275.ナンシーママのパーティ
翌日の日曜日、ナンシーママ主催のパーティが、高級ホテルのスイートルームで開催された。
パーティ参加者は、社長、社長の孫のめぐみちゃん、部長夫婦、舞衣さん、百合恵さん、りんご、エレナ、ヒルダ、アヤ、そして俺だ。
昨日の今日で、こんなパーティを開いてしまうとは、ナンシーママも凄い行動力だな。
おそらくアメリカでも、なんどもパーティを開催していたのだろう。
このあいだナンシーが開いた友達同士のパーティと違って今回のパーティにはドレスコードがあったため、
俺たちは、それなりの格好をしてパーティに参加している。
舞衣さんは、和服を着ていて、まるで753…いやなんでもない。
百合恵さんは、シックなドレスで大人っぽい感じ。
りんごは、豪華ではないものの、センスの光るアーティスティックなドレスだ。
エレナは、ドレスを着慣れていたので、流石お姫様と言った感じの高貴なドレス。
ヒルダは、エレナが昔来ていたドレスを借りて着ている。
アヤは……コスプレにしか見えない……。
「いやいや、丸山君」
部長が奥さんを連れて話しかけてきた。
「君の妹さん、ずいぶん可愛い子じゃないか。
可愛くないとか言っていたが、君も嘘つきだね」
部長は、アヤが可愛いとか言い出しやがった。
どうやら部長の目は節穴のようだな。
「ねえ、あなた。そんなに若い娘のほうがいいの?」
俺と部長の話を聞いて、部長の奥さんが横槍を入れてくる。
部長の奥さんは、けっこう若い感じで、特に胸がバインバインだ。
おそらく例の薬の影響なのだろう。
「バカ言っちゃいけないよ、君が一番に決まってるじゃないか!」
「あなた!」
「おまえ!」
部長と奥さんは、俺がいるのを忘れてイチャイチャし始めてしまった。
爆発しろ!
部長と奥さんから逃げると、
こんどは社長とめぐみちゃんに捕まってしまった。
「丸山君、楽しんでいるかな?」
「ええまあ」
社長はこういったパーティには慣れているようだ。
「あ、丸山。なんで、あなたがいるの?」
「これ、めぐみ、丸山君にしつれいだろ」
「だって、丸山は平社員なんでしょ?
世界のジュエリー・ナンシー主催のパーティには場違いでしょ」
社長は、俺に目線で謝りまくっている。
おじいちゃんとしての立場もあるのだろう。
「丸山君は、ナンシーさんと知り合いなんだよ」
「なるほど、コネがあるということね。
でも、場違いなことには変わりないから、大人しくしてなさい」
「は、はあ……」
……なんだろう、これは。
確か、めぐみちゃんは15歳だったっけ?
性格の悪さは、アヤに引けをとらないけど、
jcの『わがまま』なんて、かわいいものだな。
一部の愛好家には逆にご褒美なのではないか?
「なにニヤニヤしているの! きもちわるい!
オレンジジュースが飲みたいから、丸山、取ってきて」
これ、なんてプレイ?
「オレンジジュースならワシが取ってきてやるから、待ってなさい」
見かねた社長が、率先してオレンジジュースを取りに行ってしまった。
「丸山。社長に働かせてなにやってるの!
こういう時こそ、平社員であるあなたが率先して動かないとダメでしょ!」
「ご、ごもっともです」
どうやら、オレンジジュースが無いらしく、社長はどこかにオレンジジュースをもらいに行ってしまった。
ちょっと、社長。俺をこの娘と二人きりにしないで!
俺と、めぐみちゃんは取り残され、気まずい空気が流れていた。
めぐみちゃんは、腕を組んで怒っているふりをしているのだが、チラチラと俺を見てくる。
なにか言いたいことでもあるのかな?
「丸山」
「はい、なんですか?」
「あなた…に、忍者なの?」
「は?」
「だから! あなたは忍者なのかって聞いてるの!」
うーむ、やはり、めぐみちゃんは俺のことをあの時の忍者だと疑っているようだ。
「えーと、めぐみさんは忍者が好きなのかな?」
「好きとか関係ないでしょ!」
「そうですね~、三重県に忍者博物館っていうのがあるので、社長にでも連れて行ってもらうといいかもしれませんよ?」
「だれも、そんな事を聞いてないでしょ!」
「じゃあ、忍者のアニメとかどうです?
亀の忍者とか~~」
「もう! 私は子供じゃないのよ!!」
そこへ社長が戻ってきた。
「めぐみ、ほら、オレンジジュースをもらってきたぞ」
「もういい! オレンジジュースなんていらない!」
めぐみちゃんはへそを曲げて、どこかに行ってしまった。
「丸山君、すまんね。わがままな娘で……
今度、ランチをごちそうするから」
社長はそういうと、めぐみちゃんを追っていってしまった。
社長も大変そうだな~
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しばらくして、りんごが俺の袖をクイクイ引っ張ってきた。
「あの…セイジさん」
「なんだ?」
「私を……ジュエリー・ナンシーの社長さんに紹介してもらえませんか?」
「ああ、いいよ」
俺は、りんごをエスコートして、ナンシーとナンシーママの所へやってきた。
「ナンシー、りんごが紹介して欲しいって」
「そう言えばそういう約束だったね、
ママ、こちら『りんご』、絵を書くのがとっても上手いんだよ。
りんご、こちらは私のママ。ママの事はしってるんだよね?」
「は、はい。存じております! お会いできて光栄です」
ナンシーママは、こういうのに慣れているのか、緊張しまくりのりんごと普通に握手を交わした。
「りんごさん、ナンシーとなかよくしてあげてね」
「は、はい!」
と、そこまでは和やかだったのだが……。
「!?」
急にナンシーママが、ツカツカとりんごに近寄り、胸ぐらをつかんだ!
「ママ、何しているの!?」
「あのあの……」
りんごも、訳がわからず混乱している。
「……このブローチ。なに?」
「え?? ブローチ??
えーと、えーと……」
どうやらナンシーママは、胸ぐらをつかんでいるのではなく、
りんごの胸元のブローチを観察しているみたいだ。
ナンシーママは変に興奮しているし、
りんごは、急なことでオロオロしているし、
しかたがないので、俺が説明してあげた。
「それは、りんごがデザインした、手作りのアクセサリーですよ」
「手作り!? りんごさんが作ったの?」
「えーっと、デザインは私ですけど、
作ったのはセイジさんです」
「セイジ! あなたが!!」
ナンシーママは、こんどは俺の胸ぐらをつかんできた。
こんどは、ほんとに胸ぐらをつかんできている。
俺は何も悪いことしてないですよ?
ほんとだよ?
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