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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
悪魔族編2
228/438

218.シスター軍団

 俺たちは、崖崩れ現場の復旧作業を進めていた。


 しばらくすると、崖崩れの向こう側から声が聞こえてくる。

 おそらく閉じ込められていた人たちだろう。



「せいや!」


 舞衣さんが掛け声とともに、大きな岩を破壊すると―

 大岩がガラガラと崩れ、やっと向こう側が見えた。


「「おおー!」」


 崖崩れのこちら側とあちら側で、同時に歓声が上がる。


 大岩の破壊で巻き上がっていた砂埃が晴れると―

 お婆さんのシスターが、現れた。


 お婆さんシスターは、後ろに50人程のシスター軍団を引き連れている。



「ビュート様!」


 最初に復旧作業をしていた街の人達が、お婆さんシスターに駆け寄り、跪いた。


 どうやら、お偉いさんらしい。


「ビュート様、ご無事で何よりです」


 あのお婆さんシスターは『ビュート様』というのか。



「ご苦労様でした、感謝いたします。

 所で、食料はありませんか?

 賊に食料を奪われてしまって、回復魔法師達の食べるものがないのです」

「申し訳ありません、ビュート様。街の方も食料を奪われてしまいました」

「それは困りましたね……」


 後ろのシスターたちも、それを聞いてうなだれている。


「ビュート様、杖はどうされたのですか?」


 杖?

 よく見ると、ビュート様はみすぼらしい杖を手にしていた。

 そこらに落ちている樹の枝に、適当な布を巻いた、いかにも急ごしらえと言った感じの杖だ。


 いやいや、見た目で判断してはいけない。

 ああ見えて、きっと素晴らしい杖なのだろう。


「そんな急ごしらえの杖などお持ちになって……」


 見た目通り、急ごしらえの杖でした……


「【アスクレピオスの杖】は……

 賊に奪われてしまいました……」

「なんと!!」


 なんか凄そうな名前の杖だな。

 きっと素晴らしい杖なのだろう。



 そんなことを考えていると―

 ビュート様が、ふとこちらを見て、

 俺に声を掛けてきた。


「おや、貴方はエレナ姫さまの護衛の……

 たしかセイジさん」


 ん? 何故、俺の名前を?

 あ! 確か戦争で貴族たちが集まった時に、この人も居たかも。


「ど、どうも……」


 うーむ、貴族は苦手だな。

 下手な対応をすると、いきなり怒りだしたりしかねないしな。



「貴方が居るということは、エレナ姫様も来ているのですか?」

「はい、街の方で怪我人の治療にあたってます」

「なんと! エレナ様が!

 私たちも急いで街へ行きましょう」


 俺たちは、ビュート様たちと一緒に、街へ戻った。


----------


「何と酷い……」


 ビュート様とシスター達は、街の破壊され具合を見て唖然としていた。


 しかし、たくさん見かけた怪我人は、一人も見かけない。

 おそらく、みんなエレナの所へ行ったのだろう。



 地図で確認し、エレナの所へ行ってみると、


 街の集会所のような所で、たくさんの怪我人に囲まれ、エレナが治療をしていた。

 ヒルダは、怪我人に飲水を飲ませるなど、忙しく動き回っていた。


「エレナ、大丈夫か?」

「セイジ様…それと、ビュート様!」


 ビュート様は、エレナに歩み寄り、そして跪いた。


「エレナ姫様、我が街の怪我人を治療して下さって、なんとお礼を言ったらいいか……」


 回りにいた人たちは、ビュート様が現れた時も驚いていたが、

 そのビュート様がエレナに跪いているのを見て、さらに驚いていた。



「ビュート様が、跪いていらっしゃる……」

「……ひ、姫様…あの娘さんが!?」

「すごい回復魔法師だとは思ってたけど……

 まさか、姫様だったとは……」


 今まで自分たちに回復魔法をかけてくれていた人が姫様だと分かり、

 集会所は、ざわめきが沸き起こっていた。



「ビュート様、少しお待ち下さい、この人の怪我を治してしまいますから」


 エレナはそう言って、治療中だった怪我人に回復魔法を掛けた。



 エレナの前に横たわる怪我人は、回復魔法を掛けられ、傷がどんどんふさがり、苦しそうにしていた表情が、どんどん和らいでいった。


「エ、エレナ姫様……

 いつの間に、ここまでの回復魔法を覚えられたのですか!?」

「セイジ様のお陰です」


 ビュート様は、振り返って俺をじっと見た。


 エレナは俺が育てた。どやー



「またまた、エレナ姫様、ご冗談を」


 ビュート様は、エレナの冗談だと判断したらしい!


 まあ、エレナの回復魔法は、エレナ自身が頑張った結果だから、俺のお陰なんてこともないんだけどね。



「姫様、後は私たちがやりますので、姫様は休憩なさって下さい」


 ビュート様が、そう言っているが……

 後ろのシスター達は暗い顔をしている。


 シスターの中で一番年上っぽい、おばさんシスターが一歩前に出てビュート様に耳打ちしている。

 ちょっと聞き耳を立ててみよう。



「ビュート様、我々も賊との戦いで疲弊していて、みな魔力が底をついています。

 食べ物もなく、この状況で魔力を酷使すれば、倒れるものも出てしまうかもしれません」

「何を言っているのです!

 姫様がここまでしてくださっているのに、私たちが指を加えて見ているなど、出来ません」


 どうやら、かなり『かつかつ』の状態らしい。


 ならば、俺達の出番だ。



「ヒルダ! ちょっとこっちに来てくれ」

「はい!」


 俺は、ヒルダを呼び寄せた。


「セイジお兄ちゃん、なんですか?」

「あのシスターさん達が、魔力切れで困ってるそうだから、飴を配ってきてくれ」

「はい! 分かりました!」


 ヒルダは、勢い良く飛び出して行き、

 シスターさん達に飴を配りまくっていた。


 飴を貰ったシスターさんたちからは、口々に「あま~い」と、歓声が上がっていた。



「アヤ、舞衣さん!」

「なーに?」「なんだい?」


「炊き出しをするから、鍋の材料になりそうな金属と、薪になりそうなものを探してきてくれ」

「りょーかい!」「任せておけ」


 アヤと舞衣さんは、集会所を飛び出していった。


----------


 俺が、集会所の前の広場を片付けていると―

 アヤが、巨大な鐘を持って帰ってきた。


「兄ちゃん、こんなの見つけた!

 これで鍋つくれる?」

「こんなの何処で見つけたんだ?」

「落ちてた」


 これって、街の大事な鐘なんじゃないのかな?

 使っちゃっていいもんだか、判断に困るな。



「一体何が始まるんです?」


 後ろから声をかけられ、振り返ってみると―


 ビュート様だった。



「ちょうどよかった、ビュート様。

 これから我々の持ってきた食料で、炊き出しをしようと思っていたのですが、

 この鐘を鍋に作り変えてしまっていいですか?」

「その鐘は……」


 やはり、大事な鐘だったらしい。


「やむを得ません。

 今は鐘より、人々の飢えを解消するほうが優先です。

 しかし、その鐘をどうやって鍋にするのですか?」

「こうやります」


 俺は、【土の魔法】を使って、鐘を鍋に作り変えてみせた。


「なんと!

 貴方は【土の魔法】の使い手だったのですね。

 しかも、こんな大きなものを……

 エレナ姫様の言っていたことも、まんざら冗談ではないのかもしれませんね」


 どうやら、俺の凄さを分かってくれたみたいだ。


「しかし、食料は何処にあるのですか?」

「ああ、それは、魔法で運んできてあるんです」


 俺は、大きめのレジャーシートを取り出して地面に敷き、

 その上に、インベントリ内の全ての食物を、取り出して山積みにした。


「な、なんと!!」


 ビュート様は、大量の食料を見て、危うく腰を抜かす所だった。



「さて、何鍋にするかな~」


ご感想お待ちしております。

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