332.村防衛戦
1万人の山賊は、5部隊に分かれて別々の村に向かっている。
村を守る側の人数は、おそらく各村とも100人程度なのだろう。
どうやっても太刀打ちできない戦力差だ。
「あいつらに頼むしかないか……」
俺は気合を入れて、連続で魔法を使用した。
「【風精霊召喚】、【雷精霊召喚】、【水精霊召喚】、【氷精霊召喚】、【土精霊召喚】、【闇精霊召喚】、【火精霊召喚】、【オラクル召喚】!」
トキ以外の契約している精霊をすべて呼び出した。
「うっ……」
やばい、MP使いすぎた。召喚だけで最大MPの半分ぐらい消費してしまった。
「わー、久しぶり~」
呼びだされた精霊たちは、同窓会のような感じで、はしゃぎまくっていた。
「セイジさん、大丈夫ですか?」
闇の精霊が、俺を気遣ってよってきた。
「大丈夫だ、魔力を一気に使いすぎただけだ」
「ほんと、無茶をするね~」
オラクルちゃんも俺のことを心配して寄ってきた。
「それで? 私たちを召喚してなにをするつもり?
アイドルグループでも結成するの?」
なにそれ、個性的なグループができそうだな。
おっと、そんなに、ゆっくりもしていられないんだった。
「おーい、みんな話を聞いてくれ。
この付近の村が、大規模な山賊に襲撃されそうになっている。
みんなの力を貸してくれ」
「お~なんか面白そうだな」
雷精霊さん、もっとまじめにおねがいしますよ。
「セイジさんのためなら、私なんでもお手伝いします」
ん? 闇精霊さん、今なんでも…って、まあいいか。
他の精霊も、手伝ってくれるそうだ。
「まずは情報収集ね」
オラクルちゃんが、情報精霊らしい提案をする。
「よし、【追跡用ビーコン】を各村に飛ばしてくる」
俺は、グーグレマップの情報を元に、この近辺の村に【追跡用ビーコン】を1つずつ置いてまわった。
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ブータンの森の奥深く、8人の精霊と1人の忍者が、作戦会議を開いていた。
5部隊に分かれた山賊たちの状況だが、
各部隊の人数は5等分ではなく、
1000人、2000人、4000人、2000人、1000人と、中央の部隊が一番多く、両端の部隊が少ない。
凸レンズの様な陣形だ。
「よし、それじゃあ、こちらも5つに分かれて戦うぞ。
一番西の村から順番に――、
第1班、火精霊。
第2班、土精霊と闇精霊。
第3班、雷精霊、オラクルちゃん、俺。
第4班、水精霊と氷精霊。
第5班、風精霊。
この分担で行く、
村の人たちを守ることが最優先だ。
みんな頑張ってくれ」
「「おー!」」
それぞれの場所にみんなを送り届けて、準備万端だ。
「ねえねえ、私はなにをしたらいいの?」
「オラクルちゃんは、俺の代わりに【追跡用ビーコン】の様子を見て、戦況を分析しておいてくれ。
もし、どこかやばそうな状況になったら、すぐに知らせてくれ」
「はーい」
オラクルちゃんとの打ち合わせが終わったと同時に、
山賊たちが、各村への攻撃を開始した。
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「この村は、あたしが守るーーー!!」
火精霊は、暑苦しく山賊たちに殴りかかっていた。
おい! 火精霊、殴るのかよ!
山賊たちには、精霊は見えていない。
見えない何者かに急に殴られ、
訳の分からない状況に、山賊たちは混乱していた。
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「ひぃ!」
「ちょっと、オレの後ろに隠れるなよ」
「だ、だって…」
闇精霊は随分怖がりだな。
対照的に土精霊は、どっしり構えている。
「こ、こないで…」
闇精霊から、黒い霧が発生すると、
山賊が次から次へと、へたり込み、眠り込んでしまった。
「ほう、やるじゃないか。じゃあオレも!」
ゴゴゴゴ!
大きな地鳴りが鳴り響くと、山賊の足元に地割れが発生し、
何人かが飲み込まれていった。
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「ちょっと、そんなに引っ付かないでください」
「あらあら、いいじゃない~」
氷精霊と水精霊は、なにをやっているんだ?
「邪魔しないでください。
早く山賊を退治しないと!」
氷精霊は、猛吹雪を巻き起こした。
「あらあら~、私も混ぜてくださいな」
水精霊も大雨を巻き起こしたが、
吹雪と雨が交じり合って、霙になっていた。
「くっ、私の氷が……」
「あらあら~」
しかし、激しい霙は、山賊たちの体温を急激に奪い取り、
壊滅的な被害を及ぼしていた。
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「あなたたち、匂いますわよ!」
風精霊は、鼻をつまみながら、
竜巻を巻き起こして、山賊たちを吹き飛ばしていた。
「森の木々の香りが、あなた達の臭さで台無しです。
しっしっ!」
今度は突風が発生し、
山賊たちは、花火のように打ち上げられていた。
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他の村は、大丈夫そうだな。
さて、そろそろ、こっちの戦いに集中しないと。
「セイジ~、山賊の本隊が動き出しそうだよ~」
「おう」
全体が見える位置に移動すると、
山賊たちと村人たちが、にらみ合いをしていた。
「いっちょ派手にやるかな」
俺が動こうとしたちょうどその時!
「止まれ!」
村長が山賊たちに話しかけ始めた。
なにやっているんだ! 危ないぞ!!
「この村は、お前たちを歓迎しない。
そっこく、立ち去れ」
村長は、おっかなびっくり叫んだ。
しかし、山賊たちは村長を見て笑っていやがる。
『なんだ、あの老いぼれは』
『なに言っているかわからんが、バカなんじゃないか?』
『それより、金目の物がたくさんあるといいな』
『女は、いないのか?』
『いたとしても、早い者勝ちだぞ』
『俺様が一番乗りしてやる』
聞くに堪えない。
山賊たちは、速度を上げて村に襲いかかった。
その時!!
バリバリッ!
山賊と村人のちょうど真ん中に、雷が落ち。
山賊たちの足が止まる。
そして、雷が落ちた場所に、一人の男が立っていた。
「忍者マン、只今参上!!」
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