252.強化魔石の謎
「トキ、もう一つ聞きたい」
『なんですか?』
「やはり、【トキの魔石】を、手に入れることは出来ないのか?」
『ダメです! アレを手に入れるということは、私の仲間を殺す事になります』
やはりダメか、『占い』は諦めるしか無いな。
『何故、【トキの魔石】を求めるのですか?』
俺は、トキに事情を説明した。
『【トキの魔石】は、一時的に【時空魔法】の力を引き上げるだけの魔石です。
【トキの魔石】を使わなければ【占い】が出来ないというのであれば、その者の力量が足りないだけなのでしょう。
ですので、【時空魔法】の力を引き上げることが出来れば、【トキの魔石】を使わずとも【占い】をすることが出来るかもしれません』
【時空魔法】の力を引き上げる、か~
属性強化魔石のように【時空魔法】を強化できればいいんだけど……
確か前に【時空魔法】の強化魔石を作ろうとしたけど、出来なかったんだよね~
まあ、あの頃よりだいぶ強くなったし、
もう一度挑戦してみるか。
俺は、【ヌルポ魔石】を取り出し、
右手と左手で挟むように持ち、左手に【魔力強化】、右手に【時空魔法】を込めてみた。
出来ちゃった……
【時空強化魔石+5】だって……
その魔石は無色透明で、とても美しかった。
なんで!?
前は出来なかったのに!
『そう、その魔石です。
それがあれば、【トキの魔石】を求める必要はもうありませんね』
トキは、強化魔石を見て、
もう仲間を殺される心配がないと、胸をなでおろしていた。
しかし、なんで急に作れるようになったんだ?
前に試して作れなかった強化魔石は、【肉体強化魔法】、【情報魔法】、【時空魔法】の3種類だった。
試しにもう一度、【肉体強化魔法】と【情報魔法】の強化魔石を、作ってみようとしたが―
やはり、両方とも作れなかった。
【肉体強化魔法】の強化魔石を作れないのは、なんとなく理解できる。
魔石を作るときに込める魔法の片方が【肉体強化魔法】だから、魔石に込める魔法がダブってしまう。
では、前に試した時に条件を満たしていなかったのは【情報魔法】、【時空魔法】の2つだけ?
そして今回、【時空魔法】だけが条件を満たした。
前回と今回で何が変わったんだ?
あの頃よりレベルが上がったから?
【時空魔法】のレベルが5から6に上がったから?
精霊と契約したから?
どれも違う気がする。
では何なんだろう??
ピコン!
そうだ!
マナ結晶への参拝だ!
【情報魔法】と【時空魔法】の2つだけ、マナ結晶に参拝せずに覚えた魔法だ。
そして今回、【時空のマナ結晶】を参拝した。
おそらく、それが条件に違いない!
では、【情報魔法】もマナ結晶に参拝すれば……
ところで、【情報のマナ結晶】って、どこかにあるのかな?
俺が、そんなことを考えていると―
『人族のセイジよ、他に聞きたいことはありませんか?』
「あ、はい、もう大丈夫です」
『では、また会いましょう』
トキはそう言うと、【瞬間移動】で何処かへ行ってしまった。
俺も街に戻るかな。
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「みんな、おまたせ」
「あ、兄ちゃん。
もうトキとのお話は済んだの?」
アヤは、食べ物を両手いっぱいに抱えていた。
あれほど無駄遣いするなって言っておいたのに……
まあ、いいけど。
「ああ。
おかげで『占い』をやってもらえそうだ」
「セイジ様、本当ですか!?」
「ああ、任せろ」
俺たちはエクセターの屋敷に向かった。
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「エレナ様、
占いが出来なくなってしまった哀れな男に何の御用ですか?」
エクセター、目が死んでいるぞ。
そんなにショックだったのか?
「エクセターさん、
そんなに落ち込まなくてもいいですよ。
【トキの魔石】の代わりになるものを持ってきたんですから」
「それは本当か!?」
エクセターは、急に目を輝かせて迫ってきた。
男に迫られても嬉しくもなんともないんだが。
「これだ」
俺が、【時空強化魔石+5】を取り出すと、
エクセターは、奪うように魔石を手にとった。
「これを使ってみていいのか?」
「その魔石は、使い捨てではないので、使ってみて大丈夫ですよ」
「そ、そうか!」
エクセターは、椅子から立ち上がり、
魔石を大事そうに両手で包み込むと、
なにやら呪文を唱え始めた。
「○△◇×……
ドレアドス王国の未来を指し示したまえ!」
エクセターがそう叫ぶと、光りに包まれた。
光はすぐに消え、
エクセターは、その場に膝から崩れ落ちた。
「エクセター様、大丈夫ですか?」
エレナがエクセターに駆け寄る。
「だ、大丈夫だ、魔力を消耗しただけだ」
エクセターを鑑定してみると、
MPが、2/302となっていた。
どうやら『占い』でMPを300も消費したみたいだ。
ギリギリもいいところじゃないか。
今度はヒルダが駆け寄り、エクセターに飴を渡している。
「これは?」
「それは魔力を回復する食べ物ですよ。
飲み込まずに、口の中で溶かして下さい」
「わかった。
ん、これは凄い!」
エクセターは、みるみるうちに元気を取り戻した。
「それで、『占い』は上手く行ったんですか?」
「ああ、成功した。
占いの結果は……
『2本の角を持つ6つの石像を破壊すべし』
という内容だった」
あ!
『2本の角を持つ石像』って!
竜人族の村の近くのあれか!
直接は見てないから、2本の角の石像かどうかは分からないけど、
きっとアレに違いない。
ってか、アレのことをすっかり忘れてた。
悪魔族は、その石像があった場所から現れたんだった。
しかし、あれが6つもあるのか?
「エクセターさん、その石像をニッポの街の近くで見たという話を聞いたことがあります。
リルラに連絡して、各街の付近を探させる必要があるのでは無いですか?」
「そ、そうだな。
分かった、リルラ殿に連絡しておこう」
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エクセターがリルラに連絡を入れたので、
後は、各街で石像を見つけて破壊してくれるだろう。
そうすれば、悪魔族はあれを使って攻めてくることは出来なくなる。
まあ、ニッポの街の近くの石像くらいは、
俺が直接行って、壊してこよう。
壊す前に調査もしたいしね。
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