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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ブータン編
347/438

337.生き埋め


「さて、ビジネスの話はここまでにして、

 お酒にいたしましょう」

 ニマちゃんが、手を叩いて合図すると、

 お酒が運び込まれてきた。


 高そうなウイスキー。

 ドラゴンの絵が書かれたラム酒。

 『アラ』と呼ばれる焼酎のような酒。


 おつまみも色々出てきたが、

 黒いソーセージが、超うまかった。



 そして、3人でついつい飲みすぎて……。

 けっこう酔ってきてしまった。


 ちなみにニマちゃんは年齢的に飲めないので、

 バターの香りがするお茶を飲んでいた。



「セイジ!

 あなた、忍者のことで内緒にしていることがあるでしょ!」

 あ、リリィさん、目がイッてる。


「さっきも話した通りですよ」

「嘘だ!! 私の目は誤魔化せないわよ!

 吐きなさい!!!」

 リリィさんはそういって、胸を押し付けながら俺の肩を掴んで前後に揺らしてくる。


 む、胸が……。

 うっ、

 ……でも、は、吐きそう……。


 リリィさんは、絡み上戸だったのか……。



「セイジさん、忍者の事を何かご存知なのですか!?」

 今度はニマちゃんが反対側の腕を掴んで引っ張ってくる。

 てかニマちゃんも胸があたってるんですけど!

 ニマちゃん、あなたはお酒を飲んでないでしょ!


 リリィさんの前後の揺れと、ニマちゃんの引っ張りによって、

 俺の体は、グルングルンと円を描くように揺らされている。


 ギブ! 止めて!!

 ほんとに、吐いちゃいそうだから!!!



「そんなことより、鈴木選手の話をもっと聞かせて!」

 最後にママさんも後ろから抱きついてきた。

 ちょっ、まっ、あなたまで!!



 3方向から『やわらか攻撃』を食らって、

 まるで生き埋めにされているような状態だ。


 俺は、何か色んな物が出ちゃいそうになっていた。


 まあ、でも、こんな柔らかいものに生き埋めにされるなら、別にいいか~。



 しかし、

 そんなことを考えてニヤニヤしていた、ちょうどその時!


 【警戒】魔法が、『危険』を知らせる警報を鳴らした。



 へ?


「どうしたのセイジ、何か出ちゃった?」

「違います!」

 リリィさん、ちょっとその発言はダメですよ。



 俺は、3人に気づかれないように【追跡用ビーコン】の様子を確認した。


 誰かが危険な目にあっているのかと焦ったのだが……。



 危険に陥っているのは、『山賊たち』みたいだ。

 なーんだ。焦って損した。


 まあ、あいつらだったら危険な目にあっても別にいいや。



 とにかく今は、3方向からの『やわらか攻撃』に耐える修行・・をする必要がある。

 この試練を乗り越えたとき、俺は男として一回り大きくなれる気がする!!


----------

 翌朝、ホテルの自室で目が覚めると、少し頭が痛かった。


 冷たい水を飲んで一息つくと、昨日のことを思い出した。



 そういえば、山賊たちに何かがあったのを忘れ……。

 じゃなくて、

 修行を優先するために後回しにしていたのだ。


 山賊たちに何があったのかな?



 【追跡用ビーコン】の映像を見てみると……。


 真っ暗だった。


 あれ??

 もう夜は開けているし、時差があるはずもないし……。

 どうなっているんだ?


 俺は、危険が知らされた昨日の時間まで映像を巻き戻した。



「なんだこれは!!!」



 山賊たちは、がけ崩れに巻き込まれて、

 生き埋め(・・・・)に、なっていた。



 俺は、急いで忍者に着替え、

 【瞬間移動】で、現地に飛んだ。


----------


 そこは、両側を切り立った崖に挟まれた谷だった。


 大量の土砂や硬い岩などが谷を埋め尽くし……。

 生存者は一人も見つからなかった。



 がけ崩れが発生した場所を確認したところ、

 火薬か何かで爆発させた跡がある。


 これは、人為的なものだ。


 負けたあいつらに対する制裁か、

 はたまた、証拠隠滅のためか……。


 まさか制裁や証拠隠滅のために、生きている人を生き埋めにするなんて……。


 辺りを調べてみたが、がけ崩れを発生させた犯人の姿はなかった。

 ですよね~。



 もやもやした気分のまま、俺はホテルの自室に戻った。


----------


ドンドンドン!

「セイジさん、大丈夫ですか?」

 あ、リリィさんが来ている。


「ジェニファーさん、大変です。

 セイジさんの返事がありません、もしかして死んでいるのかも」

「なんですって!」

「ここは、ドアを蹴破りましょう」

 あ、やばい。


「起きました!

 今、起きました!!

 蹴破らないでー!」


 俺は急いで着替えて、ドアを開けた。


「もう、いるなら返事してください。

 10分もドアを叩いてたんですよ?」

 ちょうど俺がいない時に来てたのか。


「いやー、爆睡してました」

「こんな時間まで寝てるなんて、

 夜更かしでもしてたの?

 まさか、女を連れ込んでたんじゃないでしょうね?」

 ママさん……、

 DTがそんなこと出来るわけ無いでしょ!!!



「それより、俺に何か用があったんじゃありませんか?」

「あ、そうそう。

 日本に戻るから、セイジも準備しといてね」


「え? もう、戻るんですか?」

「私も忙しいのよ」


 もう帰るのか。

 もうちょっとブータンを観光したかったんだけどな~。


 まあ、あんな事件があった後だから、のんびり観光は出来ないか。


----------

 帰り支度をすませ、ママさんの部屋に行くと、

 ニマちゃんが来ていた。


「これが、【ヌルポ石】の代金ね」

「ありがとうございます。

 これで会社の設立資金がなんとかなります」

「会社設立の方は、よろしくお願いするわね」

「はい」


 ビジネスの話をしていたのか。


「あ、セイジさん、おはようございます」

「ニマちゃん、おはよう」

 朝からニマちゃんの笑顔が拝めるとは、

 さっきまでのモヤモヤが吹っ飛んで、いい気分だ。


「セイジさん、【ヌルポ石】を拾っていただいたお礼がまだでしたよね。

 すぐにでもお礼をしたいのですが……。

 今は会社設立の資金がギリギリでして」

「ああ、別にいいよ」


「そういうわけにも行きません。

 私に出来る事なら何でもしますので、何でもおっしゃってください」

「な、なん…でも…?」

「はい、なんでも」


 イカン!!!!

 俺の中の何かが、暴走を始めようとしている……。

 静まれ、俺の心のなかの悪魔よ!!!!


「セイジさん、どうかしました?」

 ニマちゃんは、無垢な瞳で、心配そうに俺を覗き込む。


 俺は、心のなかのもう一人の俺と、必死に戦っていた。



 そして……、

 ママさんとリリィさんが、

 そんな俺の様子を、虫けらを見るような目で見つめていた。


ご感想お待ちしております。

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