230.新興宗教の恐怖
アヤに蹴られた顔面を、エレナに優しく治してもらいながら―
俺は、みんなにガドルとハルバの話をした。
「兄ちゃん、それじゃあ、
悪魔族は竜人族も狙ってるってこと?」
「うーむ、竜人族は見ただけじゃ人族と見分けつかないから、間違われたのかもしれない」
「だとしても、狙われることには変わりないね」
「うんそうだな。
昼に話を聞きに行くから、その時に注意してくるよ」
「私も行きたい!」
「竜人族の村の場所は秘密らしいから、許可なしにほかの人を連れていくことは出来ないよ。
それも昼に行った時に聞いてみる」
「絶対だからね!」
アヤはアトラクションか何かと勘違いしてるのか?
「セイジ様、杖を取りに行きませんか?」
「杖? ああ、ビュート様にプレゼントする杖を作ってたんだっけ」
俺たちは、出かけることをロンドに言いに行った。
「もう行ってしまうのか?」
「ああ、色々と忙しいんだ」
「そ、そうか……」
しかしロンドは、アヤの方ばかり見ている。
なんだかな~
「アヤさん、しばしのお別れです」
そういうとロンドは、アヤの手の甲にキスをした。
「なにするのよ!」
バチンッ!
アヤのやつ、ロンドを叩きやがった!
叩かれたロンドは、目が点になっている。
「アヤ、何故叩く!」
「だって、兄ちゃん、こいついきなりキスしてきたんだよ!」
「ただの挨拶だろ」
「挨拶でも、嫌なものは嫌なの!」
「すまん、ロンド。
俺たちの国では、手の甲にキスをする習慣が無いんだ。
バカな妹を許してやってくれ」
「なんで兄ちゃんが謝ってるの!」
「そうか、習慣が違うのか……
それはすまなかった」
ロンド、いいやつだな。
だからといってアヤはやらんけどな!
~~~~~~~~~~
俺たちは、ロンドの所を後にして、スガの武器屋にやって来た。
「こんにちは~」
「おう、お前か。
杖は出来てるよ」
出来上がった杖は、かなりの出来だった
┌─<鑑定>────
│【回復の杖+5】
│回復の魔法を使用した時
│使用MP半減、効果倍増の効果
│魔法レベルが高いほど効果大
│レア度:★★★★
└─────────
「どうだい、いい出来だろう?
私が今まで作った物の中で、最高傑作になったよ」
「ええ、いい出来です」
杖を受け取ったエレナも、うっとりしている。
代金を支払い、
俺たちは、エビスの街に向かった。
~~~~~~~~~~
「これは、エレナ姫様。ようこそいらっしゃいました」
集会所に入ると、ビュート様が出迎えてくれた。
「街もだいぶ復興が進んでいるみたいですね」
「エレナ姫様の加護のお陰です」
『回復精霊の加護』なのに、『エレナ姫様の加護』と呼ばれちゃってるよ。
そんな話をしていると―
「あ、エレナ姫様!」
一人の子供が、そう叫んだ。
「ホントだ! エレナ姫さまだ!!」
なんか…街の人達が……
どんどん集まってくる……
「「エレナ姫様!!」」
集まった街の人達は、エレナを拝み始めた。
なんだこれは……
拝まれているエレナも戸惑っている。
まるで、神様あつかいだな。
ここまで『エレナ教』が浸透してしまっているとは……
「エレナ、また『回復精霊の加護』を使ってあげたらいいんじゃないか?」
「は、はい、やってみます」
エレナは、【アスクレピオスの杖】を掲げて魔力を集中させた。
町の人々は、うっとりとした目でエレナを見つめている。
次の瞬間、【アスクレピオスの杖】が光り、その光は街全体に広がっていった。
町の人々は、目の当たりにした素晴らしい光景に心奪われ。呆然としている……
そして、次々にその場にひれ伏し、
さっきより物凄い勢いで、エレナを拝み始めた。
「セ、セイジ様、どうしましょう……」
「仕方ない、さっさと杖を渡して帰ろう」
「そ、そうですね」
エレナは、俺から【回復の杖+5】を受け取り、
ビュート様の前に進み出る。
「ビュート様、【アスクレピオスの杖】の代わりに、この杖を使って下さい」
「こ、これは?」
「魔石の部分は、私とセイジ様で作ったんですよ」
「エレナ姫様が作ってくださった杖!?」
ビュート様が、思わずそう叫んでしまったことで、
周りの人々がざわつき始める。
「「エレナ様が!?」」
「「エレナ様の杖!?」」
皆さん、杖の名前は【回復の杖+5】ですよ~
【エレナ様の杖】じゃないですよ~
ダメだ、もう【エレナ様の杖】って事になってしまっている……
エレナは、人々が見守る中、
ビュート様に【エレナ様の杖】(正式名称【回復の杖+5】)を手渡した。
ビュート様は、エレナから受け取った杖を高々と掲げた。
「「うおーーー!!」」
その途端、人々からものすごい歓声が上がり、集会所が激しく震えた。
「セイジ様、どうしましょう」
あまりの盛り上がり具合に、エレナは少し涙目になってしまっている。
「仕方ない、みんな逃げるぞ!」
みんなを集め、エレナに霧を出してもらって姿を消し、
そのまま【瞬間移動】で、その場を逃げ出した。
エレナ教、恐るべし。
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