277.別室へ
ナンシーがりんごに、熱烈なハグをしていると……。
「でゅふ……」
ん? 誰だ? 急に変な声を出してるのは?
「女の子同士のイチャラブ……でゅふふふ……」
俺が、声の主を探して振り向くと……。
変態的な顔をした『百合恵さん』だった。
あれ? 百合恵さん、元に戻ったのか!?
「うっ……ふう……」
ところが百合恵さんは、すぐさま力が抜けたように、その場に座り込んでしまった。
「百合恵くん大丈夫か?」
舞衣さんが、急いで百合恵さんに駆け寄る。
百合恵さんを【鑑定】してみると、MPがけっこう減っている。どういうわけだ?
「ヒルダ、百合恵さんに飴をあげてくれ」
「はい」
百合恵さんは、ヒルダからもらった飴を舐めてやっと落ち着いたようだ。
でも、今の百合恵さん、何があったんだ?
例の太ももの『黒い何か』の影響なのか??
「いま、百合恵くんの魔力が、太ももの黒いアレに吸収されるのが見えた」
舞衣さんが、小声でそう教えてくれた。
やはり、アレのせいか!
魔力とともに、黒い感情?も吸い取っているような感じなのかな?
「その娘だいじょうぶなの?」
ママさんも心配している。
「ええ、ちょっと疲れたみたいです」
なんだかな~。
次から次へ、厄介事が勃発するな。
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「ねえ、丸山。
私にも、アクセサリー作りなさいよ!」
今度は何事だ?
めぐみちゃんだった。
「めぐみさんも、アクセサリーが欲しいんですか?」
「も、もらってあげるから作りなさい!」
「俺はアクセサリー屋ではないので、本職のジュエリーナンシーの方にお願いしてみてはいかがですか?」
「だから! 丸山が作ったアクセサリーをもらってあげるって言ってるのよ!
つべこべ言わずに作りなさいよ!」
そんなに欲しいのか……。
「俺の作るアクセサリーは、友達の証なんですよ?
めぐみさんは、俺のお友達になりたいのですか?」
「え!?」
「だって、めぐみさんにとって俺は、お爺さんの部下でしかないですよね?
お友達になりたいのなら、アクセサリーを作ってあげてもいいですよ?」
「私が! 丸山ごときと!
と、友達になりたいわけ無いでしょ!!」
めぐみちゃんは、怒ってどこかに行ってしまった。
少し涙目になっていたが、ちょっとやり過ぎちゃったかな?
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「私には、作ってくれるわよね?」
今度はだれだ?
ナンシーママだった。
「ダメですよ」
「どうして?」
「友達ではないですよね?」
「じゃあ、いくら出せば作ってくれる?」
「お金の問題でもないです」
「くくくく……」
ナンシーママが笑い声をあげ始めた。
嫌な予感がする。
「どうやら奥の手を使うしかないようね」
「奥の手?」
「りんごさん」
「は、はい」
りんごを巻き込むつもりか!?
「あなた、ジュエリーのデザインの勉強をしているのよね?」
「え、ええ」
「あなた、ジュエリー・ナンシーの『専属デザイナー』になるつもりはない?」
「え!?」
「セイジを説得できたら、『専属デザイナー』にしてあげる」
「……」
汚いな、さすがナンシーママきたない!
「分かったよ、作ればいいんだろ!」
「セ、セイジさん、私は別に……」
俺は、りんごが、こんなナンシーママを、デザイナーとして尊敬していることを知っている。
りんごのためだったら、これくらい安いもんだ。
「やった! 面白そうなデザイナーと、謎技術の現物。 ダブルゲットだぜ!」
「んな!」
はめられた! ナンシーママは初めからりんごを狙ってたんじゃないか!
さすが、ジュエリー・ナンシーを一代で有名ブランドに育てただけの事はある。こりゃあ一本取られたな。
まあ、りんごも喜んでるし、まあいいか。
「それじゃあさっそく、デザインを始めましょう!
りんごさん、今すぐ手伝いなさい!」
「え、あ、はい」
ナンシーママは、りんごを連れて別室に入っていってしまった。
なにも、パーティの最中にそんなことをしなくてもいいのに……。
「変なママでほんとに恥ずかしい限りよ」
ナンシーが、深いため息をついた。
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「丸山……」
しばらくして、めぐみちゃんが社長に連れられてやってきた。
おそらく、めぐみちゃんが社長に泣きついたのだろう。
「と、と、とも、友達に、なってあげても、いいわよ」
「え?」
「だから、丸山と友達になってあげるって言ってるのよ!」
めぐみちゃんの後ろで社長が、俺を拝み倒している。
もう、しかたないな~。
「では、めぐみちゃん」
「ちゃん!?」
「友達だったら、『めぐみさん』ではおかしいですよね?」
「くっ」
「俺のことも、『丸山』ではなく、友達っぽく呼んで下さい」
「わ、分かったわよ!
セイジ! これでいいでしょ!」
まあいいか。
「では、お友達の印に、握手をしましょう」
「ふん」
めぐみちゃんは、そっぽを向きながら、俺と握手を交わした。
「そ、それで…… その、アクセ……」
「分かってますよ。
今、りんごとナンシーのママさんが、別室でデザインをしてくれています。
めぐみちゃんの分も頼みに行きましょう」
「ほ、ほんと!?」
めぐみちゃんの顔が、ぱっと明るくなった。
やっぱり笑顔がいちばんかわいい。
おれと、めぐみちゃんは、
一緒に別室に向かった。
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