242.女子大生密室失踪事件
日付が飛んでいることに気が付き、慌て始める百合恵さん。
「あ、気がついたみたい」
アヤの発言に、こっちにいる全員の視線が、追跡用ビーコンの映像に集中した。
百合恵さんは、携帯電話を手に取り確認したが―
メールや着信が大量にあることに気が付き、さらに慌てている。
そして、百合恵さんは真っ先に舞衣さんに電話を掛けようとしている。
「舞衣さん、分かってますよね?
異世界でのことは、内緒ですからね」
「わ、わかっている」
その直後、舞衣さんの携帯が鳴り出した。
「もしもし、百合恵くんか?」
『わ、わた、わた、私‥‥
ど、ど、ど、どうしよう……』
かなり慌てているみたいだ。
「今、家かい?」
『う、うん』
「今から行くから、待ってて」
『うん』
舞衣さんは、携帯を押さえながら…
「お兄さん、今すぐボクを百合恵くんの所へ連れてってくれ!」
「ああ、分かった」
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本当だったら、電話してすぐにかけつけたらおかしいんだけど……
舞衣さんが、あまりに急かすもんだから。
電話の10分後に、舞衣さんは百合恵さんのマンションの呼び鈴を押していた。
俺は、舞衣さんを送ってすぐに帰ってきて、追跡用ビーコンの映像を確認している最中だ。
『ぶ、部長ーーー!』
『百合恵くん!』
追跡用ビーコンの映像の中で、二人は抱き合っている。
『百合恵くん、今までどうしていたのか覚えているかい?』
『えーと、たしか……』
百合恵さんの証言によると―
1.舞衣さんのお出迎え準備をしていたら、急に神殿のような場所にいた。
2.角が2本生えた人たちに囲まれ戸惑っていると、なにか魔法のようなものをかけられ、意識を失った。
3.気が付くと『悪役令嬢』に転生していた。
4.婚約破棄してきた隣の国の王様を懲らしめに行く話になっていた。
こんな認識らしい。
最初の神殿のような場所が、悪魔族の場所なのだろう。
意識を失う魔法のようなものは、【睡眠】の魔法かな?
悪役令嬢とか、婚約破棄とかは、『混乱』の影響なのだろう。
百合恵さんは舞衣さんに付き添われ、警察に報告しに行った。
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百合恵さんは、警察で事情を聞かれた後、
警察に言われて、病院で精密検査を受けた。
舞衣さんは、ずっと百合恵さんに付き添っている。
『部長、色々とすみません』
『こんな時こそ、頼ってくれ。
なにせ、部長だからな!』
『部長!』
また、抱き合ってる……
お熱いことで。
しかし、百合恵さんの抱きつき方が…前と若干違う気がする。
気のせいかな?
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病院での精密検査の後、
百合恵さんは、また警察で事情を聞かれていた。
「すいませんでした」
「え!?」
女性警察官が、百合恵さんに土下座している。
何故警察があやまるんだ?
「実は、百合恵さんの今回の件がテレビ局に漏れてしまいまして……」
女性警察官が、その取調室的な部屋に設置されたテレビを付けると……
『密室から突如消え去った女子大生!
一体何処へ消えてしまったのか!?』
なんか百合恵さんのことを、ワイドショーで報道しちゃってる!
『先ずは、小説家のカツ先生、どう思いますか?』
司会者が、著名人にコメントを求めるスタイルの番組みたいだ。
『これは俗にいう密室殺人というやつですね』
『死んでませんが……』
『おそらく、扉にチェーンを掛けた後に……』
『掛けた後に?』
『扉にあわせて、後から家を立てたのでしょう』
『マンションなのですが……』
このカツとか言う小説家は、バカだな。
『続いて、マジシャンの○○さん、どう思いますか?』
『こんなのは、簡単だよ君』
『はあ』
『床に穴が…』
『開いてませんでした』
『じゃあ、壁に…』
『そっちも開いてませんでした』
『じゃあ、しらんよ』
こいつもダメだな。
『結局、密室の謎は謎のままでしたね……
一刻も早く、この短大生の百合恵…じゃなかった、Yさんが見つかることを願っております』
うわ、この司会者……
生放送で本名言っちゃったよ!!
『あ、ちょっと待って下さい。
たった今、新しい情報が入ってきました!
行方不明だった、ゆ…Yさんが見つかったそうです。
××レポーターが、中継先の△△警察署の前にいます。
××レポーター、そちらの様子はどうですか?』
『現場の××です。
行方不明だったYさんですが、今朝、自宅に戻っていることが分かり、
友達に付き添われて警察にやって来たそうです。
現在、この△△警察署で事情聴取が行われているようです』
まるで、犯人扱いだな……
『自宅に戻っていたとは、どういうことなのでしょう?』
『事情通の情報によりますと、朝起きたら自宅にいたそうです。
彼女は、失踪していた間の記憶が無いとのことです』
『これは、ますます面白…じゃなくて、分からなくなってきましたね。
この件は、さらに新しい情報が入り次第、やって行きたいと思います』
さらに、追っかけるつもりか……
「アヤ、明日短大に行ったら気をつけるんだぞ」
「う、うん」
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「来ちゃいました」
玄関を開けると、百合恵さんと舞衣さんだった。
まあ、追跡用ビーコンの映像を見ていたので、来るのは分かっていたのだが……
「テレビ見てましたよ。
大変だったみたいですね」
「私の家の前にレポーターが待ち構えているみたいで……
申し訳ありませんけど、泊めてもらえませんか?」
「いいですよ」
「ありがとうございます」「すまないね」
「舞衣さんも泊まっていくんですか?」
「うん、しばらく百合恵くんの側にいたいんだ。
いいかい?」
「ええ、かまいませんよ」
結局、俺の家に全員集合してしまった。
レポーターも、さっさと諦めてくれるといいんだけどね~
ご感想お待ちしております。




