して、【牛乳】を温めてた。


「ホットミルクを作ったから、二人共飲みな」


 二人は、俺の用意したホットミルクを、ゆっくりとコクコク飲んだ。

 ホットミルクを飲み終えた所で、やっと二人も落ち着いてきたようだった。


「あ、セイジ様、ほっぺに怪我が!」

「兄ちゃん、怪我したの? あ、私がナイフで攻撃された時の!」

「早く治療しないと」


「平気だよ、こんなのツバつけとけば治るって」

「はい、わかりました」


 はい?


 気が付くと、エレナが俺の怪我したほっぺに、『キス』していた。


「ちょっ! エレナ何してるの!」

「だってセイジ様が、ツバをつけると治るって」

「それは言葉のアヤっていうか・・」

「アヤさんのツバなら治るんですか?」

「違う違う、そのアヤじゃなくって」


 気が付くと、アヤが反対側のほっぺに『キス』していた。


「ちょっ! アヤまで何してるの!」

「だって兄ちゃんが、私のツバを付けて欲しいって、言うから」

「言ってないだろ、しかも傷してる場所は反対だし」


 アヤの奴、半笑いしてやがる。

 俺をからかってるのか、くそう。


「ツバで治らないのでしたら、私が魔法で治します!」

「エレナちゃん魔法で傷を治せるの?」

「分かりませんけど、私の命に変えてでも治してみせます!」

「命なんて賭けなくていいから!」



 エレナは凄く真剣な表情で、俺の傷の部分に手をかざして、集中し始めた。


 しかし、俺が【鑑定】した限り、エレナは傷を治す魔法を習得していないはず。

 いくらなんでも、習得していない傷を治す魔法を、いきなり使うのは、ムリなんじゃないかと思っていると……


 傷の辺りが、何だか温かくなってきた。

 もしかして、魔法が効き始めている!?


 さらにしばらく経つと、今度は傷の辺りがくすぐったくなってきた。

 これは何かが起こる予感がする!


「あ、兄ちゃんのほっぺの傷、カサブタになってる」


 アヤが覗きこんで、そう教えてくれた。

 さっきのくすぐったさは、カサブタのせいだったのか。


 エレナは、更に集中して魔法を使い続け、俺のほっぺから、カサブタがポロっと剥がれ落ち、その下にあったはずの傷が、完全に治っていた!


「すげえ、傷が治った。エレナすごいぞ!!」


「はあ、はあ。や、やりました!」


「エレナ、だいぶ疲れてるみたいだけど大丈夫か?」

「だ、大丈夫です、ちょっと疲れて……」


 エレナは、そのまま眠ってしまった。



 エレナを【鑑定】してみると…


┌─<ステータス>─

│名前:エレナ・ドレアドス

│職業:姫

│レベル:5

│HP:100/104 (+34)

│MP: 3/208 (+88)

│力:10 (+3) 耐久:9 (+3)

│技:10 (+3) 魔力:24 (+10)

│スキル

│【水の魔法】(レベル:2)

│ ・水のコントロール

│【回復魔法】(レベル:2 ↑)

│ ・病気軽減

│ ・傷回復速度上昇 ★NEW

└─────────


 【回復魔法】がレベル2に上がり、新しい魔法を覚えていた。


「エレナは、自力で【傷回復速度上昇】って新しい魔法を、習得したみたいだ」

「エレナちゃん、すごい!」

「まあ、でもそのせいで、MPを使い果たしちゃったみたいだけどな」



 眠ってしまったエレナをなでなでしていると―

 アヤは、すっくと立ち上がって。


「私、もっと強くなりたい!」

「なんだよ、いきなり」


「私は、いっつも兄ちゃんに守ってもらってばっかりで、エレナちゃんみたいに、傷ついた兄ちゃんを癒してあげることも出来ない。ホントは魔法で攻撃することだって出来たはずなのに、怖くて何にもできなかった。私は、兄ちゃんに守られてばっかりじゃなくて。私の力で、エレナちゃんを守ってあげたいの!」


「そんなこと言ったって、お前は女の子なんだぞ」

「女の子だからなに? 私、冒険者になって魔物と戦う! そしたら、兄ちゃんみたいに強くなれるんだよね?」

「ダメに決まってんだろ! 魔物と戦うなんて危ないだろ!」

「魔物なんてちっとも怖くない。悪い人間の方がぜんぜん怖い」

「怖い怖く無いは関係ない、どっちにしたって危ないのには変わりないだろ」


「もし兄ちゃんのいない所で、今日みたいに悪い人間に襲われたらどうするの? 私はずっと兄ちゃんに守ってもらい続けるの? 兄ちゃんが助けに来れなかったら? 兄ちゃんが助けに来ても、やられちゃったら? その方がよっぽど危険でしょ! だから! 私は―


 自分で大切な人を守れるように、なりたいの!!」



 アヤのあまりの真剣さに、俺は何も言い返せなかった。



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ありがとうございます


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