240.眠れる黒い美女?
ヒルダ飴のおかげで魔族の快進撃が開始された。
当のヒルダは、もう今にも眠ってしまいそうな状態で必死に飴を作り続けている。
俺には、そんなヒルダを応援することくらいしか出来ないのが悲しい。
しばらくすると、最前戦から歓声が上がった。
何があったんだ?
兵士たちが向いている方を見てみると―
魔王と先代魔王がいた。
一体いままで何処に行ってたんだ?
そして、先代魔王が手を上にあげると……
その手には、悪魔族の生首がぶら下がっていた!
「「うおおおおーーーー!!!」」
そこでまた、兵士たちの大歓声が上がる。
どうやら、魔王と先代魔王で悪魔族の首を取りに特攻していたみたいだ。
そして二人は、20個もの生首を持ち帰ってきた。
それを目撃した兵士たちの士気が一気に上昇し、
瞬く間に魔物の大群を殲滅していった。
----------
戦闘が終了し、
魔王と先代魔王の所に、全ての兵士たちが集合していた。
ヒルダはかなり疲れていて、俺が手を引いてあげていた。
そこへ、舞衣さんが兵士たちに促されて先代魔王の前に進み出た。
先代魔王が何をするのかと思ったら……
先代魔王のやつ、舞衣さんを持ち上げて肩車しやがった。
そして、舞衣さんの活躍を称えている。
「「うおーーー!!!」」
兵士たちも、大きな声援で舞衣さんをたたえる。
当の舞衣さんは、ものすごく恥ずかしそうだ。
魔王は、アヤとブンミーさんと握手をして、ねぎらっている。
さすがのアヤも、相手が魔王だと若干おとなし目だ。
「あ、ヒルダいた!」
カサンドラさんは、俺たちを見つけると、
近づいてきてヒルダに抱きついた。
「ヒルダ、よく頑張った!
私の誇り!」
カサンドラさんは、ヒルダに抱きついたまま頭を撫でまくっている。
ヒルダもカサンドラさんに褒められまくって、嬉しそうに照れまくっていた。
その内ヒルダは、カサンドラさんの腕の中で眠ってしまった。
カサンドラさんは、ヒルダを抱きかかえながら頬ずりしていた。
----------
「セイジ殿、これから祝勝会をやるので参加していってくれ」
カサンドラさんを迎えに来たブンミーさんが、そう誘ってくれたのだが……
「悪いけど、人族の街に仲間を残してきている。
悪魔族に捕まってた仲間もいるので、帰らないと」
「そうか、人族の街の方も悪魔族に襲われたのだったな……
分かった、また遊びに来てくれ、その時改めて酒でも飲もう」
「ええ」
俺たちは、アヤと舞衣さんを見つけ出し、
寝てしまったヒルダをカサンドラさんから受け取って、
王都へ【瞬間移動】した。
~~~~~~~~~~
俺たちは、エレナの部屋に戻ってきた。
「百合恵くん!」
舞衣さんが駆け寄り、寝ている百合恵さんの顔を心配そうに覗き込んでいる。
「エレナ、百合恵さんの様子はどうだ?」
「あれから寝たままです」
「そうか、でも、そのほうが都合がいいかも」
「兄ちゃん、それどういう意味?」
アヤは少し怒り気味に聞いてきた。
「百合恵さんを寝ている内に、日本に返そう。
そうすれば、ここでの出来事を夢だと思ってくれるかもしれない」
「ここでの事を秘密にするの?」
「百合恵さんのことは、警察沙汰になっているし、
夢だと思ってもらったほうが、波風が立たなくていいだろ?」
「そうか~ それもそうかも」
「エレナと舞衣さんも、それでいいかい?」
エレナと舞衣さんも、頷いてくれた。
「よし、それではさっそく……
と、その前に、リルラに挨拶だけでもしてくるか」
「え~ なんでリルラなの?
リルラなんてほっとけばいいじゃん~」
ほんとアヤはリルラと仲が悪いな。
「助けに行くとか約束しておいて、黙って帰るわけにも行かないだろ?」
「むー」
なにが「むー」だ!
俺は、ヒルダをアヤに預けて、リルラの所へ飛んだ。
~~~~~~~~~~
「リルラ、街の様子はどうだ?」
まあ、追跡用ビーコンの映像で、もう魔物を撃退し終わっているのは知ってるんだけどね。
「セイジ! 遅いではないか!
もう魔物は撃退し終えたぞ」
「悪魔族は?」
「……残念ながら取り逃がした」
「まあ、街もリルラも無事だったから、良しとするか」
「セ、セイジ……」
なぜか、リルラがフラフラと近寄ってくる。
どうかしたのかな?
「悪いけど、俺たちはもう帰るから、後のことはよろしく頼むな」
「え!? もう帰ってしまうのか?」
「ああ、悪魔族に捕まっていた仲間を取り戻したから、早く家に返してやりたいんだ」
「そ、そうか……」
「それじゃあ、またな」
「また来てくれよな」
「ああ」
寂しそうな顔のリルラと別れ、俺は王都に戻った。
~~~~~~~~~~
「兄ちゃん、随分早かったね」
「まあ、挨拶しただけだしね」
「随分早かったね!」
アヤ、なぜもう一回言った!?
「さて、日本に帰るか!」
俺が、そう言った直後……
「ふぁ~~~」
百合恵さんが、あくびをした!
そして……
「あれ? みんなどうしたの?
あれえ? ここどこ??」
ヤバイ、百合恵さんが目を覚ましちゃった!!
「百合恵くん、良かった! 気がついたんだね!!」
舞衣さんが百合恵さんに抱きつく。
「部長、どうしたんですか!?」
俺は、おもむろに……
「【睡眠】!!」
俺に【睡眠】魔法をかけられて百合恵さんは、再び眠りについた。
「お兄さん、何をするんだ!」
舞衣さんが怒った。
「舞衣さん、すまない……
でも、もうちょっと我慢してくれ」
「そ、そうか……
眠ったまま返すんだった。
ボクとしたことが、取り乱した。こちらこそすまない」
ごめん、百合恵さん、もうちょっと我慢してくれ。
俺が百合恵さんを、アヤが寝てしまったヒルダを、それぞれお姫様抱っこして、
俺たちは、日本に帰還した。
ご感想お待ちしております。




