215.エリクサーの奇跡
水曜日。
<例のアレ・効果報告会(二日目)>
前回の会議がだいぶ長引いてしまった事もあって、
今日は、『うなぎ屋』で昼食がてら報告会をすることになった。
なぜ『うなぎ屋』かというと……
部長が精力をつけたいからだそうだ。
調査を名目にハッスルし過ぎなんじゃないか?
「それでは、第二回、例のアレ・効果報告会を開催いたします」
俺の報告は、また1cm増えたというだけで、
部長の報告は、また乳繰り合っていた報告だった……
昨日、アレだけ凄い社長の話を聞いたにも関わらず、しれっと普通に会議を進める部長って、結構大物なのかもしれないな。
「では、最後に社長の報告をお願いします」
「うむ
先ずは、わた…Aさんだが、左右の生き残り区域と産毛地帯が、だいぶ広がってきている…そうだ。
孫娘は、どか食いがなくなって、ちゃんと満腹を感じられるようになったのと、顔が若干ほっそりしてきた感じだ」
「もしかして孫娘さんと一緒に住んでいらっしゃるんですか?」
「ああ、私と妻と、長男家族、次男家族、3世帯住宅だ」
ずいぶん大所帯なんだな~
「最後に、長男だが……
顔の凍傷が若干治りかけてきている」
「ホントですか! それは凄い!」
社長の報告に、部長も驚いている。
「ありがとう、手足の方も何やら痛みが引いてきていて、希望が持てそうだ」
効果報告会は、終始和やかに進み。
美味しいうなぎに、三人仲良く舌鼓をうった。
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木曜日。
<例のアレ・効果報告会(三日目)>
今日は、『寿司屋』に来ている。
もちろん、回っていない。
そして、ここは社長のおごりだ。
何故か他のお客さんがいないと思ったら……
今日は、この店を貸しきっているそうだ。
お昼時に、お寿司屋さんを貸しきるとか、一体いくらかかるんだろう?
「では、例のごとく丸山君から」
「はい、今日は2cm増えたそうです」
「ほう、ここに来て2cmとは、凄いな」
「ええ、ブラがキツくなってきてしまったそうです」
「なるほど、そういった弊害もあるのか……」
「まあ、本人は喜んでいるので、問題無いです」
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「続いて私ですが」
部長は、いやらしい顔で報告を開始したが。
突いたり、摘んだり、弾いたり、挟んだりと、
調査の名目でやりたい放題したことを、わざわざ報告しなくても結構です!
夫婦共に、若かりし頃の体型を徐々に取り戻しつつあるということで、かなりハッスルしてしまった、ということらしい。
そんな情報はどうでもいいんだけどね……
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「では、最後に社長の報告をお願いします」
「うむ」
社長は、改めて俺の方を向いて。
「丸山君、君にはとても感謝している」
改まってなんだろう?
「しかし、あの飲み物は……
一体何なんだ!」
うーむ、社長もアレの異常性に気がついちゃったかな?
まあ、無理も無いけど。
上手く誤魔化さないとマズイな。
「何なんだと言われましても、一体何があったんですか?」
「他のも常識外れだが、
特にあの傷の治りを早くする奴!
アレは異常だ」
まあ、エリクサーだしな~
「長男の凍傷だが、
まず、痛みが完全に和らいだそうだ。
そして、手首あたりまで壊死していた両手が、手のひらの半分ほどと親指の付け根辺りまで、回復してしまっている。
さらに、顔だ!
顔の凍傷が半分ほど回復して、残りは鼻と頬だけになっている。
こんな事は、ありえない」
「そ、そうですか……
そんなに治ったのですか……」
うーむ、予想以上の治り方だな。
ちょっと釘を差しておく必要がありそうだな。
「私としても、予想以上の効果に驚いています。
ただ、このことが公になって大騒ぎになれば……
もう二度と手に入れることは出来なくなると思います」
「そ、そうだよな。
丸山君とて予想外の状況なのだよな。
うむ。
手に入れられなくなってしまうのも問題だ……」
社長も分かってくれたらしく、それ以上は突っ込んだりはしてこなかった。
部長は、ちちくりの事しか考えていないので大丈夫だろう。
「続いて、孫娘の件だが……
顔のむくみが完全になくなって、ほぼ元の可愛い顔に戻ってきている。
あの子自身も元気を取り戻したらしく、閉じこもっていた部屋から出て、普通に接してくれるようになった」
ほう、可愛いのか……
ちょっと見てみたいかも。
「最後に、ハゲのAさんだが……
実は、Aとは……
……私の事、なんだ……」
「……ナ、ナンデスッテー!!」
ここは、驚いたふりをしてあげるのが大人というものだ。
しかし、よく打ち明ける気になったな。
「まあ、見てくれ」
社長は、恐る恐る、カツラを外した。
カツラの下から現れた頭は……
五分刈りの状態だが、左右の部分が若干伸びた変な感じの状態だった。
「五分刈り?」
「あ、ありがとう」
俺の思わず出た一言に対して、社長は感謝の言葉を発した。
「これでも、アレを飲む前は、不毛の大地だったんだ」
これは信じられない、ものすごい発毛速度だ。
まあ、部長の生え際もだいぶ目立たなくなってきていることだし、これがアレの実力のほどなのだろう……
「日曜日に床屋に行って整えてもらったら、来週からカツラをやめることにする。
会社の奴等の驚く顔が、早く見てみたいものだ」
社長は、そう言ってニッコリ微笑んだ。
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金曜日。
<例のアレ・効果報告会(最終日)>
今日は、開催時間を夜に移し、
場所はなんと!最終日らしく『料亭』だ。
料亭なんて初めて入ったよ。
社長は、今日一日ずっと帽子をかぶっていたが、
部屋に入って一息つくと、帽子を脱いだ。
帽子を脱いた下から現れた頭は……
普通の短髪頭だった。
「社長、その髪の毛、もしかして……」
「そう、本当の地毛だ」
部長は、社長の髪の毛を褒めちぎっていたが、
部長は部長で、生え際が普通の状態に変化していた。
しかし部長、貴方の部下たちは、貴方のことを『増毛だ』と噂していましたよ?
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「まあ、お互いの髪の毛のことは、もう十分だろう。
他の報告をしようじゃないか」
社長はニコニコ顔でそう切り出した。
「そうですね! では。
例のごとく、丸山君から」
「月曜日から今日までの変化の合計は
アンダーが変わらず、トップは+6cmでした。
あと、若干寄せてあげている状態になっていることと、
トップ周辺が、若干くすみが減ったそうです。
最終報告は以上です」
「うむ、トップの増え方はそれなりだが、
それ以外の変化は微妙だな。
もともとそれほど問題のなかったオッパイだったのかな?」
部長……
部屋に俺たち3人だけだからって、オッパイ言うな!
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「続いて私の報告ですが」
部長が、そういいながら、ポリポリ頭をかいている。
「そのですね、今朝くらいはちゃんとした計測をしようと思っていたのですが……
計測中にムラムラとしてしまいまして、
結局、計測する事をわすれて…ハッスルしてしまいまして」
「君は、朝からナニをしているんだ!」
社長に怒られてやんの。
そして、俺と社長の白い目が、部長に向けられる。
「いや、ですが……
もう、なんと言いますか~
こう、アイツの体型がですね、出会った頃みたいでして、
体がですね、その頃のことを思い出してしまってですね」
部長、きもいよ!
「もう報告は結構だ」
「申し訳ありません」
とうとう、社長が止めに入った。
「まあ、あれだ、正確な数値は分からなくても、
印象というか、そういった面で、効果が明確にあったことは理解できたから、それで良しとしよう」
「社長ありがとうございます」
まあ、部長の説明を聞いてても得るものは何も無いだろうしね。
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「最後に私の報告だが……」
社長が最後の報告を始めた。
「奇跡とは本当にあるものなんだな……
というのが、正直な感想だ」
奇跡ね……
「私の髪の毛は、見たとおりだ。
そして、孫娘は、
食事の量などは、完全に正常に戻り、
体型も、すこしポッチャリしているかな?と言った程度にまで改善した。
顔に至っては、太る前よりちょっとスリムになったかもしれない。
そして、アイツときたら……
またアイドルを目指すとか言いよって、ランニングをしたりダンスのレッスンもしておった。
まったく、こりんやつだよ」
しかし、そんな事をいいつつ、社長の顔は終始デレデレだった。
「そして長男の状態だが、
顔の凍傷が完全に消えた。
あと、両手の凍傷は、指先が少し残っている程度で、それ以外すべて回復した。
おそらく土日で両手も完治するだろう。
これは、ありえないことだ。
足は治っていないが……
もしかして、もう一本飲めば治るのではないか?」
「どうでしょう、例の物はもう一本ありますが、試してみますか?」
「是非譲ってくれ!」
俺は、エリクサーをもう一本、社長に渡した。
「前回は、月曜の夜に飲んだということでしたので、
次を飲むのも、今度の月曜日の夜以降にしたほうがいいと思います」
「うむ、分かった」
「そう言えば、部長もコレをお渡ししましたよね?
アレは使ってないんですか?」
「すまん、勢いで受け取ってしまったが、
こんな凄いものだとは思ってなくて、
怪我をした時の為に取っておこうと……」
「別に構いませんよ、
もしもの時は、使って下さい。
また手に入るようでしたらご報告しますから」
「すまないね」
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「ところで丸山君」
「なんですか?社長」
「代金の件なのだが、
どうしたものかと思ってな……」
「まあ、アレの効果は1週間で、まだ土日もありますから。そういう話は、その後でということで」
「分かった、では来週、それなりの用意をしておく」
「はい、分かりました」
こうして俺達は、固い握手を交わし―
料亭で、素晴らしい料理とお酒を頂いた。
さて、来週が楽しみだ!
ご感想お待ちしております。




