279.デザインの問題点2
ナンシーママとりんごが作成したデザインには、もう一つ問題があった。
3つのデザインにそれぞれ『宝石』がデザインされているのだ。
ナンシーママの『ティアラ』には、赤い宝石。
ナンシーの『ネックレス』には、青い宝石。
めぐみちゃんの『ブローチ』には、ピンクの宝石。
それらの宝石は、後で用意するということだったので、
ミスリルを作った翌日、俺はその『宝石』を受け取りに、ナンシーとナンシーママの泊まるホテルへやってきた。
「こんばんは」
「セイジいらっしゃい」
ナンシーが出迎えてくれた。
「あれ? ママさんは?」
「二日酔いで、へばってる」
どうやら、いろいろな根回しのために、毎晩のようにパーティを開いたりしていたらしい。
「アクセサリー用の『宝石』を受け取りに来たんだけど、
どうする? また日を改めようか?」
「ママに聞いてくる」
しばらくすると、ナンシーママがナンシーに肩を借りて出てきた。
「い、いらっしゃい……うえっぷ」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない、きもちわるい、そして眠い」
「じゃあ寝てたほうがいいですよ、
『宝石』は、また今度でもいいですから」
「ああ『宝石』ね、これでも使って」
ママさんから、石のようなものを3つ受け取った。
「なんですかこれ?」
「宝石」
「どう見ても、宝石じゃないんですけど……」
「厳密に言うと、『原石』ね」
「えーっと、『原石』をどうしろと?」
「手元にそれしかないから、それで何とかして」
「そもそも、これ何の『原石』なんですか?」
「秘密」
何が秘密だよ。
よーし、いっちょ【鑑定】しちゃおう。
┌─<鑑定>────
│【ヌルポ原石】
│ヌルポ石の原石
│ダイヤモンドより硬く
│加工が難しい
│レア度:★★★★★
└─────────
「はぁ!? 『ヌルポ魔石』だと!?」
「あら、知ってたの? でも『魔石』ってなんですか、
『ヌルポ石』ね」
ちょっと待て、なんだ『ヌルポ石』って!
名前が似てるだけで、違うものなんだろうか?
しかしダイヤモンドより硬いとか、そんなもんがあるのか!
俺が、そんなふうに原石をジロジロ見ていると――。
「あーもうダメ、きもちわるい、おえ~」
ママさんが、えづき始めてしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
「だいじょぶくない」
どうやら、時差ボケと、疲れと、アルコールで、大変なことになっているようだ。
「よかったら『おまじない』しましょうか?」
「『おまじない』?」
「日本の『おまじない』です。よく効きますよ~」
「じゃあお願いする」
『痛いの痛いの飛んで行け~』
俺は、ママさんのおでこに手をやって、おまじないをした。
本当は、怪我の痛みとかに対する『おまじない』だけど、日本語だから、どうせナンシーたちには分からないだろう。
「あ、急にスッキリした。
日本のおまじない、凄いね!
まるで魔法みたい!!」
まあ、『おまじない』じゃなくて、本当に魔法なんだけどね。
せっかく【回復魔法】も覚えたんだし、使ってみたかったんだよ。
ちなみに使ったのは【病気軽減】ね。二日酔いにも効果があってよかったよ。
しかし、ウヤムヤのうちに、変な原石だけ渡されちゃったけど……。
これ、どうしよう。
~~~~~~~~~~
俺は、こういうことに詳しそうな、
イケブの街の魔石屋、キセリさんの所へやって来た。
「こんにちは~」
「あ、セイジさん、いらっしゃい。
今日はどのようなご用件で?」
「これ、なんですけどね」
俺は、ヌルポ原石をキセリさんに見せた。
「これは、何かの原石でしょうか?」
「そうなんですけど、
コレを宝石にすること出来ませんか?」
「お安いご用ですよ」
キセリさんは、キセリさんの奥さんを呼びつけ、なにか指示をしている。
奥さんは原石を受け取ると、なにやら魔法を使い始めた。
ポロポロ
どうやら【土の魔法】の【石コントロール】を使って、原石のまわりの石を除去しているのだろう。
しばらくすると、綺麗なヌルポ石が姿を表した。
なーんだ、コレだったら俺にもできたのに。
「ヌルポ魔石によく似た石ですね……。
あ、これでよろしいですか?」
キセリさんがヌルポ石を返してきたけど……。
これでは、ただの綺麗なだけの石のままなので、磨いたりカットしたりする必要がある。
「石のカットとかも出来ませんか?」
「カット? なぜそのような事を?」
「え? ふだん石の形を整えたりはしないんですか?」
「ええ、魔石を変なふうに扱えば、力を弱めてしまったりしますので、特にこれ以上手を加えたりはしませんよ。
それに、こんな硬い魔石の形を整えたりなんて……
『土精霊様』でもなきゃ、できませんよ」
『土精霊様』ね~
あの精霊との契約の時、死にそうになったから、
少しトラウマになってるんだよね。
しかし……。
それしかないか~
~~~~~~~~~~
俺は、誰もいない草原に来ていた。
ちょうどゴブリンキングと戦った場所辺りだ。
「【土精霊召喚】!」
俺が召喚の魔法を使用すると、道路工事でもしてそうな感じのポニテの女の子が現れた。
「おい! お前!
せっかくオレと契約したのに、なんでちっとも呼ばなかったんだ!」
そう言えば、こいつはオレっ娘だったっけ。
「べ、別に用が無かったし……」
「まあいい、せっかく召喚されたんだ。
いっちょ暴れてやるぜ!
……で、
敵はどこだ?」
「敵なんていないよ」
「なんだと!!」
なんか扱いにくいやつだな。
「じゃあなんで召喚したんだ!
オレと…会いたかったのか?」
ほんとに変なやつだな。
「これを見てくれ」
「なんだ、ヌルポ石か」
さすがは土精霊、知っているのか。
「これをだな、この絵みたいに形を整えたいんだ。
君だったら出来るって聞いて」
「おう、そんな事はお安い御用だ」
おお、できるのか!
さすが精霊。
「ほら、出来たぞ」
確かに、デザイン通りの形と色だ。
透明度も凄くて、とても品質が高いのが分かる。
……しかし……。
「なんか、魔力を帯びてないか?」
「ああ、ついでに……」
「ついでに?」
「魔石化しといたよ」
「魔石化??
なんだそりゃー!!」
┌─<鑑定>────
│【太陽の魔石】
│太陽のように赤く輝くヌルポ石
│晴れに遭遇する確率が上がる
│魔力を込めると周囲を徐々に晴れにできる
│レア度:★★★★★
└─────────
┌─<鑑定>────
│【大海の魔石】
│海のように青く輝くヌルポ石
│水難に合う確率が下がる
│魔力を込めると周囲を徐々に雨にできる
│レア度:★★★★★
└─────────
┌─<鑑定>────
│【やすらぎの魔石】
│花の色の様に桃色に輝くヌルポ石
│周囲の者の健康を維持できる
│魔力を込めると周囲の病人を治療できる
│レア度:★★★★★
└─────────
どうすんだこれ!
でも……、魔力さえ込めなきゃ、『晴れ女』になったり、水難にあいづらくなったり、健康になったりするだけだから、
まあ、大丈夫…かな?
ご感想お待ちしております。




