254.日の出の塔の水族館
その日は、俺のインベントリに入っているアヤ、エレナ、ヒルダの私物を全部取り出し、
それぞれの【格納の腕輪】に格納しまくった。
アヤは、調子に乗って、部屋中のものを格納し、アヤの部屋がガランとしてしまった。
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翌日、朝食を食べ、キチンと身支度を整えてから、
イケブの街の『日の出の塔』に向かった。
瞬間移動で飛んだ先は、
『日の出の塔』の地上4階。
前に花見をして蜂に襲われた場所だが、
今回は蜂はいなかった。
「あ、花見の所だ!
途中から再開できるって楽ちんだね」
そうだろうそうだろう。
荷物持ちが必要なくなったからといって、
こんなに役立つ兄ちゃんに対して、『要らない』なんて言うなよ?
「今日中にてっぺんまで登れるかな?」
「流石に無理だろ」
アヤは舐めすぎだな。
とは言え、百合恵さんのためなのだから、
頑張らないとな~
さて、地図でも見ながら階段を探すか―
と思ったら、階段までの地図が表示されている!?
どうして?
地図をさらに確認してみたところ、5階もある程度表示されている。
ビーコンをつけた人が誰か登っているのか?
追跡用ビーコンを確認してみると―
先週、悪魔族襲撃の時、イケブの街の様子を確認するために、そこらにいた冒険者にビーコンをつけたのだが。
その冒険者が『日の出の塔』を攻略中のようだ。
その人は、現在5階を探索中だった。
「5階に登る階段は、あっちみたいだ」
「はーい」
俺たちは、魔物に出くわすこともなく5階へ上がった。
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「なんじゃこりゃ!」
5階は、打って変わって迷路っぽい雰囲気だった。
しかし、注目すべきは『壁』だ!
壁が一面『水』なのだ。
「水族館みたい」
アヤの言うとおり、
両面に水槽のように水が満たされていて、
小魚なども泳いでいる。
しかし……
「あ、これ、ガラスがない!」
水槽を触ろうとしたアヤの手が、水の中にズボッと入っていた。
「なんでこの水、
ガラスが無いのに落ちてこないの??」
アヤは水の中に手を突っ込んで『ばちゃばちゃ』やってる。
「魔法の力…としか言い様がないな」
俺たちは水族館の迷路を進んでいった。
「なにか来るぞ!」
地図に反応があり、俺はとっさにそう叫ぶ。
全員、戦闘態勢をとるが……
敵の姿が見えない。
何処に居るんだ?
「セイジ様、壁の中です!」
エレナが指し示す方を見てみると、
壁の水の中に……
ナマズが泳いでいた。
そして、そのナマズは壁の水から、
ぴょんと飛び出し、俺たちの行く手に立ちふさがった。
水から出ちゃうのかよ!
「ナマズ!?」
地図の点は、このナマズを指し示している。
魔物なのだろう。
そのナマズは、
床から少し浮いた状態で、空中を泳いでいる。
俺たちがナマズの出方をうかがっていると―
ナマズがいきなり『泥』を飛ばしてきやがった。
「うわ、汚い」
4人とも、泥を避けたが。
それと同時にナマズが突っ込んできた。
「てや!」
ナマズは、アヤのナイフに首の後を突き刺されていた。
「弱!」
「まあ、5階だし、
俺たちも強くなってるしね」
ナマズは、特に魔石などを落としたりはしなかった。
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しばらく進むと、こんどは―
『スライム』が壁の水の中から飛び出してきた。
スライムは、地下にいた奴より弱そうで、
プルプルしながら威嚇をしていた。
だがしかし!
エレナの氷の魔法で、カチンコチンに凍らされ動かなくなってしまった。
スライムからは【水強化魔石】が取れた。
「エレナ。
次にあのスライムが出たら、俺に倒させてくれ」
「あ、刀の試練ですね!
わかりました」
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俺は、階段を探しながら、
近くにいるスライムや未発見の魔物を優先して倒していった。
魔物は、スライム×2、オオナマズ×5
を倒すことができ、
白帯刀の試練も、水と土が若干進んで
・水属性魔物討伐 2/10
・土属性魔物討伐 5/10
こんな結果だった。
ちなみに『オオナマズ』は、最初に出くわしたナマズより一回り大きい魔物だったが、
こちらもたいして強くはなかった。
そして、6階への階段を発見した。
結局、ビーコンをつけた冒険者とは出会うことはなかった。
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6階は、見渡すかぎりの水で、
まるで海の上に居るようだった。
上は青空、水はずっと先まで続いていて、水平線が見えてるけど、きっとこれは幻なんだろうな~
水の上に、丸太で作られた足場が浮いていて、
足場が迷路のようになっている。
この足場の迷路を進めってことかな?
「落ちたら溺れちゃいそう」
アヤは、のんきだな。
水に落ちたら、きっと水中で魔物に襲われるぞ。
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しばらく進むと、地図上に赤い点が近づいて来た。
「兄ちゃん、あれ!」
アヤの指差す方を見てみると―
黒い三角の『ヒレ』が、すごい勢いで近づいて来ていた。
「あれは!?」
そいつは、俺たちが構えるより先に水面から飛び上がって襲ってきた。
「サメだ!!」
パックリと開けた口に、鋭い歯がずらりと並んでいた。
白帯刀でサメの歯を受け止めると、ガチンッと音がした。
「うりゃ!」
俺が、白帯刀を横に振るうと、
サメは横に吹っ飛び、
バシャンと水面に落ちた。
「私が水から出します」
エレナがそう言うと、水面から水柱が上がり、
サメは空に放り上げられた。
「てやー」
今度はヒルダが炎を飛ばし、
サメは火だるまになった。
火だるまのサメは、丸太の足場に『ビタンッ』と落下し、
ビチビチともがいていた。
「止めはいただくぜ!」
俺は、サメの上に【瞬間移動】し、脳天に【白帯刀】をぶっさして止めを刺した。
【フカヒレ】って、
どうやって料理すればいいんだっけ?
ご感想お待ちしております。




