029.アヤとエレナの新宿大冒険
俺は、新千歳空港に降り立った。
ここまで来て気が付いたのだがー
空港で北海道に向かう人に【ビーコン】付ければ、わざわざ俺が、こんな所まで来なくても良かったんじゃない?
今更気が付いてももう遅いけどorz
「さて、アヤとエレナはどうしてるかな?」
俺は、アヤとエレナの様子を【追跡】魔法で確認した。
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「エレナちゃん、【電車】に乗るの初めてだよね?」
「【でんしゃ】とはなんですか?」
「そこからか~」
「ここが地下鉄の駅だよ」
「この【ダンジョン】に入るんですか?」
「【ダンジョン】じゃないよ~」
アヤは電子マネーで、エレナの分の【切符】を購入して、エレナに手渡した。
「これはなんですか?」
「うーむ、私こういう説明とか苦手なんだよね~ 兄ちゃんがいれば説明を任せるんだけど…… とにかく、この【切符】を改札のそこの穴に入れて」
「は、はい。きゃっ! き、【きっぷ】が吸い込まれちゃいました! どうしましょう」
「それでいいの、【切符】は改札の向こう側の穴から出てきてるから、向こうに行って取って」
「は、はい。あ、ありました、【きっぷ】ありました! アヤさん、ありましたよ~」
「エレナちゃん!戻ってきちゃダメ!」
「きゃっ!扉が急に閉まっちゃいました!」
「戻ってこなくて、あっちで待ってて。私もそっちに行くから」
「は、はい」
「お兄ちゃんの苦労が、少しわかった気がする……」
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「ここで待ってれば【電車】が来るから」
「こんな洞窟の中に【でんしゃ】が来るんですか?」
「うん、そうだよ。それに乗って新宿に行くんだから」
「【でんしゃ】って、馬車みたいなものなんですか?」
「そうそう、だいたいそんな感じ~」
『1番線ホームに上り列車が参ります、危険ですからホームドアから離れてお待ちください』
「どこからか、声が聞こえます!! こ、これは魔法ですか!?」
「あれは駅員さんのアナウンスの声だから平気だよ~」
「ぎゃー! 魔物です!! 早く逃げないと!!!」
「エレナちゃん落ち着いて! あれが【電車】だよ! うーむ、エレナちゃんが抱きついてきてくれるのは嬉しいけど、これは大変かも。兄ちゃんを北海道に行かせたのは、失敗だったかな~」
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「やっと新宿に着いた」
「あわわ!! 人がいっぱいで…… あぁっ!! すごい高い【塔】がいっぱいです!!!」
「ここが新宿、すごいでしょ~」
「す、すごいです……」
「目的のお店は…… あっちの方ね」
「アヤさん、それはなんですか?」
「これは、スマフォだよ。これで、目的の場所がどっちだかわかるの」
「セイジ様が使ってる地図の魔法ですね。アヤさんも地図の魔法が使えるんですね」
「魔法じゃないけど、似たような感じかな。さ、行くよ、はぐれないように手をつないで」
「はーい」
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「ここみたい」
「すごいダンジョンでした。私一人では、とてもたどり着けません」
「うんうん、ほんとまるでダンジョンみたいよね~」
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「二人です、スイーツビュッフェお願いします」
「かしこまりました、ご席にご案内します」
「よっしゃー! 食べるぞー!」
「可愛くて美味しそうな料理がいっぱいです!! こんなに沢山の中から選ぶんですか? ど、どれから食べたらいいんでしょう」
「じゃあ、最初は私が選んであげる。食べたいのがあったら言ってね」
「あ、これ、かわいいです!」
「じゃあ、それも取ってあげる」
「さあ、食べましょ」
「はーい。はむっ! お、おいひいですー!!」
「もうエレナちゃんったら~ ほっぺにクリームが付いてるよ」
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「俺はなんで、北海道まで来て【立ち食いそば】でお昼を食べてるんだ? あいつらは美味しそうに、スイーツを食べてるというのに…… う、羨ましい」
俺は、空港内の【立ち食いそば】での寂しい昼食を終え、電車に乗って札幌駅に向かった。
俺もスイーツ食べたい
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