210.カツアゲ
唐突ですが、投稿者の『かつ』です。
この前書きには、特に意味は無いです。
「お風呂入ろ!
部長も一緒に!!」
「アヤ、お前は日本に帰ってくると、いっつも真っ先に風呂にはいるな」
「だって異世界だと、お風呂に入れないでしょ」
アヤ達4人は、楽しそうにバスルームに入っていった。
まあいい、俺はさっそく薬品製作をしよう。
早く、エリクサーや例の危ない薬を作ってみたいしな。
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黙々と作業を続けていると、双子魔石が微かに振動しているのが感じられた。
この振動、なんか心地いいな。
リルラも、俺の鼓動を感じているのだろうか?
俺は、そんな心地よさに包まれながら、作業を続けていた。
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「兄ちゃん、上がったよ~」
どうやら、4人が風呂から上がってきた様だ。
ずいぶん長いこと入ってたな。
4人共バスローブを着て、頭から湯気を上げている。
舞衣さんは、ヒルダ用の予備のバスローブを着ているが、少しぶかぶかだ。
アヤがドライヤー魔法でみんなの髪を乾かしてあげていて、
ヒルダが、その魔法を興味津々で見つめている。
「ヒルダちゃんもやってみる?」
ヒルダが、アヤに魔法のやり方を教わってるけど、
そんなに簡単に出来るわけ無いじゃん……
って、出来てる!
ヒルダは、アヤのドライヤー魔法をいとも簡単にやってみせた。
ヒルダはやっぱり、天才なんじゃなかろうか!
後でヒルダをナデナデしてやらねば!
「ところで、兄ちゃん、
さっきから、なにジロジロ見てるの?」
「え!? あ! ち、違うんだ。
エッチな気持ちで見てたワケじゃないぞ!
『ほほえま~』な感じだ!」
「私、エッチとか一言も言ってないし。
語るに落ちるとはこの事だね、兄ちゃん」
アヤと舞衣さんが、俺を白い目で見ている。
ヒルダは、事情がよく分かっていないみたいだが、
エレナは、俺を恥ずかしそうに見つめている。
ち、違うんだ。誤解なんだ!
くそう、アヤの奴。覚えておけよ!!
「ところで兄ちゃん、夕飯は?」
「あ、忘れてた」
「もう、ダメじゃない!」
なんで俺が飯を作る事が決定しているんだ?
納得出来ない!
「あ、兄ちゃん、薬作ってたの?」
「そうだ、兄ちゃんは薬作りで忙しいんだ。
俺は手が離せないから、出前でも取れよ」
「じゃあ、私が夕飯作ってあげる」
「ア、アヤが!?」
「私が作ります。ヒルダも手伝ってね。
アヤさんは、疲れているでしょうから、ゆっくりしてて下さい」
「う、うん。
エレナちゃんがそう言うなら、任せるね」
エレナがアヤを止めてくれたおかげで、俺達の命は救われた。
エレナ、まじ天使。
「舞衣さんは、何が食べたいですか?」
「ボクもごちそうになっていいのかい?」
「せっかくですから食べていって下さい。
セイジ様、いいですよね?」
「ああ、食材はたんまりあるから、まったく問題ないぞ」
「ありがとう、そうするよ。
そうなると、ボクが今食べたいのは……
エレナ君は、『カツカレー』作れるかい?」
「『カツカレー』ですか、
私も『カツカレー』は大好きなんですけど……
『カツ』は、まだ作ったことないです」
『カツカレー』か、考えただけでよだれが出てきてしまった。
「仕方ない、『カツ』は俺が作るから、
エレナとヒルダはカレーを担当してくれ」
「「はーい」」
俺は、インベントリに入れておいた『鹿児島産高級黒豚のロース』を惜しげも無く使って『カツ』を揚げていく。
本当なら、カレーが出来上がってから揚げるところだが、俺にはインベントリがある。
揚げたての熱々の『カツ』を、そのままインベントリにしまっておいて、食べるときに取り出すだけだ。
俺が『カツ』を揚げ終わると、エレナとヒルダがカレー用の野菜を切り終わっていた。
コンロの前をエレナ達に明け渡し、俺は薬品製作作業に戻った。
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しばらくすると、カレーのいい香りが漂い始めた。
「セイジ様、カレーが出来ました。
『寝かし』をお願いします」
と、エレナが俺を呼ぶ。
「うむ、分かった」
俺は、カレールーの鍋を、インベントリにしまう。
「お兄さん、何をするんだい?」
「カレーは、一晩寝かせるとおいしくなるだろ?
魔法で、『一晩寝かせた状態』に、するんですよ」
「そんな事まで出来るのかい? すごいんだね~」
「セイジ様、ご飯も炊きあがりました」
「うむ」
インベントリ内の時間を操作して、
ご飯を30分蒸らし、カレーを一晩寝かせてから温めなおして、全て完成だ。
熱々のご飯に、揚げたての『カツ』を乗せ、
そこにエレナとヒルダのルーをかけていく。
エレナとヒルダは、サラダと飲み物の準備をしてくれていた。
「「「頂きます!」」」
5人が一斉に『カツカレー』へ襲いかかる。
「おいひー!」
「アヤ、口に物を入れたまま喋るなよ」
「らってー、おいひいんだもん! ゴクン。
特に、この『カツ』が美味しすぎる!
私、『カツ』大好き!
愛していると言っても過言じゃないくらい!
いやむしろ、『カツ』に抱かれたいくらい!!」
「おいおいアヤ、
『カツ』だって相手を選ぶ権利があるだろ」
「そんなことないもん、
私と『カツ』は相思相愛なんだから!
ねー、カツ~
『うん、ボクもアヤの事が大好きだよ』
ほらー」
「!?
いま、『カツ』が喋らなかったか!?」
「きっと『カツ』に宿る神様的な何かが、喋ったに違いないよ」
アヤが『カツ』を褒めちぎっていると―
「セイジ様の揚げた『カツ』、とっても美味しいです」
「お兄ちゃんは、『カツ』揚げの天才です」
ヒルダ、それじゃ俺が『カツアゲ』の天才ってことになるぞ。
「いやー、ボクもこんな美味しい『カツ』を食べたの初めてだよ」
恐ろしい。
みんな、『カツ』を褒め称えている。
おそらく『カツ』に宿る悪魔的な何かが、アヤ達を操ってあんなことを言わせているに違いない。
俺も、今後は『カツ』に逆らわないようにしよう……
ご感想お待ちしております。




