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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ゴールド編
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290.4人の面接官


 その週は、ジュエリーナンシーに通い、打ち合わせを続けていた。

 ジュエリー・ナンシーでは、どうやら自社開発したシステムを使っているそうだ。

 開発者はアメリカの本社にいて、日本語や日本の法律や税に関する知識がないため、日本店のシステムはお任せするということらしい。



 そして、その週の金曜日の午後。


 またナンシーの手伝いに行くと、

 ナンシーが、今まで散らかしっぱなしになっていた事務所の片付けをしていた。


「ナンシー来たよ、

 急に片付けなんて始めて、どうしたんだ?」


「今日は、面接をやるのよ」

「面接?」


「急に働きたいという人が見つかってね」


「なるほど、

 じゃあ、打ち合わせや事務処理の手伝いとかは、また今度にしたほうがいいかな?」


「どうせだから、『面接』を手伝ってよ」

「え!?」


「セイジは英語も日本語もできるから、いてくれると助かるんだよね~」


 おいおい、自分の会社の面接に、他の会社の人間を立ち会わすなよ。

 まあ、ママさんがいなくて、人手が足りないのは分かるけど。


 どうやら、ジュエリー・ナンシーのオープニングスタッフ第一陣の面接ということらしい。

 まずは事務処理などを手伝ってもらいつつ、ゆくゆくはチーフ的な働きをしてもらうつもりらしい。

 かなり重要な面接じゃないか……。


----------


 面接の予定時間まで片付けを手伝っていると、

 いつものように、りんごとめぐみちゃんがやってきた。

 この二人、なんだかんだと理由をつけて、いっつも遊びに来るんだよね~。


「私も面接官をする!

 りんごも一緒に面接官をしましょう」


 めぐみちゃんが、そんなことを言い出した。


「わたしも?」


 りんごも、急に変な話をふられて困惑気味だ。


 しかしこの二人、こんなに仲が良かったっけ?

 めぐみちゃんは、りんごのことを呼び捨てだし。



 そんなこんなで、ナンシー、俺、りんご、めぐみちゃんの4人で面接官をすることになった。

 面接を受ける人も、大変だな……。


----------


 時間となり、面接を受ける人が4人集まっていた。


 しかし、この4人のうちの1人が、とても気になるんだよね~。



「それでは、一人目の『富風かすみ』さん、入ってきてください」


 なんで俺が取り仕切ってるんだろう?


「しつれいしま~す」


『こんにちは、英語はどれくらい話せますか?』

『えーっと、前にアメリカに住んでたことがあるので~普通に話せますよ~』


 この富風かすみさん、ナンシーの質問に受け答えできるくらいに英語がペラペラなのだが……じゃっかん真面目さにかける感じがする。


『志望動機は何ですか?』


 めぐみちゃんが偉そうな態度で英語で質問している。


『えーっと~通勤が近かったから?』


 めぐみちゃんは、自分の質問に大人が答えてくれるのが嬉しいらしく、嬉しそうに頷いている。

 めぐみちゃん……こんな変な答えを聞かされたんだから、ちゃんとツッコミを入れないと!


『ジュエリーは好きですか?』


 こんどは、りんごが質問している。


『この前~海外旅行先でジュエリーを買ったら~

 ほとんど偽物で~頭きちゃった!』


 この人、大丈夫だろうか……。


----------


「では、次の『水谷みお』さん、入ってきてください」

「はぁ~い」


 なんか、返事だけで嫌な予感がビンビンだ。

 しかしこの人、胸がすごい、見ている俺もビンビ……いや、なんでもない。


「『水谷みお』で~す。よろしくお願いします」


 何故俺に向かって言う。


『すいません、店長のナンシーは日本語を話しませんので、英語でお願いします』


『あ、はーい。

 「水谷みお」で~す。よろしくお願いします』


 言葉は英語なのだが……。


 なんか、この人、俺に色目を使ってくる。

 取り入るならナンシーにだろ。


『志望動機は何ですか?』


 めぐみちゃんの質問は、それしかないのか。


『ここみたいな高級なジュエリーショップだと、お金持ちの人とお知り合いになれるかもしれないと思って』


 俺は突っ込まないぞ~。


『ジュエリーは好きですか?』


 りんごも、質問が1種類なのか。


『もらったりするのは好き。

 でも、前の彼氏がブランドの箱に入ったものをくれたからすごく期待したのに、

 開けてみたら安物の指輪だったから、質屋に売っちゃったんだけど、

 そしたら彼氏が怒っちゃって』


 突っ込んだら負けなんだろうか……。


----------


「では、次の『土屋れんげ』さん、入ってきてください」

「は、はい」


 土屋れんげさんは、すこしぽっちゃりした感じの人だった。


『土屋れんげです。

 英語は、少しできます。よろしくお願いします』


 やっと真面目そうな人だ。


『志望動機は何ですか?』


 めぐみちゃん、それしか質問を準備してこなかったのかな?


『え、えっと……

 すいません、もう一度、言ってもらえませんか?』


 うーむ、

 真面目そうな人だから期待してたんだけど……。

 どうやらこの人、あまり英語が得意じゃないみたいだ。

 ナンシーは英語しかできないし、これじゃあちょっと厳しいかな。


----------


「では、最後の『火山ひやまあい』さん、入ってきてください」

『失礼します。

 「火山ひやまあい」ともうします、よろしくお願いします』


 最後の人は、真面目そうな上に、英語も完璧。


『志望動機は何ですか?』


 けっきょくめぐみちゃんは、この質問一本で押し切ったか。


『私は、ジュエリーナンシーのジュエリーが大好きでして、

 特に、去年発売された〇〇は……』


 ジュエリーナンシーの商品について語り始めた。

 ジュエリーナンシーの事を深く理解しているのが分かる。



 そんなこんなで、4人の面接は終了した。


----------


『セイジ、りんご、めぐみ、面接してみてどうだった?

 感想をきかせて』


『私は、最後の人がいいと思います』


 りんごの意見はもっともだ。


『私も、最後の人がいいともうわ』


 めぐみちゃんもそう言う。



 まあ、普通に考えて、あの人を選ぶのが最も正しい選択なのだろう。



 だが、あの人には、

 致命的な問題がある。



 あの人……。



 【警戒】魔法が、『注意』を示しているんだよね~。


ご感想お待ちしております。

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