302.カンフー映画の様に
「セイジ様、お帰りなさい。
ヒルダとめぐみさんはどうでした?」
「ああ、大丈夫だ、
ケガも何もしていない。
今は…めぐみちゃんの家にいるみたいだな」
俺は【追跡用ビーコン】の映像を確認しながら、エレナに答えた。
「お疲れ様でした。
今日だけで2度もあんなことに会うなんて、
大変な一日でしたね」
待て、
『2度』も?
ああ、いやーな予感がする……。
予想通り、
【警戒】魔法が、またまた『危険』を知らせてきた。
当然、アヤたちだ。
「セイジ様どうしました?」
「アヤたちも襲われているみたいだ。
また助けに行ってくる」
「セイジ様、こんなに何度も…
大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、問題ない」
まあ、いい武器も持ってるしね。
俺は、アヤたちを助けるべく、【瞬間移動】で飛んだ。
~~~~~~~~~~
「お前たちは、何者だ!」
舞衣さんが、黒ずくめの奴らに向かって問いかけている。
舞衣さんの横にはアヤ。
少し後ろに、百合恵さんとりんごがいる。
そこは、駅前のロータリーの様な場所だった。
まわりにいる人達も、いきなり現れた武装集団に驚き、騒然としている。
「何だアレは?」
「なんかのアトラクションじゃないの?」
周りの人たちの中には、のんきに写真を撮ってる奴までいる。
おい!
テロのニュースとか見てないのかよ!
一般の人達、迂闊過ぎる!!
俺は、【透明化】で姿を消したままアヤと舞衣さんに近づく。
「アヤ、舞衣さん、大丈夫か?」
「あ、兄ちゃん、助けに来たの?」
「お兄さん、姿を消しているのか。
こいつら一体何なんだ?
お兄さんは知っているの?」
「こいつらは、たぶんりんごを狙っている。
そして、街なかで平気で銃を撃つ危ない奴らだ。
俺がなんとかするから、舞衣さんは、アヤたちと逃げてくれ」
「やだよ!」
舞衣さんと話してたのに、
横からアヤが割りこんできた。
「おい、アヤ、遊びじゃないんだぞ!」
「兄ちゃん、どうせ忍者の格好をしているんでしょ?」
「え? ああ、そうだけど?」
「こんなにたくさん人が見ている前で、そんな格好で戦ったら、目立ってしょうがないでしょ!」
「う、うん」
くそう、アヤのくせに、もっともだ。
言い返せない。
教会の時は、まわりに人がいなかったし、
野球のグラウンドでは夏休みだということもあって、いたのは野球部員と、遠くに先生がいたくらいだ。
しかし、ここは、
多くの見物人で溢れかえっている。
「わかった、
じゃあ、俺が隠れたままサポートするから、
アヤと舞衣さんで頑張ってくれ」
「はーい」「お、おう」
とは言っても、あいつらの銃だけは無力化する必要がある。
俺は、姿を消したまま奴らに近づき、
【土の魔法】の【金属コントロール】を使って、小銃の銃身を全部潰して回った。
『ん?
今、銃が…なにか変じゃなかったか?』
『そんな事は、どうでもいい、
ビビってないで、さっさと撃て!』
『お、おう!』
リーダーらしき奴に急かされ、
下っ端らしき3人が前に出て、小銃を構えた。
『撃て!』
リーダーの号令の直後に、
3つの爆発音が鳴り響く。
『うきゃー、痛い!!』
銃が暴発し、
下っ端3人が、手や顔に怪我を追って、のたうち回っている。
『くそう、不良品か…
やむをえん、刀でやるぞ!』
『『おう!』』
残った黒ずくめの奴らは、小銃を捨てて、
カンフー映画に出てきそうな曲刀を抜いて構えた。
「銃がなければ、よゆうよゆう~」
アヤが突撃し、
舞衣さんも、『やれやれ』といった表情で後に続く。
女の子の方から攻撃を仕掛けてくるとは予想もしてなかったらしく、黒ずくめの奴らは驚き戸惑っている。
まるでカンフー映画のような光景だった。
曲刀で襲い来る悪漢。
舞衣さんとアヤが、悪人たち攻撃をギリギリのところでかわす。
おそらく二人とも、本気を出しては居ないのだろう。
二人が本気を出したら、
人間離れした動きになってしまって、目立ってしまうからだ。
刀を持った20人ちかい悪人たちの攻撃を避け続ける女の子ふたり。
周囲で見ていた見物人たちは、
大いに盛り上がった。
「がんばえー、おねちゃんたち~」
小さな女の子までもが、応援している。
アヤは、それに気を良くしたのか、
闘いながら、その女の子に手を振って答えている。
『おのれ!
小娘が調子に乗りよって!』
黒ずくめの奴らのリーダーっぽいやつが、
こそこそと隠れながら移動している。
奴の移動先には、
アヤに声援を送っている小さな女の子。
あの女の子を人質にでも取ろうと言うのだろうか?
非道にも程がある……。
俺は頭にきて、
ちょうど女の子に襲いかかろうとしていたそいつを、
おもいっきりぶん殴ってやった。
「あ、にんじゃ…さん?」
やばい、なぐった直後に【透明化】がとけてしまい、
女の子に見つかってしまった。
どうやら、ちょうど日が沈み【透明化】の有効時間が切れてしまったらしい。
素早く夜用の【夜陰】をかけ直したので、
見つかってしまったのは女の子一人だけですんだみたいだ。
あぶないあぶない。
その後、アヤと舞衣さんの大活躍で
悪人たちはこてんぱんにやっつけられ、
見物人たちからは、盛大な拍手が巻き起こり、
その拍手喝采の中を、
やっと到着した警察が進み出てきた。
「えーっと、これはどう言う状況ですか?」
「こいつら悪い奴ら、
私たちが、こいつらをやっつけたの!」
困惑する警察官に対し、
アヤは、自慢気にそう話した。
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