248.通信網
土曜日、今週も異世界へ足を運ぶ。
今週の目的は、百合恵さんの太ももの真っ黒いアレの情報を探す事だ。
舞衣さんは百合恵さんについててあげるために、居残りで、
メンバーは、俺、アヤ、エレナ、ヒルダの4人だ。
俺たちは、まずビュート様の所へやって来た。
「こんにちは、ビュート様」
「これはこれは、エレナ姫様」
ビュート様にとって、エレナ以外はまったく眼中になくなってきたみたいだな……
「実は……」
俺は、百合恵さんの状態を説明して、心あたりがないかを聞いてみた。
「そのような呪いは聞いたことがありません。
しかも、鑑定までして『呪い』ではないと出ているとなると、見当もつきません。
エレナ姫さまのお役に立てなくて申し訳ありません」
うーむ、ビュート様でも分からないのか、
さて困ったな。
「あ、そうだ、ビュート様これいります?」
「なんでしょう?」
俺は、とあるものをビュート様に手渡した。
「何ですかこれは!!?」
ビュート様はソレを食い入る様に見ている。
「セ、セイジ様!
なんで私たちの写真集をビュート様に渡すんですか!」
「え? せっかくいい出来なんだから、いろんな人に見てもらいたいだろ?」
「で、ですが……」
エレナとヒルダの写真集を熱心に見続けるビュート様を放っておいて、エビスの街を後にした。
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俺たちは、次にリルラの所へ来ていた。
百合恵さんのこともあるけど、悪魔族との戦いのこともきになるからな。
「ようリルラ、また来たぞ」
「セイジ、よく来た!」
リルラは、ニッコリと出迎えてくれた。
「先週は慌ただしくかえっちゃったけど、あれから何か新しい情報はあるか?」
「ああ、あるぞ!
例の双子魔石の魔道具が、やっと各街に行き渡ったのだ」
「おお、それはいい話だな。
それで、各街となにか話をしたのか?」
「うむ、先週の悪魔族との戦いで、各街がどのような状況だったのかを共有し、
不足している物資などを、各街から融通しあう事になった」
かなり建設的な使い方をしているな。
いい感じじゃないか。
「しかし、一つ問題が……」
「なにが問題なんだ?」
「魔道具の片割れが、全部私のところにあるのだ。
本来ならお父様の所にあった方がいいと思うのだが」
「いやいや、リルラの所にあった方が俺としては助かる」
「ん? それは、なんでだ?」
「俺に連絡を取れるのは、リルラだけだろ?
リルラなら双子魔石で俺を呼べるじゃないか」
「そうか! そうだよな!」
リルラは、ウンウンと頷いて喜んでいる。
何処かの街で悪魔族の襲撃があったら、リルラ経由で俺に知らせてもらう。
そうすれば、俺たちがすぐに駆けつけることが出来るという筋書きだ。
まあ、平日とかだと直ぐには駆け付けられないけどね。
「あ、そうだ、リルラに頼みがある」
「なんだ、なんでも言ってくれ!」
「その連絡網を使って調べてほしいことがある」
俺は、百合恵さんの件を教えた。
「なるほど、その悪魔族に利用されてしまった女を助けたいと……」
「他の街の人に聞いてもらえるか?」
「ああ、分かった、何でも聞くと約束したしな」
リルラは、糸電話専用の部屋に行き、各街の領主に色々聞いてくれていた。
「今のところ、すぐには情報は無いが、
各街の物知りの者にも聞いてくれている所もあるので、
もうしばらく待ってくれ」
「ああ、ありがとう。
しかし、この魔道具での会話をリルラがやるのか?」
「ん? どういうことだ?」
「リルラが外出している時に連絡が来たら、困るだろ?」
「ああ、そうだな」
「連絡を受ける専門の人をつけたほうがいいんじゃないのか?」
「うむ、そうか……」
まあ、電話番みたいなものだな。
「信用できる人間に、交代でこの部屋の番をしてもらって、
あと、話しの記録もとっておいたほうがいいな」
「なるほど……
セイジは、こういう事に詳しいのだな」
まあ、電話番の時にメモを取るのは、社会人として当然の行いだからな!
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しばらく、リルラの所でくつろいでいると―
やっと各街からの連絡がそろった。
「結局、どの街からもめぼしい情報は得られなかった」
「そうか、仕方ない。
他をあたってみるしか無いか」
「他に当てはあるのか?」
「そうだな~
双子魔石の魔道具で聞いてないところは……
魔族の街と、ニッポの街の開拓村かな」
あと、竜人族の村もあるけど、
あそこの事は内緒だ。
「っていうか、その二箇所にも、
双子魔石の魔道具を置くべきなんじゃないのか?
ついでだから、俺が届けてやるぞ?
魔道具は余裕が有るのだろう?」
「そうか、それは助かる。
その件について、お父様に相談してくるからちょっと待っててくれ」
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しばらくして、ライルゲバルトと相談を終えたリルラが戻ってきた。
「魔族の街は、魔族王に魔道具を直接渡すわけにはいかないので、
元貿易特使でドレアドス共通語が話せるカサンドラという人物に渡して欲しいそうだ。
知っているか?」
「ああ、知り合いだ」
「開拓村に関しては、ニッポの街の直轄地なので、
ニッポとの間で連絡が取れるように、一組の魔道具を開拓村とニッポに届けて欲しいそうだ」
「そちらも了解した」
俺は、リルラから双子魔石の魔道具を受け取り、
先ずは、魔族の街へ飛んだ。
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魔族の街でカサンドラさんとブンミーさんに面会し、
双子魔石の魔道具を渡した。
『私は、カサンドラです。
リルラ様、聞こえますか?』
『ああ、聞こえる。
無事に届いたみたいだな。
魔族の街で何かあれば、この魔道具で知らせてくれ』
『はい、分かりました』
カサンドラさんとリルラが、ちゃんと話ができることを確認して、ここの配達任務は完了だ。
そしてカサンドラさんに、エレナとヒルダの写真集を渡したところ、大変喜んでくれた。
ブンミーさんからは、舞衣さんの写真集はないのかと聞かれたが―
舞衣さんの写真集なんて作ったら、法律に抵触しそう……
けっきょく魔族の街でも、百合恵さんの件は分からなかった。
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次に、ニッポの街でロンドとミーシャさんに面会し、
双子魔石の魔道具を渡すついでに、
こちらもエレナとヒルダの写真集を渡した。
ミーシャさんも、ヒルダの写真集を喜んでくれて、
ロンドは、アヤの写真集を欲しがったが、完全無視してやった。
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3カ所目は、開拓村のレイチェルさんだ。
双子魔石の魔道具を渡し、ロンドと会話ができるのを確認すると、
レイチェルさんは大喜びしてくれた。
そして、レイチェルさんにもエレナとヒルダの写真集を渡したところ―
レイチェルさんもヒルダの写真集を大変喜んでくれた。
「ところでレイチェルさん、さっきの悪魔族に利用されてしまった女性の件ですけど、なんか情報はありませんか?」
「すまない、そういった情報はこの村にはないよ」
「ですよね~」
俺が途方に暮れていると―
「どうしても、情報が見つからないというのであれば―
トキの街に行ってみるのも手かもしれないな」
「ん? トキの街ですか?」
「トキの街には、よく当たると評判の『占い師』が居るんだ」
占いとかはあまり信じないんだけど……
手がかりも無いし、行ってみるか。
ご感想お待ちしております。




