329.北の山の山賊
「キャー!!
なんなの、この惨状は!」
学校に到着するやいなや、ナンシーママが悲鳴をあげた。
教師と思われる大人が数名大ケガをしていて、子どもたちも何人かケガをしている。
特に一人、ケガがひどい男の人がいて、死んだように動かない。
あの人、やばそう。
「ジェニファーさん、危険です。お下がりください」
リリィさんがママさんを守りながら辺りを警戒している。
やっぱりこの人は護衛なのか。
俺も辺りを警戒しながら大ケガをしている人に近づく。
『大丈夫ですか?』
返事がない、かなりやばい。
人前で魔法を使うわけにはいかないが、この人を見捨てるわけにもいかない。
俺は、なるべく気づかれないように【回復魔法】を使った。
外から見える範囲の傷は少し出血を抑える程度にして、内臓の損傷を優先して治す。
しかしこの傷、銃によるものだ。
しかも、何発も打たれている。
山賊が、なぜこんなことをする?
そこへ、ニマちゃんが自警団の人たちを連れてきて、ケガ人の治療が開始された。
治療はその人達に任せて、俺は村長とナンシーママのところへ戻った。
「あのケガ人は大丈夫なの?」
ナンシーママが心配そうにしている。
「大丈夫だと思いますよ」
「そう、それならいいけど……」
まずは情報収集が必要だな。
『村長さん、これってどういうことなんですか?
なぜ山賊がこんなことをするんですか?』
村長は、渋い顔で話し始めた。
『最初は【冬虫夏草】だったんじゃ』
【冬虫夏草】? ああ、あの漢方薬の……。
『【冬虫夏草】がどうしたんですか?』
『北の山は【冬虫夏草】がよく取れる。
それを目当てに、国境を超えて違法に取っていく輩がいたんじゃ……。
そして、警察がそいつらの取り締まりを開始した。
それに対抗するために、奴らも武装を開始して、
ついに、村まで襲うようになってしまった……』
なるほど……。
【ヌルポ石】の採掘場を占拠しているのも、そいつらってわけか。
「ジェニファーさん、ここは危険です。
我々は安全な場所へ戻りましょう」
リリィさんが避難を提案する。
さすがリリィさん、ママさんの安全を第一に考えているんだな。
「そうですね、村のことは村の人たちに任せて、
俺たちは避難しましょう」
「そうね、そうしましょう」
そうと決まれば、村長さんにも話しておこう。
『村長さん、もうしわけありませんが、我々は避難させていただきます』
『そうですな、お客人を危険に巻き込むわけにはいきませんな。
では、ニマに案内させます』
俺たちはニマちゃんに案内されて急いで、宿泊施設に移動した。
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『女性二人は、こちらの部屋に、
そちらの人は、こっちの部屋を使ってください。
それでは、私はみんなのところに戻ります。
安全が確認されるまで、絶対に部屋から出ないでくださいね』
ニマちゃんは、しっかりした娘だな。
村長さんのお孫さんとかかな?
俺は充てがわれた部屋に入り、内側から鍵をかけた。
ママさんとリリィさんには、事前に【追跡用ビーコン】を付けておいたので、危険が迫ればわかる。
今は、村の人たちのほうが心配だ。
いつもの忍者に着替えて、学校へと【瞬間移動】した。
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ケガ人たちはすでに運びだされて、近くのお寺に集められていた。
夜も更けてきていたので、俺は【夜陰】を使って姿を隠して、ケガ人の様子を見に行った。
一番重傷だった人は、なんとか大丈夫だったらしいが、まだ意識が戻らない。
話を盗み聞きしたところによると、子どもたちが攻撃されそうになって、身を挺して子どもたちをかばい大ケガを負ったということらしい。尊敬に価する人みたいだな。
子どもたちも、何人かケガをして寝ていたので、
姿を消したまま【回復魔法】で治してまわった。
後で驚かれるだろうけど、子どもたちに痛い思いをさせたままにしておくわけにはいかないから、仕方ないよね。
あらかた子どもたちの治療を終えた時、
地図上に赤い点が、現れた。
山賊の奴ら、性懲りもなくまた現れたらしい。
ちょっと様子を見に行ってくるかな。
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学校近くの森の中。
山賊二人が銃を抱えて隠れていた。
『ほら見ろ、村の奴ら警戒して誰もいないじゃないか!』
ゾンカ語ではない、となりの国の言葉だ。
やっぱり向こうの国の奴らか。
『そんなこと言ったって、ボスが女をもう一人連れて来いっていうから、仕方ないだろ』
女をもう一人??
ってことは、まさか!
すでに女性が連れ去られているのか!?
ヤバイ急がなくっちゃ!!
『『ウギャー!!』』
二人の山賊を【電撃】で瀕死状態にし、
武器を奪って、縄で縛り上げた。
『おいお前たち起きろ』
水をぶっかけ、【起床】の魔法で無理やり目を覚まさせる。
『な、なんだ、お前は!』
『に、忍者……』
『さっさとアジトの場所をはけ!』
バチバチッ!
『ひっ!!
ア、アジトは…あっぢでず。
い、命だけは、だずげで~』
【電撃】の魔法で脅したら、あっさりはいた。
『お疲れ様、ゆっくり休みな』
バチバチッ!
『『ぎゃーーーー!!』』
二人には、ぐっすり眠っててもらって、
俺は教えられたアジトに向かった。
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