243.この後スタッフが美味しく頂きました
結局、百合恵さんと舞衣さんはお泊りして―
翌朝、大人数で朝食をとっていた。
「百合恵さん、落ち着くまで何日でも泊まっていっていいからね」
「ありがとうございます」
百合恵さんは、まるで淑女のようにお辞儀をした。
うーむ、やっぱり百合恵さんの様子がおかしい。
まるで別人みたいだ。
【鑑定】をしてみて、本人だということはわかっているのだが……
あんな事件があったばかりだから混乱しているのかと、始めは思っていたのだが、
そうでもないみたいだ。
悪魔化とかの後遺症でおとなしくなってしまったのだろうか?
しかし、どうも調子が狂う。
「短大にもレポーター来るかな?」
アヤの指摘した通り、
朝のワイドショーで、『女子大生密室失踪事件』を各局で大々的に取り上げている。
もう、ブームと行ってもいい感じだ。
「俺は仕事があるから手伝ってやれないが……
アヤ、早めに短大に行って、怪しい奴がいないかチェックして来い。
怪しいのが居たら舞衣さんと百合恵さんに連絡するんだ」
「了解!」
「もし、短大にレポーターが来てるようなら、
百合恵さんは、休んだほうがいい。
食事とか、必要なものの買い出しとかは、
エレナとヒルダ、お願いしてもいいか?」
「はい、お任せ下さい!」
「みなさん…ありがとうございます」
うーん、この百合恵さんのしおらしい姿……
ガキ大将が映画版の時だけかっこ良くなるという、『綺麗な○○』現象か?
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俺は出社し、仕事中に追跡用ビーコンの様子を確認しているのだが……
やっぱり、短大にレポーターがたくさん押し寄せてきている。
アヤは、レポーターの様子を連絡し、
百合恵さんは、短大を休むことにして、
舞衣さんも、百合恵さんに付き添って短大を休んだ。
『ごめんね部長、私のせいで』
『気にするな』
舞衣さん、幼女なのに漢だな。
『部長、ありがとう』
百合恵さんは、舞衣さんに抱きついた。
しかし……
『百合恵くん、やっぱりまだ体の調子が悪いんじゃないのかい?』
『え? どうしてですか?』
『なんというか、ボクに抱きつくときの勢いが、前より弱い気がする』
『そうですか?』
『うん、なんというか……
前はもっと欲望に満ちた、ダークなフォースに満ちていた気がする』
『うーん、そうかもしれません。
なんというか……
私自身良くわからないんですけど……
私の心の中にかかっていた黒いモヤモヤが、どこかに行ってしまったような、そんな感じなんです』
なんか嫌な予感がする……
まだ呪いが解けていないのか?
いや、呪いが解けていることは、ちゃんと【鑑定】で確認した。
では、呪いじゃない何か別の……
うーむ、分からん!
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「ただいま~」
「「おかえり!」」
家に帰ると、総勢6人の女の子がお出迎えしてきた。
え? 6人!?
「こんばんは、セイジさん」
「りんご、来てたのか!」
りんごとはずいぶん久しぶりな気がする。
「アヤちゃんに百合恵さんのことを聞いて心配になっちゃって。
来ちゃいました」
なんか『セイジ軍団』全員集合って感じだな!
これで、アヤがいなければハーレム状態なんだけどな~
「あーあ、これで兄ちゃんがいなければ、修学旅行みたいで楽しいのにな~」
「なにを!」
俺とアヤが睨み合っていると、
りんごが止めに入ってくれた。
りんごマジ天使。
「おっと、忘れるところだった。
りんごにあげようと思ってたものがあったんだ」
「私に? なんだろう?」
俺は、前に買ってそのままになっていた【身代わりの首飾り】をりんごに渡した。
「なにこれ!?
なんか不思議なデザインですね」
「これは【身代わりの首飾り】と言って、持ち主がピンチになった時に、一度だけ身代わりになってくれるアイテムだよ」
「へー」
冗談ぽくホントの事を言ってみたけど、信じないよね?
りんごは、スケッチブックを取り出し、【身代わりの首飾り】のスケッチを始めた。
気に入ってくれた?みたいで良かった。
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久しぶりに皆で集まったので、女子たちは楽しくおしゃべりをしていた。
そして俺は、一人寂しく夕飯の準備をしていた。
今日のレシピは『グラタン』だ。
耐熱皿は、多めに持っているので、
材料を10人前くらい作っておき、耐熱皿にセットしておく。
具は、ホタテ、エビ、キノコ、などだ。
家のオーブンレンジでは同時に4つくらいしか焼けないので、
先ずは、電子レンジで温め、
【光の魔法】で遠赤外線を照射して保温しつつ、熱がまんべんなく行き渡るのを待ち、
【火の魔法】で表面のチーズに焦げ目をつけたら出来上がりだ。
出来上がりは、すぐさまインベントリにしまって、できたて熱々のままにしておく。
サラダの準備を終え、テーブルに運ぶと、
女子たちは集まってきた。
「兄ちゃん、今日の献立はなに?」
「グラタンだよ」
わー パチパチ!
女子たちから歓声が上がる。
しかし、この人数だと……
家のリビングのテーブルは、それなりに大きいのだが……
両側に3人ずつ女子たちが座ってしまったため、俺の座る場所がなくなってしまった。
グラタンを運び、
切り分けたフランスパンを運び、
6人のグラスにぶどうジュースを注ぎ、
熱そうにしていたヒルダのグラタンを『ふーふー』してやり、
アヤがグラタンを平らげてしまい、おかわりを要求され
サラダがなくなってしまったので、追加で作り、
食後のデザートに『苺』を出し……
俺の食べる暇が無いじゃないか!!
そして、女子たちの食べ残しは……
※この後スタッフが美味しく頂きました。
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