223.支援物資
やっと落ち着いてきて、
なぜエレナの回復魔法のレベルが7なのかを、ゆっくり考えてみた。
精霊との契約で素のレベルが6にあがり、
さらに、杖の効果で+1されて、合計で7になったのと思われる。
しかし、『7』とは……
まあそれは、おいといて―
ビュート様に、あのことをお願いしてみよう。
「ビュート様、ついでで申し訳ありませんけど、
俺たちも回復のマナ結晶を参拝させてもらってもいいですか?」
お金は大丈夫だし、あれだけ働いたんだから安くしてくれるよね?
「本当でしたら、色々と条件があるのですが……
あなた達にそのような事を言うわけにはいきません。
全員、参拝していって下さい」
タダだって、ラッキー!
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参拝の結果は……
アヤと舞衣さんがレベル1。
ヒルダがレベル2。
俺がレベル3になった。
まあ、エレナのレベル7には遠くおよばないけど、
比較するだけ野暮ってもんだよな。
そんなこんなで、回復魔法をゲットした喜びをかみしめていると―
胸ポケットの双子魔石が、トントンと振動した。
リルラからの合図だ。
「シンジュの街で支援物資の準備が出来たらしい。
取りに行ってくるから、みんなは待っててくれ」
「「はい」」「はーい」「おう」
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「リルラ、おまたせ」
「セイジ……
合図をしたら、すぐに来てくれるのだな。
なんだか、これ楽しいな」
「おい、リルラ、変なことに使うなよ?」
「わ、分かっている……」
「それで、支援物資は何処にあるんだ?」
「隣の部屋に用意してある」
隣の部屋に行ってみると―
物資が山のように積まれていた。
「よくこれだけ集めたな」
「商人に依頼して集めてもらった」
「これで、エビスの街の人たちも助かるよ」
「そうか」
リルラは、短くそう言っただけだったが、
顔は嬉しそうだった。
試合で負けた腹いせにアヤを亡き者にしようとしてた奴が、ずいぶん成長したものだ。
俺は、用意された物資を全てインベントリにしまった。
「それじゃあ、エビスの街へ届けに行ってくる」
「あ、ちょっと待ってくれ。
これは、物資の納品書だ。
受け取りの時に確認して、サインをもらってくれ」
宅配便かよ!
「サインをもらった後、どうしたらいいんだ?」
「昨日出発した復興支援部隊が明後日に到着するはずだから、その者に渡してくれ」
「分かった、そう伝えておく」
復興支援部隊を昨日の内に出発させてたのか、手際が良いな。
「そ、それとだな、セイジ……」
「なんだ?」
「いつも、荷物の運搬やらで手伝ってもらってばかりで、申し訳ない」
「何だよ急に、
今回は悪魔族のせいなんだから仕方ないだろ」
「そ、そうか……」
リルラは何故かモジモジし始めた。
トイレにでも行きたいのかな?
「手伝ってもらっているお礼に、だな……
何かお礼をしたいのだが……
私に…シテ欲しいことは…ないか?」
「いや、今のところは特に思いつかないな。
また今度、困ったことがあったら何か頼むから、その時よろしく頼むよ」
「そ、そうか……」
なぜかリルラは残念そうな顔をしている。
そんなにお礼がしたかったのか? 律儀なやつだな。
俺は、リルラに別れを告げ、
エビスの街へ戻った。
しかし、俺がエビスの街に戻ってすぐに、
胸ポケットの双子魔石の振動が早くなり始めた。
リルラのやつ、またトレーニングを始めやがった。
ほんとにトレーニング好きだな。
~~~~~~~~~~
俺は、胸ポケットの中でビクンビクンと震える双子魔石を感じながら、エビスの街の復興対策本部になっている集会所に向かった。
集会所の中では、ビュート様が復興作業の指揮をとっていた。
「ビュート様、シンジュの街のリルラから支援物資をもらってきました」
「これはセイジさん。
はて、リルラさん? 支援物資?
どういう事ですか?」
俺は、リルラから預かってきた支援物資を出し、集会場の隅に山積みにした。
「こ、これは……」
「これが支援物資の納品書です。
品物を確認してサインしておいて下さい。
シンジュの街からの復興支援部隊が明後日に到着するそうなので、納品書はその人たちに渡して下さい」
「昨日の今日で、こんなに……
それに、どうやって運んできたのですか?」
説明が面倒くさいな~
「ちょっと特殊な魔法で運んできました。
そう頻繁には出来ませんので、あまり頼りにしないでくださいね」
「は、はい……」
ビュート様は唖然としていたが、
まあいいか。
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アヤたちは外で、復興の手伝いをしているということなので、迎えに行った。
「おうエレナ、復興作業は進んでるのか?」
エレナは、復興作業をしている人たちに配る料理を作っていた。
「セイジ様、お帰りなさい。
もうちょっとで終わりますので、少し待っていて下さい」
「おう」
しかし、エレナが料理をする姿は絵になるな~
「セイジ様…」
「なんだい?」
「一つお願いがあるんです」
お? エレナがお願いとは、珍しいな。
「エレナの頼みなら、なんでも聞くよ」
「ありがとうございます。
実は…
私、あんな立派な杖をもらってしまったじゃないですか」
「あの杖は…… いいものだ!」
「でも、ビュート様は、杖がなくて困ってしまうのではないかと思いまして。
代わりの杖をなにかプレゼント出来ないかと……」
エレナは、優しいな~
後でなでなでしてやろう!
「そうだな、回復強化魔石を作って、
それを使った杖をプレゼントするのはどうだ?」
「それは、ステキです!!」
「よし、それじゃあ、日本に帰る前にスガの街の武器屋に行って、杖の製作を依頼しよう」
「はい!」
エレナの料理作りが終わるのを待ってから、
二人で【魔石複製器】を使い、ヌルポ魔石に回復強化魔石を複製した。
すると……
出来上がった魔石は―
【回復強化魔石+5】だった。
さすが回復魔法レベル7!
素晴らしい魔石が出来上がってしまった。
エレナは、うっとりとした表情で、その魔石に頬ずりしていた。
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