238.ニッポ防衛戦
各街の様子を見てみると―
イケブの街と、リルラのいるシンジュの街は、敵が少なく、かなり押し気味だ。
舞衣さんのいる魔族の街も、危なげない戦いをしていて大丈夫そうだ。
アヤとヒルダのいるニッポの街は、若干押され気味になっている。
先ずはここから加勢するか。
他の街も、一応確認したが、新たな敵は確認できていない。
悪魔族も、もう駒を出し尽くしたと見える。
「ライルゲバルト、その悪魔族の女の事は頼んだぞ。
後で拷問して事情を吐かせるから、殺したりするなよ」
「わかった」
俺は、エレナと百合恵さんの所に戻り―
「エレナ、しばらく百合恵さんを見ていてくれ、
アヤとヒルダの手助けに行ってくる」
「分かりました、お任せ下さい」
ここは、エレナに任せておけば大丈夫だな。
俺は、【瞬間移動】でニッポの街へ飛んだ。
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ニッポの街につくと、すでに日が沈み、暗くなってきていた。
「アヤ、ヒルダ、大丈夫か?」
「あ、兄ちゃんが来た!
これで勝つる!!」
「セイジお兄ちゃん、もう飴がないです」
あれだけ渡していた飴が、もうなくなっているとは……
けっこう大変な戦いだったみたいだな。
「百合恵さんが見つかったぞ。
いまエレナが介抱している」
「本当!?
介抱って何処か怪我しているの?」
「怪我はしていない、眠ってるだけだ」
「そうか、良かった~」
「兄ちゃん、ヒルダちゃんの事は任せた。
私は、ちょっくら行ってくる」
「トイレか?」
「違うよ!!
悪魔族たちをやっつけてくるの!」
「ちょっと待て」
「なによ!
止める気?」
「違う。
あいつらは、百合恵さんに対して酷いことをした。
遠慮は要らない、懲らしめてやりなさい」
俺は、アヤに【クイック】の魔法をかけてやった。
「任された!」
アヤは、餌を出された時の犬のように、
ものすごい勢いで飛び出していった。
そして、遠くで魔物や悪魔族が何体も吹き飛ぶのが目撃された。
そこへロンドが、疲れた様子で話しかけてきた。
「セイジ、戻ってきていたのか。
今、何かがすっ飛んでいったが、アレは何だったんだ?」
「アヤだよ」
「アヤさん?
はは、また冗談を」
どうやらロンドは、アヤのことをちゃんと理解していないようだ。
「戦況はどうだ?」
「敵の数が多くて苦戦している」
やはりそうか、ここに加勢に来て正解だったな。
そんな話をしていると、一人の兵士が大急ぎで駆け寄ってきた。
「大変です! 悪魔族が街に侵入しました!」
「なに!?」
俺とロンドは、兵士に案内され、急いで現場に急行した。
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現場には、たくさんの兵士が何かを取り囲んでいた。
円の中心を見てみると―
悪魔族が一人……
笑い転げていた……
「なんだこれは!?」
「分かりません、発見した時にはすでにこのような状況になっておりました」
なるほど、そういうことか!
「これはエレナの魔法の効果だな」
「セイジ、それはどういうことだ?」
「エレナが、この街を覆う魔法をかけただろ?
アレの効果で、侵入してきた敵には、くすぐり攻撃がおそいかかるんだ」
「そうだったのか!
エレナ様のおかげということか!
なんと素晴らしい!!」
ロンドは跪き、感謝の祈りを捧げた。
完全に『信者』だな……
そこにまた別の兵士が、息を切らせてやってきた。
「ロンド様、敵の連携が崩れています」
「なんだと!?」
敵の方を見てみると、
遠くで敵が、打ち上げ花火のように、ドッカンドッカン打ち上がっている。
アヤの仕業だな。
しばらくすると、その『汚え打ち上げ花火』は―
円を描くように、一定の場所を回り始めた。
そして―
敵のど真ん中に、巨大な竜巻が出来上がっていた。
巨大竜巻に巻き上げられた魔物や悪魔族たちは、四方八方に飛び散り、雨のように降ってきた。
しばらくして、竜巻が消えた後には―
動かなくなった魔物や悪魔族の山と、
その中心に仁王立ちするアヤの姿があった。
俺は、アヤのもとに駆け寄った。
「お疲れ」
「ひゃー! 暴れた暴れた!」
アヤは肩で息をしながらニッコリ微笑んだ。
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巨大竜巻が決め手となり、
魔物と悪魔族は、ちりぢりに逃げ惑っていた。
「突撃ーー!!!」
ロンドの合図とともに、兵士たちが逃げ惑う魔物の群れに突撃を開始した。
「「おおーー!!!」」
兵士たちが魔物を蹴散らし進む。
これでもう大丈夫だろう。
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しばらくして、戦いは完全勝利に終わった。
「セイジ、アヤさん…、ヒルダさん、ご協力感謝します」
ロンドはそう言って、アヤに握手を求めたが、
アヤは俺の後ろに隠れてしまった。
ロンドも大変そうだな。
「ヒルダ、強くなったね…」
ミーシャさんが、ヒルダをナデナデしまくっている。
「ミーシャさんのお役に立てて良かったです」
ヒルダも、撫でられて嬉しそうだ。
さて、他の街の様子はどうだろう。
イケブとシンジュは、細かい戦いがまだ続いているが、だいぶ余裕がありそう。
魔族の街は……
まだ激しい戦いが続いている。
「アヤ、ヒルダ、舞衣さんがまだ戦ってる。
助けに行くぞ」
「「はい!」」
【瞬間移動】をしようと、二人が集まってきた所で、
ロンドとミーシャさんもやって来た。
「セイジ、もう行ってしまうのか?」
「ああ、仲間がまだ戦っているんだ」
「そうか…… あまり無理をするなよ」
「ああ」
「アヤさんも、また来てくださいね」
「……」
アヤ、なんか言ってやれよ。
ミーシャさんは、ヒルダの手をとって、別れを惜しんでいる。
「ヒルダ、また遊びに来てね」
「はい」
俺たちは、ロンドとミーシャさんに見送られながら、
魔族の街へ飛んだ。
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