220.悪魔族の行方
「リルラ、エビスの街が悪魔族に襲われた」
「な、なんだと!」
「かなりの被害が出ている、シンジュの街から支援を出せないか?」
「お父様と相談してみる」
「特に食料が足りない。
リルラ、頼んだぞ」
「は、はい……」
リルラのやつ、こんな事態だというのに嬉しそうだな。
不謹慎な。
もしかして、頼られるのが嬉しいのかな?
「支援物資なら俺が運ぶから、用意ができたら双子魔石を叩いて知らせてくれ」
「そうか! そのような使い方があったのだな!」
子供が新しいおもちゃを買ってもらった時のような表情をしている……
変なことに使ったりするなよ?
「セイジは、これからどうするのだ?」
「俺は、エビスの街を襲った悪魔族の行方を追ってみる」
「そうか……
気をつけるのだぞ?」
「ああ」
俺はリルラと別れて、エビスの街に戻った。
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「兄ちゃんお帰り、リルラとイチャイチャ出来た?」
「するか!」
「ほんと?」
アヤは、クンクンと匂いを嗅いでいる。
お前は、浮気を疑う妻か!
「俺は、また出かけるけど、
街の事は任せたぞ」
「どこに行くの?」
「立ち去った悪魔族の行方を追う」
「じゃあ私も行く」
「ダメだ」
「なんでよ!」
「【電光石火】を使って探すんだ。
お前にはついて来られないだろ?」
「ぐぬぬ」
「暴れたりないんだったら、街の周辺の魔物でも狩ってろ」
「魔物いるの?」
「ああ、それなりに」
「分かった、『ひと狩り』行ってくる」
「行くならちゃんと4人で行けよ」
「うん!」
あー、妹がハンターになってしまった……
異世界になんか連れてくるんじゃなかったな~
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さて問題は、悪魔族たちが、どっちに向かったかだ。
考えられるのは4つ
1.北の『シンジュの街』方面
2.西の『魔族の街』方面
3.東の『シナガの街』方面
4.どこにも寄らずに、悪魔族の本拠地へ帰還
4だとすると追うのは難しいけど、追加の被害は出ないことになる。
1だった場合は、シンジュの街はリルラが居るから、なんとかしてくれるだろう。
同じ理由で、2の場合でも魔族たちが対応してくれるはず。
だとすると、被害が出る可能性の高い『3』を想定して、東方向を探してみるか。
俺は【電光石火】で東を目指した。
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しばらく東に走り続け、日が沈みかけて辺りが徐々に暗くなってきた頃、
そいつらを見つけた。
悪魔族だ。
100人ほどの悪魔族が集団で居るのを、地図上で確認した。
俺は、【夜陰】の魔法を使って身を隠し、
慎重に近づいた。
居た、悪魔族だ。
100人ほどの悪魔族たちが野営をしていた。
そしてその中心に、一人偉そうな奴が居る。
おそらく、こいつらのリーダーなのだろう。
【鑑定】できれば、詳しいことが分かるんだけど、
そうすると気づかれてしまう。
よく見ると、その偉そうな奴は、なにやら凄そうな杖を持っている。
アレってもしかして、ビュート様から奪った何とかの杖なんじゃないか?
奪い返して、ビュート様に返してあげないとな。
ヤバイ事に、人族の人質も居た。
30人ほどで、全員奴隷の首輪を付けられている。
シスターが10人、大人の男女が20人といったところだ。
人質の人たちには申し訳ないが、いったん戻ってアヤたちを呼んでこよう。
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「あれ?」
エビスの街に戻ったが、アヤたちが居ない。
ほんとに『ひと狩り』しに行ったのか……
地図を確認してみると、近くの森の中に居るのが分かったので、【瞬間移動】で迎えに行く。
「あ、兄ちゃん!
やった! メイン荷物持ち来た、これで勝つる!」
アヤは、巨大な熊を頭上に持ち上げながら歩いていた。
舞衣さんは巨大イノシシ、エレナとヒルダは両手に1匹ずつ大ネズミを持っていた。
「それなりの収穫だな」
「いやいや、もっと狩ったんだけど、
持ち運べなくて置いてきちゃった」
置いてきたという場所を聞いて、その場所に行ってみると―
オークやら、熊やら、イノシシやら、
魔物が山積みされていた。
運ぶ必要がある事を誰も気づかなかったのかよ!
山積みの魔物とアヤたちを回収して、街へ戻った。
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「それじゃあ、悪魔族は『シナガの街』へ向かったんですね」
「そうみたいです」
エビスの街に戻った俺達は、ビュート様に状況を報告していた。
「あと、悪魔族のリーダーらしき奴が、凄そうな杖を持っていました」
「もしかしてそれは……」
「おそらく、ここから奪っていった…何とかの杖?だと思います」
「【アスクレピオスの杖】ですか?」
「そうそれ」
エレナがフォローしてくれた。
「あの杖を何としても取り戻さないと……」
ビュート様は、そう言いつつも絶望的な顔をしていた。
「そんなにすごい杖なんですか?」
「あの杖は……
持つ者の回復魔法を、強制的に一段階上昇させる力があるのです」
一段階上昇させる……
つまり、回復魔法レベルが5のエレナが使えば、
回復魔法レベルが1上がって、6になるって事か……
それは凄いな。
「兄ちゃん、とうぜん取り返しに行くんでしょ?」
「おうともよ」
「あなた達も、奪還作戦に参加してくださるのですか?」
「いいえ、違いますよ
俺達だけで行きます」
「え!?
そ、そんな無謀な!」
「まあ、任せてください」
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