272.下がったテンションの上げ方
翌日、ナンシーとともに呼びだされ会社に行くと、会社に来ていた警察に事情聴取を受けた。
部長の携帯から電話を受けたが、
『脅迫電話だとは思わなかった』と、供述しておいた。
結局のところ、忍者になっていた時以外ではマフィアと接触はしていなかったし、
俺たちは、事件を知らずに観光していただけということで、そうそうに帰してもらえた。
「セイジごめんね。
トラブルに巻き込んじゃって……」
会社からの帰り道、ナンシーがしおらしくなっていた。
「別にナンシーが悪いワケじゃないだろ?
それに俺は、なにも迷惑を被ってないしね。
そういう話は、部長と、社長のお孫さんに言ってあげたらいいじゃないかい?」
「ああ、そうだね」
まあ、部長も社長のお孫さんも、たいして怪我をしていないし、犯人グループは全員つかまったし、
もうこんな事は起こらないだろう。
「そう言えば、なんでナンシーが狙われたんだ?」
「たぶん、私とママの会社のせいだと思う」
「会社? 『ジュエリー・ナンシー』が、なにかマフィアとトラブルがあったの?」
「うん、トラブルってほどじゃ無い……と思ってたんだけどね」
そう言うと、ナンシーは若干言いづらそうにしている。
「もしかして、言いづらいことだった?
無理して話してくれなくてもいいよ?」
「ううん、そんな大したことじゃないよ。
ジュエリー・ナンシーの海外店をどこの国にするか、ずっと会社内でもめてたんだけどね。
最終候補に残ったのが、日本と中国だったんだ」
そう言えば、そんな話を聞いたな。
ナンシーの世界一周旅行も、それに関連したことだったんだろう。
「ママは『日本』、一人の役員が『中国』がいいって言ってて、どっちも一歩も引かずに、もめてたんだよね。
しばらくの間もめていたんだけど、
その『中国』を押していた役員が、急に警察に捕まっちゃって」
「捕まった?」
ナンシーのママが裏から手を回したとか、そんなんじゃないよね?
「その役員が『中国』から、ジュエリーの材料に紛れ込ませて違法薬物を密輸していたんだって」
なるほど、アクセサリーの店を密輸の隠れ蓑に使おうとしていたのかな?
日本への出店を阻止すれば、また自分のところに話が戻ってくるかもしれないとでも考えていたのかな?
そんな話をしながら、俺とナンシーは家に帰ってきた。
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「ただいま~」
「セイジ様、ナンシーさん、お帰りなさい」
「お帰りなさい」
エレナとヒルダが出迎えしてくれた。
二人とも事件のことはよく分かっていないみたいだ。
俺たちは、リビングでコーヒーを飲みながらゆっくりしていた。
「ナンシー、これからどうする?
昼を過ぎちゃったけど、これから観光に行くかい?」
「うーん、なんかテンション下がっちゃったし、
なにか盛り上がること……
そうだ! 私、『アキ・バーバラ』に行ってみたい」
「アキバーバラ?
ああ、『秋葉原』ね。あんな所でいいの?」
「そう、その『アキハバーラ』!
『アキハバーラ』は日本文化の中でも有名だからね。
一度行ってみたかったんだ!」
「そうか、じゃあみんなで秋葉原に行こう!」
「わーい」「「はーい」」
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そんなこんなで、俺たちは『秋葉原』にやってきた。
「Oh! メイドさんがいまーす!!」
ナンシーは、ビラ配りのメイドさんと握手を交わしている。
メイドさんは、少し戸惑い気味だ。申し訳ない、メイドさん。
なんと、エレナとヒルダもメイドさんに興味津々だ。
あの服に興味が有るのかな?
こんど、二人にメイド服を買ってあげよう。そうしよう。
「セイジ、メイドさんがお店に来て欲しいって!」
うーむ、お店って、やっぱりアレ系のお店だよな?
女の子を3人も連れて行って良いもんなんだろうか?
「セイジ様、私も行ってみたいです!」
エレナとヒルダも乗り気だ!
まあ、みんながどうしても行きたいって言うなら、仕方ないよね!
ああ、仕方ない、仕方ない!!
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「ご主人様、お嬢様。お帰りなさいませ!!」
俺たちは、メイドさんたちに出迎えられた。
エレナとヒルダは、いきなり出迎えられてアワアワしている。
「セイジ様、なんでお嬢様って言われたんですか!?」
「わ、私がお嬢様……」
エレナもヒルダも、メイドさんの出迎えに驚いている。
「ご主人様、お嬢様、ご注文はお決まりですか?」
メイドさんが、注文を聞きに来てしまった。
なんと! このメイドさん、英語が出来るメイドさんだそうで、ナンシーも安心だ。
という訳で、みんなでオムライスを頼んで、ケチャップで絵を書いてもらっている。
ナンシーは『にわとり』、ヒルダは『ひよこ』。
エレナは『天使』、
そして、俺は……
『豚』の絵だった。
なぜ豚なのか……。
「もえもえ~、ラブ注入!」
そのあと、メイドさんの不思議な歌と踊りで『愛情』も込めてもらった。
ナンシーは大喜びで、
エレナとヒルダは、一生懸命に不思議な歌と踊りを覚えようとしている。
後で、家でやってもらおう。そうしよう。
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「兄ちゃん、おまたせ!」
メイド喫茶で、心とお腹がいっぱいになったところで、アヤが合流してきた。
なんと、りんご、舞衣さん、百合恵さんの3人を連れて来たのだ。
「セイジさん、事件のことを聞きました」
「お兄さん、なんか色々大変だったそうだね」
「こんにちは」
なんか、美少女が6人(+そうでもない奴が1人)も勢揃いしてしまって圧巻だな。
そんな8人でアキバを練り歩いていると、周りから注目されまくっていた。
「さて、こんなに大勢になっちゃったけど、この後どこに行きたい?」
「じゃあ、『キャラオーケー』!」
「『カラオケ』か、いいね!」
俺たちは、カラオケのVIPルームでカラオケを楽しんだ。
アヤはドラマの主題歌。
エレナとヒルダは魔法少女アニメの歌。
りんごは、ビジュアル系バンドの歌。
舞衣さんはスポーツアニメの歌。
百合恵さんは、ド演歌。
と、それぞれバラバラなカラオケ大会になってしまった。
ちなみに俺は、ロボット系アニメの歌を兄貴風に歌いあげてやった。
みんなは何故、俺の歌の時にばっかりトイレに行ったりするんだ?
そして、ナンシーはというと……。
『魔法少女・シィ』の主題歌を英語で歌い始めた!
「ナンシー!
『魔法少女・シィ』を知っているの?」
「もちろん! 大好きなアニメだよ」
その後は、みんなで『魔法少女・シィ』の歌を、メドレーで歌いまくって、大いに盛り上がった。
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プルルル~。
ちょうど歌と歌の間に、部屋の電話がなった。
「兄ちゃん、そろそろ終わりの時間だって」
「了解」
みんな満足気な顔で、帰り支度をしていると……。
プルルル~。
また、電話がなった。
「あれ? また?」
と、思ったら、部屋の電話じゃなかった。
「あ、私の電話だ」
ナンシーのスマフォだった。
「あ、ママ、どうしたの?
え!? うん、分かった」
「ナンシー、どうしたの?
ナンシーのママから?」
「うんとね、ママがね、
日本に来るって」
ご感想お待ちしております。




