322.土と雷
「おいトカゲ野郎、
アヤやエレナを怖がらせた罪。
思い知るがいい」
俺は、ドラゴンの目の前に立ちはだかり、
挑発した…つもりだったのだが……。
奴は、俺を無視してみんなの方に向かって、
4本の足で、のっしのっしと歩いて行こうとしている。
「おい! トカゲ野郎!!
こっちを向け!!!」
しかしドラゴンは、全く俺に気がつかない。
図体がでかくて、それに合わせて鼓膜とかもでかいだろうから、俺が発する声のトーンを聞き取れないのかな?
そして奴は、おもむろに、
また息を吸い込んで……。
ヤバイ、また炎を吐くつもりだ。
バリアを!
いや、こんな近距離でバリアをはったら、
ドラゴンの攻撃でバリアが破られるかもしれない。
ピコン!
俺は、ある亊を思い付いて、
今まさに炎を吐こうとしているドラゴンの目の前に、
【瞬間移動】した。
「喰らえ!」
今まさに火を吐こうとしているドラゴンの口にめがけ、
【水の魔法】で『放水』を行なった。
『ゲフンッ! ゲフンッ!』
ドラゴンが、重低音で咳込んでる。
ドカン!
そして、口の奥のほうで何やら爆発が起こり、
ドラゴンの口から白い煙が立ち込めている。
どうやら奥のほうで水と何かが反応し、水蒸気爆発的な状態になったみたいだ。
「どうだ、トカゲ野郎!
これでもう火は吐けまい!」
俺が勝ち誇っていると、
ドラゴンは、口から煙を上げながら、俺の方を睨みつけてきた。
やっと、俺を認識したか。
そして、ドラゴンの攻撃!
ドラゴンは首を素早く動かして噛みつき攻撃を仕掛けてきた。
俺は、ジャンプ一番それをかわし、
奴の鼻先に飛び乗った。
そして、【黒帯刀】を素早く取り出し、ドラゴンの鼻先を斬りつけた。
『グギャーーーー!』
ドラゴンは重低音で悲鳴を上げ、
首を振って俺を振り落とした。
振り落とされ、木にぶつかりそうになったが、
俺は、その木の反動を利用して、ふたたびドラゴンの鼻先をめがけてジャンプ。
しかし!
「あ、ヤバイ」
ドラゴンは、俺のジャンプに素早く反応し、
空中にいる俺を目掛けて噛みつき攻撃を仕掛けてくる。
俺は空中にいるため、上手く行動できない。
大きく空いたドラゴンの口が俺を襲う。
「【瞬間移動】!」
【瞬間移動】で少し離れた位置に移動し、襲い来るドラゴンの牙から逃れた。
うーむ、さすがドラゴン、
それなりに強いな。
ここは、出し惜しみせず、いっきにやっつけるか。
「【雷精霊召喚】!
【土精霊召喚】!」
現在契約が済んでいる精霊の中で攻撃系の奴をいっきに二人呼び出す。
「じゃーん! あたし、参上!!」
「お、久しぶりに呼び出されたと思ったら、ドラゴンかよ!」
騒がしい奴らだな……。
「悪いけどふたりとも、
派手目な攻撃を頼む」
「よっしゃー、じゃあオレから行くぜ!」
先ずは、『オレっ子』の土精霊が先に攻撃するらしい。
「いでよ!岩!!」
土精霊がそう叫ぶと、上空に巨大な岩が出現した。
「え!? デカくない?」
岩は、まるで『隕石』みたいに、落下速度を上げてドラゴンに襲いかかる。
ドカーン!
激しい音とともに、ドラゴンの横っ腹に『巨大岩』がぶち当たり、
ドラゴンは『く』の字に折れ曲がってしまった。
なんか、骨とかが折れてそう……。
「次は、あたいがやるよ~」
容赦なく、今度は雷精霊が、前に出る。
「いでよ。雷~!」
雷精霊の言葉に応えるように、
上空から8本のぶっとい雷が降り注ぐ。
8本の雷は、檻のようにドラゴンを取り囲み、
そして、その檻は、徐々に隙間を狭めて行き、
ドラゴンの真上で一つの大きな柱となって降り注いだ。
『グガガガガガ!!』
ドラゴンは、雷に撃たれ、
痙攣していた。
雷が止むと、表面のウロコが、こんがり焦げたドラゴンがピクピク痙攣して横たわっていた。
上手に焼けたドラゴン、なんか美味そう……。
「おいドラゴン、
降参するか?」
俺は、瀕死のドラゴンに話しかけてみた。
しかしドラゴンは、まだ俺に噛み付こうとしてくる。
うーむ、言葉を理解したりはしてないのか……。
試しに【言語習得】の魔法も使ってみたが、
『竜語』とかを習得出来たりはなかったので、
本当に言葉を持っていないらしい。
倒したドラゴンを仲間にして、
そのドラゴンが幼女に化けて、
その幼女が、『~のじゃ』とか語尾に付けてしゃべったりするのを、ちょっと期待したんだけど……。
どうやら、そんな事はなさそうだな。
俺は、黒焦げのドラゴンのウロコの中から、1つだけ色が違うウロコを見つけ出し、
そこに黒帯刀をぶっ刺す。
ドラゴンは、弱点の逆鱗を貫かれると、
大きな音とともに横倒しに倒れ、
そして動かなくなった。
「ふー」
俺が、一仕事を終えて一息ついていると、
その周りでは、
『雷精霊』と『土精霊』がハイタッチをして喜んでいた。
しかし、今回はちょっと派手にやり過ぎたかな?
まあ、ある程度わざとなんだけどね~。
おそらく、このドラゴン、
悪魔族の『とっておき』だったのだろう。
なにせ、自分たちの街を一部破壊してまで使ってきたのだからな。
その『とっておき』を、奴らの目の前で派手にやっつければ……。
その好戦的な意志を折ることが出来る。
これで、人族が拐われて奴隷にされてしまうこともなくなるだろう。
まあ、俺には関係ないことだけどね。
俺は、倒したドラゴンをインベントリにしまって、
おしゃべりを楽しんでいる精霊二人を引き連れて、みんなの所へ戻った。
ってか! そこの精霊二人!
いつまでついて来る気だよ!
ご感想お待ちしております。
まれによく「思い知る」が「思い汁」に誤変換されてしまうのは……なぜだろう?




