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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
悪魔族編2
237/438

227.エレナに抱きつくおっさん

「はー、疲れた~」

「セイジ様、アヤさん、お帰りなさい」


 俺たちは、夜遅くなってようやく家に帰ってきた。



 結局、百合恵さんは部屋にいなかった。

 しかし、駆けつけてくれた警察官たちは、十分異常さを理解したらしく、徹底的な調査が行われた。


 俺たちも詳しい事情を聞かれ、それで帰りがこんなに遅くなってしまったというわけだ。



 なにせ、完全なる密室状態である。

 警察は、血眼(ちまなこ)になって百合恵さんの家の捜査を行った……


 しかし、大量のおもちゃやDVDなどが発見され、

 警察の人たちは、なんとも言えない微妙な表情を浮かべていた。

 おもちゃに付着した体液などからDNA鑑定が行われるのだろうか?


----------


 ヒルダは頑張って俺たちを待ってくれていたのだが、遅くなりすぎたために先に寝かさたそうだ。



 そして俺たち3人は、遅い夕食を食べていた。


「さて、アヤ、エレナ。

 この状況、どう思う?」


「誰かが魔法で連れ去ったのではないでしょうか?」

「エレナ、日本には俺たち以外に魔法を使える人なんていないよ」

「そうでした……」



「あ、私、分かっちゃったんですけど!」

「アヤ、何か分かったのか?」


「犯人は、この中にいる!!」


 アヤは、そう言いつつ俺のことを指差している。



「……

 まあ、聞いてやるから、言ってみろ」



「エレナちゃんの言った『誰かが魔法で連れ去った』、

 そして、兄ちゃんの言った『日本には俺たち以外に魔法を使える人なんていない』、

 そして、兄ちゃんは【瞬間移動】の魔法が使える……

 これらから導き出せる答えは……

 犯人は、兄ちゃんだ!!」


ポカッ!


「なんで、殴るの!?」

「真面目な話をしているんだから、ふざけるなよ」


「ふざけてないよ」


 ふざけてなかったのか、

 余計たちが悪いな……


 アヤ、お前は疲れてるんだ。

 百合恵さんを心配するあまり、心労がたまってしまった……

 だからこんなバカな事を言い出すんだ。

 そうに違いない。


「名推理だと思ったんだけどな~」


 俺も、疲れがたまってきてしまった。



「アヤの事はほっておいて」

「なぬ!?」


「俺に1つ、心あたりがある」

「ほんとですか!?」


「人を移動させることの出来る魔法を持っている奴は、俺以外にもう一人知っている」

「そんな奴いるの?」


「それは……

 俺をドレアドス王国に召喚した奴だ」

「あ!」


 そう言えば、俺が召喚された時、エレナもいたんだよな。



「エレナ、俺を召喚した、あの魔法使いの事をなにか知ってるか?」

「いえ、詳しいことはお父様が教えてくれなかったんです」


「うーむ、もう夜遅いけど、王様の所へ行ってみるか」

「今から行くの?」

「0時過ぎたら戻ってこれるし、早いほうがいいだろう」


~~~~~~~~~~


 俺とエレナは、2人で異世界へ飛んだ。

 ヒルダが寝ているので、アヤは留守番だ。


「真っ暗だな」


 謁見の間は、明かりが何もなく真っ暗だった。



「もう遅いですし、みなさん寝ていると思います」


「エレナ、王様の寝室はどこだか知ってるか?」

「はい、こちらです」


 俺たちは、【白熱電球】魔法で周囲を照らしながら王様の寝室へ向かった。


----------


 途中、見回りの兵士たちが何人かいたが、【睡眠】の魔法で眠らせて、どんどん進んだ。


「ここです」


 見張りの兵士を眠らせて、俺たちは王様の寝室に忍び込んだ。



「お父様、ぐっすり寝てます」

「魔法で起こすか」


 実は、【光の魔法】を習得した時、使えそうな魔法を幾つか覚えたのだ。

 その一つが【起床】。

 寝ている者を起こす魔法だ。



「【起床】!」


「……ん? なんだ? 誰かおるのか?」


 魔法を使用すると、王様はすぐに目を覚ました。


「お父様、お久しぶりです」

「エ、エレナ! わしは夢を見ているのか!?」


 王様は、エレナに抱きつきやがった。


「お、お父様!」



「王様、娘とイチャイチャするのは、そこまでにしてもらおうか」

「お、お前は! セイジ!

 おのれ、わしを暗殺しに来たのか!?」


「違うに決まってんだろ。

 急用が出来たから会いに来たんだよ」

「こんな夜中に何事だ?」


「俺に隠れて勇者召喚をやったりしてないだろうな?」

「そんなことをするわけ無いだろ。

 お前のような者を召喚してしまうかもしれない、あんな危険なものは、もうこりごりだ」


 酷いいわれようだ。



「じゃあ、俺を召喚した魔法使いは、今何処にいる?」

「ん?

 ……『ヴァルニール』の事か?」


 アイツの名前は『ヴァルニール』と言うのか。


「アイツは、お前が(さら)ったのではなかったのか?」

「なぜそうなる」


「お前がエレナを誘拐しやがった時に、ヴァルニールもいなくなったから、

 てっきりお前が(さら)ったのかと思っていたのだが」


「そう思ったんだったら、俺とあった時に聞けばよかっただろう」


「アイツの口車に乗って勇者召喚などしたから、こんな事態になったのだ。

 別にわしがわざわざ探してやる義理など無い」


 冷たいやつだな。



「アイツの行方を知らないなら、用はない。

 エレナ、そろそろ0時を過ぎるから、帰るぞ」

「はい」


「ま、待ってくれ。

 エレナ、行ってしまうのか?」

「はい、私はセイジ様の所でもっと学びたいことがあります。

 あ、お父様。

 お願いがあるのですが」


「なんだエレナ、なんでも言ってくれ」


 こいつ、エレナには甘々だな。

 まあ、俺もそうだけど。



「私のお友達が、勇者召喚と同じような形で姿を消してしまいました。

 そのヴァルニールさんが、何かを知っているかもしれないのです。

 お父様のお力で、ヴァルニールさんを探してくれませんか?」


「そうか、分かった。探しておく」

「ありがとうございます」


「それじゃあ、帰るぞ」

「はい」



「エ、エレナ~」


 帰ろうとすると、王様がエレナに抱きついて離れない。


「おい、離れろよ」

「いやじゃ!」

「お、お父様」


 気持ちは分からんでもないが

 気持ち悪いぞ。


「【睡眠】!」


 俺は【睡眠】の魔法を使って

 再び王様を寝かしつけ、日本に帰還した。


ご感想お待ちしております。

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