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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
悪魔族編2
236/438

226.大金と針金

 翌朝、百合恵さんからの連絡はまだ無いそうで、かなり心配ではあるものの、

 後のことはアヤに任せて、俺は会社に出勤した。



「丸山君、おはよう」


 会社の入口で、社長と部長が俺のことを出迎えてくれた。

 これはいったい何事だよ!



 俺は、他の人に変な目で見られながら、

 社長と部長に取り押さえられて、密室へと連れ込まれてしまった。


----------


「一体何ごとですか?」


「いやー、待ってたよ、丸山君」


 何やら、社長と部長の目が怖い。


 社長は、何やら重そうなものを俺の前に置いた。


「これは何ですか?」

「ジュラルミンケースだ」

「それは、見れば分かります」


「まあ、何も言わずに受け取ってくれ」

「は、はあ」


 激しく嫌な予感がする……

 ジュラルミンケース、そして社長が持った時のあの重そうな感じ。


 まあ、かと言って断る選択肢は無いんだけどね。



 横から部長も一言付け加えてくる。


「私からの分も入っているからね。

 ちなみに社長の分と私の分の比率は秘密だ」


 そうですか、まあいいけど。



 その日一日、俺はジュラルミンケースを持ったまま仕事をするは目になった。


~~~~~~~~~~


 ジュラルミンケースが気がかりで、気が休まることがなかったが、

 何とかその日の仕事を終え、家に帰り着いた時は、すっかりヘトヘトになっていた。


「ただいま」

「「お帰りなさい!」」


 エレナとヒルダが出迎えてくれたので、疲れは一瞬の内に吹き飛んだ。


 さて、中身を確認してみるかな~

 怖くて会社では確認してなかったんだよね。



「お札がたくさん入ってますね」

「そうだね……」


 ジュラルミンケースの中には、100万円の札束が、100束入っていた……


 俺の額に嫌な汗が吹き出していた。


 これ、どうしよう……



 よく見ると、100束の中で1束だけ違う銀行の帯封がしてあった。

 なるほど99対1か……



 俺は、それを、そっとインベントリにしまった。


----------


 心を落ち着かせるため、エレナに入れてもらったコーヒーを飲んでいると―


 アヤから電話がかかってきた。



『もしもし、兄ちゃん?』

『アヤどうした、百合恵さんは見つかったのか?』


『ううん、見つからない。

 短大にも来てないし、知り合いに聞きまくっても誰もしらないし……

 だから、これから部長と一緒に百合恵さんの家に行ってくる』


『そうか、何かあったらすぐに電話しろよ。

 俺の手伝いが必要だったらすぐに行くから』

『うん、わかった、じゃあまた後で電話する』



「百合恵さん見つからないんですか?」

「ああ、一体どうしちゃったんだろうな~」


----------


 しばらくして、またアヤから電話がかかってきた。


『アヤどうした?』

『いま百合恵さんのマンションンに着いたんだけど‥‥

 やっぱり様子がおかしい。

 兄ちゃんこっち来て』

『分かった、すぐ行く』


「エレナ、ヒルダ、ちょっと百合恵さんの家に行ってくるから、留守番よろしくな」

「はい、わかりました」


 エレナもヒルダも、心配そうな顔をしていた。


~~~~~~~~~~


「おまたせ」

「兄ちゃん、遅いよ」


 電話を切ってから1分も経ってないんだが?



 それはほっておいて。


「ここが百合恵さんのマンションか?」

「ああ、間違いない」



 確かに様子がおかしい。


 まず、水の流れる音がずっと聞こえている。

 おそらく水道の水が出しっぱなしなのだろう。


 次に、ドアの上に備え付けられている電気メーターが、ぐるぐる回っている。

 おそらく、電気が付けっぱなしなのだろう。


 にも関わらず、呼び鈴を押しても、ドアを叩いても、いっこうに反応が無いのだ。



「ね、様子がおかしいでしょ?」

「ああ、そうだな」


「お兄さんは、ワープで部屋の中に入れないのかい?」

「行ったことのある場所にしか行けないんだ」


「でも、ここにはワープして来たよね?」

「それは、アヤにビーコンが付けてあるから、それを目印に飛んできたんだ」

「なるほど……」



ピコン!


「いいことを思いついた」

「なに?」


 俺は、インベントリから針金を取り出した。


「あ、分かった、それで鍵を開けるんだね」

「違うよアヤ、まあ見てな」


 俺は、針金の先に【追跡用ビーコン】を取り付け、

 ドアの郵便受けから、針金を差し込んだ。


 そして、【追跡用ビーコン】の映像を、アヤと舞衣さんにも見えるように表示してやる。


「あ、中が見える」

「これ凄いね、まるで内視鏡だ」


 そのまま、【土の魔法】を使って針金を操り、奥へと進んでいく。


 郵便受けの小窓から奥へ行くと、廊下が見えてきた。


「廊下の電気がつきっぱなしだ」


 やはり、普通じゃないな。



 さらに進むと、右にトイレとバスルームがある。


 針金をコントロールしてトイレのドアを開けてみたが、中に百合恵さんは居なかった。


 おい、アヤ、なんでそんな目で俺を見る!

 中で倒れたりしてたら大変だろ?



 次に、バスルームを見てみると、

 お湯が出しっぱなしになっていて、湯船からお湯が溢れ続けていた。


「兄ちゃん、蛇口止めないの?」

「そんなの後だ」



 バスルームから出て廊下を進むと、台所があった。

 台所では、大きなケーキが作りかけで置いてあった。


 どうやら、このケーキを作っている最中に何かがあったらしい。



 台所を出て奥へ進むと、リビングだった。

 リビングには、舞衣さんを出迎える為の料理が、テーブルいっぱいに並んでいた。

 しかし、その料理は…全部冷めてしまっていた。


「まるで、メアリー・セレスト号だな……」



 リビングには、もう一つ扉があり、そちらは寝室だった。


 ベッドには、枕が2つ並べて置いてあった……


 激しく突っ込みたいのだが、

 肝心の百合恵さんの姿は何処にもない。



「ダメだ、百合恵さんは居ないみたいだ

 やはり警察に連絡したほうが良さそうだ」

「そうだね」


 とりあえず、針金を回収しておこう。



「あ、兄ちゃんちょっと待って!」


 針金回収中にアヤが急に大声を上げた。


「どうした?」


「見て、これ」


 アヤは、追跡用ビーコンの映像の1箇所を指差した。


 針金はもうすぐ回収が終わる。

 そして、映像には、玄関のドアが表示されているだけ。

 アヤが指差したのは……


 ドアチェーンだった。


「ドアチェーンがどうしたんだ?」

「だって、ドアチェーンがかかってるのに、中に人が居ないなんて、おかしいでしょ?」


 確かにそうだ、ドアチェーンがかかってるとドアからは出られない。

 外からドアチェーンはかけられない。


 常識的に考えれば、百合恵さんはまだ中に居ないとおかしい。


 一体どうなってるんだ?



 針金の回収を終え、

 舞衣さんが、警察へ通報の電話を入れた。


ご感想お待ちしております。

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