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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ナンシー来日編
283/438

273.なんでそっちが謝るの?


「ねえ、ナンシー。

 ナンシーのママってどんな人なの?」


 ママとの電話を終えたナンシーに、アヤが質問を投げかけた。


「そうね、

 いつもアクセサリーをジャラジャラ付けてるよ」


「他は?」

「うーん、自分のママを説明するのって難しい……

 あ、そうだ。

 パーティーをするから来て。そしたら紹介するから」



 ナンシーのママ、つまり『ジュエリー・ナンシー』の社長か……。

 そのパーティーともなると、豪華なんだろうな。



「私も参加したいです!!」

「もちろん! 来て来て」


 意外なことに、りんごが食いついてきた。


 りんごは、デザイナーを目指しているから、

 デザイナーとして成功したナンシーのママに興味があるんだろう。



「ところでナンシー、そのママはいつ日本に来るんだ?」

「明日の朝」

「ずいぶん急だな」

「事件のことを聞いてびっくりしたみたい。

 他の仕事を全部キャンセルして、飛んでくるって」


 なるほど、実際に誘拐はされなかったけど、状況によってはそうなっていた可能性もあったわけだし、母親として心配するのは当然だ。



「それでセイジ、明日ママのお出迎えに空港に行きたいんだけど、付いてきてくれる?」

「ああ、いいよ」


 本当は『日の出の塔』を攻略したかったけど、しかたないか。

 事件に巻き込まれかけたナンシーを一人にするわけにも行かないしね。



 そして、その日のカラオケ大会は、お開きとなった。


~~~~~~~~~~


 翌日の土曜日、

 俺とナンシーの二人で、羽田空港へやってきていた。

 アヤ、エレナ、ヒルダの3人は家で留守番だ。



「セイジ、土曜日なのに付きあわせちゃって、ありがとね」

「気にしなくていいよ」



 そんな話をしていると、アクセサリーをジャラジャラつけたラスボス風の女性が向こうから近づいてきた。

 その女性は歩く速度をどんどん上げていき、最後は全力疾走に近い速度で、ナンシーにタックルをかました。


「ナンシー! ああ、私のナンシー、無事でよかった!」

「ちょっとママ! 痛い痛い!」


 どうやら、この人がナンシーのママらしい。

 よほど心配していたのだろう。



「ナンシー、どこも怪我をしていない?」

「さっき、ママにタックルされた所以外はなんともないよ」

「よかった~」


 ナンシーママは、そう言いながらナンシーのほっぺにキスをしまくっている。


「ママ、やめてよ! 子供じゃないんだから」


 流石のナンシーも、ママ相手には『かたなし』だな。



「ところで、そちらの男性はどなた?」

「ああ、○○株式会社のセイジだよ」

「ああ、あのセイジね。よろしくね」


 『あのセイジ』って、どういう意味だろう?


 まあいいか。



「とりあえず、立ち話もなんですから、ホテルまでご案内します」


 俺はそう言って、ママさんを案内しようとしたのだが―


「いいえ、それには及びませんよ」

「え? どういう事ですか?」


「ナンシーを連れて今すぐ、カリフォルニアに帰ります」

「えぇ!!?」


 ナンシーママの発言にかなり驚いたのだが、

 ナンシーもまた、俺と同じように驚いている。


「ちょっ、ママ、なんで帰るの??

 仕事はどうするの?」


 どうやら、ナンシーにも寝耳に水だったようだ。



「だってそうでしょ、

 日本は安全な国だって聞いたから、お前をこさせたのよ。

 この前だって、私に内緒で世界一周旅行へ出かけちゃうし!

 もう、お前を危ない目にあわせるのは懲り懲りよ」


 気持ちはわかるが……。


「ちょっと待って!

 日本に『危険の種』を持ち込んだのは私たちの方でしょ!

 マフィアにひどいことをされた○○株式会社の部長さんと、社長のお孫さんに、今回のことを説明・・しに行かないと」


 おお、ナンシーが大人なことを言っている。



「分かりました。

 帰国の件は、その後に話し合いましょう」


 ナンシーママも了解し、俺たちは空港を後にした。


~~~~~~~~~~


 俺は、ナンシーとナンシーママを連れて、部長と社長のお孫さんのお見舞いにやってきた。

 二人とも、たいした怪我はなかったのだが、検査のために入院している。



 先ずは、部長の病室にやってきた。


「部長、ナンシーとジュエリー・ナンシーの社長さんがお見舞いに来ましたよ」

「おお、私のためにわざわざ来てくれたのか!」



 ナンシーママは、部長と握手をしながらこんなことを言った。


『今回の事件は災難でしたね、今後は、ともに困難を乗り越えていきましょう』


 俺がナンシーママの言ったことを部長に通訳すると――。


「あれ?

 丸山君、二人は謝罪に来たんじゃなかったのか?」

「たぶん、そういう意図だと思いますよ」


「それにしては、変な言い回しだな」

「そりゃあ、アメリカ人ですから」

「そんなもんかね」


 部長は、あまり納得していないようで、変な顔をしている。


『セイジ、どうかしたのか?』


 俺と部長が日本語で会話しているのを、心配しているのだろう。



『部長は、謝罪の言葉が聞きたかったみたいです』

『謝罪!! それは、どういうこと!?』


 今度は、ナンシーママの方がびっくりしてしまっている。


『日本とアメリカの文化の違いですよ。

 日本ではこのような場合に、先に謝罪をする習慣があるんです』

『Oh! 信じられない』



 ナンシーママが大げさに驚いたジェスチャーをしたのを見て、今度は部長が驚いている。


「ちょっと丸山君、さっきの会話を通訳しちゃったのか?」

「ええ、通訳しましたよ。

 社長さんは、『信じられない』と言っています」


「ちょっと! なんで通訳しちゃうんだよ!

 先方に変なことを言ってしまったことを謝っておいてくれ」


 え?

 まあ、通訳するけど……。



『部長が、変なことを言ってしまったことを謝罪すると、言っています』


『えーー!?

 なんでそっちが謝るの!!?』


 ナンシーママは、あまりのカルチャーショックに目を丸くしていた。


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