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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
悪魔族編2
235/438

225.コンプリート

「では、俺とこの子が参拝します」

「ん? 話を聞いていなかったのかね?

 火のマナ結晶に参拝できるのは、魔法で火を出せる者だけだぞ?」


「ですから、俺とこの子は魔法で火が出せます」


「ほう、そこまで言うならここでやってみろ」


 『この子』と言うのは、もちろん―

 ヒルダ……

 ではなく、舞衣さんだ。


 ヒルダはもう火のマナ結晶を参拝済みだからね。



「では、舞衣さん、やって見せてやれ」

「おう」


 舞衣さんは、警備兵の前で構えをとった。


「行くぞ!

 【爆熱正拳突き】!!」


 激しい音とともに、熱と光と爆風が吹き荒れる。


「どうです? いちおう、火の魔法ですよ」

「……お、おう……

 そうだな……

 通ってよし!」



「では、続いて俺がやります」


 俺が魔法を使おうとしていると―

 アヤが、近寄ってきた。


「兄ちゃん、本当に火の魔法つかえるの?」

「火の魔法じゃないだろ?

 魔法で火を出すんだ」


「それって同じじゃん」

「それが違うんだな~

 まあ、見てな」


 俺は、アヤを下がらせ、魔法を発動させた。



「ん?

 それは、【水の魔法】ではないか!」


 俺の目の前には、【水の魔法】で発生させた水の球が浮かんでいた。

 警備兵は呆れ顔だ。



「まだ続きがあるんですよ」


 俺は、左手をピースの形に指を立てて、

 水の球を、2点責めの要領で下からズブズブと指を突き刺した。


 そして水の球は、2点責めに耐えかねたかのように、ブクブクと泡立ち始めた。


 発生した泡は、左右に分かれて集まり、2つの塊となっていった。


 そして2つの気体の塊から、それぞれ管が伸び外へと繋がる。

 そこから外へシューと音を立てて気体が吹き出し、2つの気体が混ざり合っていた。


 俺は、その混ざり合った気体に、最小の【電撃】を発生させ、着火した。


ゴー!


 ガスバーナーの様な真っ直ぐで青い炎が吹き出ていた。


「な、なんだこれは!?

 火の魔法? いや、水の魔法か?」

「まあ、いいじゃないですか、

 魔法で、火を、出しましたよ?」

「た、確かに……」



「セイジお兄ちゃん、これどうやってるんですか?」


 よしよし、ヒルダには今晩ゆーっくり、『2点責め』を教えてやろうじゃないか。



 種明かしをすると、これは水の電気分解だ。

 2つの気体は、水素と酸素。

 それを混ぜあわせた気体に火をつけたというだけだ。


「では、二人は参拝を許可する」


 俺と舞衣さんは、警備兵に通してもらい、火のマナ結晶に参拝した。



----------


『【火の魔法】を取得しました。

 【火の魔法】がレベル4になりました。』


 参拝を終えると、いきなり【火の魔法】がレベル4になった!


 確認してみると、ヒルダが覚えていた【着火】【加熱】【炎コントロール】以外に、【爆発】と【可燃ガス生成】の魔法を習得していた。



 先ずは、【爆発】。

 『幻の炎をともなった爆発を発生させる』となってる。

 幻の炎なのか……

 もしかして、舞衣さんの爆熱正拳突きで発生する炎も、幻の炎なのかもしれないな。



 そして、【可燃ガス生成】。

 『空気の成分を変化させ、可燃ガスにする』だってさ。

 これはいい!

 【油の魔石】が無くても炎を発生させられる。



 ちなみに恥ずかしがる舞衣さんを【鑑定】してみたところ、レベルに変化はなく、【爆発】までの魔法を習得していた。


~~~~~~~~~~


 続いて、『光のマナ結晶』を参拝しに行った。

 こちらは、特に条件などはなく、一人10ゴールドで参拝可能だそうだ。



 ここで【光の魔法】を習得すれば……

 ついに、魔法コンプリートだ!



 長く苦しい旅だった……

 それもここで終りを迎える。



「兄ちゃん、何やってるの? 早く参拝しちゃおうよ」


 くそう、せっかくセンチメンタルな気分に浸っていたのに。



 光のマナ結晶参拝結果は~


 アヤと舞衣さんがレベル2。

 ヒルダがレベル3。

 俺とエレナは…… レベル4だった!


 なんか全体的にレベルが高いな。



 しかし、とうとう魔法をコンプリートしてしまった。


 コンプリート記念に何かイベントとか起きるのかと期待したが、そんなことはなかった。



「ねえ、兄ちゃん見て見て~」


 アヤは、【光の魔法】を使って空中に光の文字を書いていた。

 花火ではしゃぐ子供かよ!



「さて、一通り魔法の習得も終わったし、

 ヒルダ、この街出身なら、誰か会いたい人とか居るんじゃないのか?」

「いえ、特には……」


 ヒルダの表情が暗くなってしまった。

 嫌なことでも思い出させてしまったのかな?


 ヒルダ自身が話す気がないなら、そっとしておくしか無いか。



「それじゃあ、帰るか」

「「はーい」」


 今週はけっきょく、刀の試練はクリア出来なかったな。

 来週頑張るとしよう。


~~~~~~~~~~


 日本に帰宅すると、

 舞衣さんは、百合恵さんに電話をかけていた。


 そう言えば、泊まりに行く約束をしてたんだっけ。

 泊まりに行って本当に大丈夫なんだろうか?



「おかしいな」


 百合恵さんに電話をかけていたはずの舞衣さんが、首をかしげている。


「舞衣さん、どうかしたんですか?」


「百合恵くんが電話に出ない」


 一人で変なことでもシてるのかな?



 舞衣さんは、しばらく百合恵さんに電話をかけていたが、いっこうに出る気配はなかった。


「どうしたんだろう?」


「百合恵さんの家に直接行ってみます?」

「いや、止めておくよ。

 連絡も無しにいきなり行くのも失礼だしね。

 いったん家に帰って連絡を待つよ」


「そうですか、じゃあ、送っていきますね」

「ありがとう」



 俺は、舞衣さんを家まで送っていった。



 百合恵さん、一体どうしたんだろう?


 ……


ご感想お待ちしております。

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