264.パーティナイト
ナンシーの泊まってる部屋は―
スイートルームだった!
さすが金持ち!
どうやら、急なパーティの話を、ホテル側がなんとかしてくれたみたいで、全員問題なく通してもらえた。
「わあー、すごい部屋!」
アヤたちも驚きっぱなしだ。
スイートルームは、一部屋ではなく、
4LDKくらいの部屋数があった。
「お風呂も凄いよ~」
アヤ、人様の部屋を勝手に探検するな。
リビングもかなりの広さがあり、客を大人数呼んでパーティをすることも出来そうだ。
「ひろーい、いい眺め!」
「それじゃあ、料理を適当に頼んじゃうね」
ナンシーはそう言って、フロントに電話をかけている。
すると、
俺のスマフォにも電話がかかってきた。
「あ、部長からだ」
「え? 部長から兄ちゃんに電話?」
「あ、違う違う、
舞衣さんじゃなくて、会社の部長からだよ」
「なーんだ、びっくりした」
『もしもし、部長、どうしました?』
『丸山君、今どこにいるのかね?』
『ナンシーの部屋ですけど』
『なにーーーー!!!』
部長は、なんでそんなに驚いているんだろう?
『本人同士のことだから、とやかくは言わんが!
我が社の重要な取引相手なんだから、
無理やり変な事はしちゃダメだぞ?』
『何を勘違いしてるんですか!
妹も一緒ですよ』
『なにーーーーーーーー!!!!!
3○だと!!! しかも妹!!!?』
このおっさんは、ナニを考えているんだ……
『妹の友達も一緒ですよ』
『いったい、何○なんだ!!!!!』
殴りたい……
『用がないなら電話を切りますよ』
『すまん、すまん、取り乱した。
新幹線と京都のホテルの予約を取って、チケットを持ってきたから、ホテルの1階ロビーまで取りに来てくれ』
『部長がわざわざホテルまで持ってきてくれたんですか、ありがとうございます』
「ナンシー、ちょっとロビーまで行ってくる」
「了解」
部長は、新幹線の切符と、京都のホテルの予約の詳細をプリントアウトしたのを持ってきてくれた。
当然2人分のものなので、エレナとヒルダ、アヤの分は、こっちで用意する必要があるな。
1階に来たついでに、怪しい人物の居場所を確認してみたが―
流石にホテル内には入り込んでいないみたいで、
ホテルの周囲を取り囲むように配置されていた。
とりあえず、ホテル内に入れば大丈夫そうなので安心だな。
部長を見送った後、京都のホテルへ連絡し、3人追加をお願いしておいた。
新幹線の切符は、あした駅で直接聞いてみるしか無いか。
~~~~~~~~~~
ナンシーの部屋に戻ってくると―
リビングに色々な料理が運び込まれていた。
「兄ちゃん、見て見て、すごい料理だよ~」
さすがスイートルームのディナー。
美味しそうな料理が選り取り見取りだ。
「セイジにはコレね」
ナンシーが渡してきたのは、ワインの入ったグラスだった。
「あ、兄ちゃんとナンシーだけズルい!」
「お前は未成年だろ!」
「ひとくちだけ~」
「お前に酒なんて飲ませたら、ホテルが破壊されるだろ!」
「そんなことしないって!」
「ダメだ!」
しかしアヤは、まるでゾンビのように襲ってくる。
恐ろしい……
「りんご! アヤを羽交い締めにするんだ!」
「え! 私!?」
りんごは、戸惑いながらもアヤを羽交い締めにする。
「りんごちゃん、はなせ~!」
それでもアヤは暴れている。
「エレナ! アヤをだまらせるんだ」
「はい!
ほーら、アヤさん、このお肉美味しいですよ~」
エレナは、美味しそうな骨付き肉をアヤに食べさせる。
「あ、ほんとだ、美味しい!」
「そして、ヒルダ、止めだ!」
「はい!
アヤさん、このジュースも美味しいですよ~」
ゴクゴク。
「ほんとだ、美味しい!」
やっとアヤのゾンビ化が解け、
料理とジュースに夢中になっている。
くすくす。
ナンシーに笑われてしまった!
「いやあ、セイジ、ありがとね」
「なんだ? いきなり」
「ホントはね、一人で日本に来て心細かったんだ。
英語が話せる人もあまりいないし。
でも!
こんなにたくさん友達が来てくれて、
寂しさなんて吹き飛んだよ!」
そうか、ナンシーも寂しかったんだな。
よし!
ここはナンシーの為に、もっと盛り上げよう。
「アヤ、何か一発芸をしろ!」
「えー、なんでよ~」
「ここの料理はナンシーがお金を出してくれているんだぞ?
お礼に何かお礼をすべきじゃないのか?」
「うーん、それもそうか~
じゃあ、マジックをしてあげる!」
マジック!?
なんか、いやな予感がする……
アヤはみんなの前に立ち、お辞儀をした。
そして、右手の人差指を立てて上に向け、
ハンカチを取り出して、指にかけた。
「ワン、ツー、スリー、はい!」
ハンカチは、下から風が吹いているかのように、ふわふわと浮き上がった。
ってか! 下から風が吹いているだろ!
【風の魔法】じゃん、
ってか手品じゃなくて、魔法じゃん!
わーパチパチパチ。
アヤに対して、みんな拍手をしている。
特に、ナンシーとりんごは大喜びである。
「じゃあ、私もやります!」
こんどは、エレナが立候補した。
アヤに触発されたか?
エレナは、空のコップを手に持ち、
【水の魔法】で、水芸を披露した。
わーパチパチパチ。
「じゃあ、私も!」
今度はヒルダが!
ヒルダは、飴が出てくるマジックだ!
ナンシーは、出てきた飴を舐め、
マジックと飴の美味しさに、大喜びだ。
「じゃあ、私も……」
え! りんごも!?
りんごは魔法を使えないだろ?
かと思ったら、
りんごはスケッチブックを取り出し、
即興でナンシーの似顔絵を書いてあげ、
ナンシーも大喜びだ。
さすが、りんご!
「さーて、ラストは兄ちゃんだよ。
締めに派手なやつをやってよね!」
え? 俺もやるの!?
「兄ちゃん、人にばっかりやらせて、
自分はやらない気?」
くそう、アヤのやつ、好き勝手言いやがって。
やってやろうじゃないか!
見とけよ見とけよ~
俺は、みんなの前に立ち、おじぎをする。
「兄ちゃん、がんばえー!」
アヤ、お前は、アニメヒロインを応援する幼女か!
俺は、手品っぽい手つきで、両手になにもないことを見せ、
インベントリからハンカチを取り出した。
わーパチパチパチ。
ナンシーは大喜びで拍手をしてくれたが……
「兄ちゃん、それだけ?」
なにを!
「違うし!
本番はこれからだし!」
俺は、ムキになっていた。
みんなの前で、クルッと一回転し、
回転している途中、後ろを向いた瞬間に『カーテン』をインベントリから取り出し、
バッと広げた。
「うわ! びっくりした!」
ナンシーとりんごは、いきなり『カーテン』が出てきて、かなり驚いている様子。
この『カーテン』は、前に模様替えをした時に余った奴をインベントリに入れっぱなしにしてたやつだ。
そして、俺は、カーテンで俺自身を覆い隠す。
「ワン、ツー、スリー、はい!」
掛け声とともに、カーテンがパサリと落ちると―
そこに、俺の姿は無かった……
「うわ!! セイジが消えた!!!」
ナンシーとりんごは大騒ぎだ。
そこへ、【瞬間移動】で隣の部屋に移動していた俺が、
颯爽と登場する。
「どうだい、びっくりしたかい?」
「セイジ! 凄いよ!!」
ナンシーは、大喜びして……
俺に抱きついて、ほっぺにキスして来た。
ナンシー、みんなが見ているのに、照れるじゃないか。
……みんなが見ている?
ハッと気が付くと―
ナンシー以外の全員が、俺の事を睨みつけていた。
……なんで!?
ご感想お待ちしております。




