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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
舞衣さんの秘密編
199/438

190.壁ドン

 結婚式もだいぶ落ち着いてきたところを見計らって―


「ブンミーさん、これが何だかわかりますか?」


 俺はブンミーさんに、舞衣さんのお婆さんが持っていたアイテムの写真を見せてみた。


「ずいぶん精巧な絵だな。

 ん? これは、どこかで見たことがあるな……

 あ、そうか!

 マントは、魔王様のマントに似ている」

「やっぱり!」


「この絵がどうかしたのか?」

「いやいや、詳しいことが分かったら後で教えますよ」


 クックック……

 これは面白くなってきたな。


「そう言えば、結婚式に魔王様は呼んでないんですか?」

「もちろんお呼びしている。

 もうしばらくしたら来るだろう」


「そうですか、楽しみだな~」



 そんな話をしていると―

 狙い澄ましたかのように、魔王様が登場なされた。


「魔王様!

 ようこそいらっしゃいました!」


 ブンミーさんとカサンドラさんが、丁重にお迎えする。


「お前は、セイジ!

 お前も来てたのか」


 魔王がいきなり話しかけてきた。


「カサンドラさんは、俺の知り合いですし。

 ブンミーさんとも一緒に戦いましたしね」

「そうか……」


 魔王様、なんか話しづらそうにしている……



 ここは一つ、俺から話題を提供してやろう。


「ところで魔王様。

 この写真を見てくれ、こいつをどう思う?」

「すごく……

 繊細で緻密な()だな」


「まあ、写真(・・)ですからね」

「『シャシン』とは、ずいぶんと上手い画家なのだな」


 面倒くさいので、説明は止めておこう。


「そうじゃなくて、映っているマントとペンダントに、見覚えはありませんか?」

「そういえば……

 このマントは、俺のマントに似ているな。

 ペンダントは……

 紋章が魔王の紋章ではないか!

 誰が勝手にこんな物を!」


 あれ?

 魔王のもののはずなのに、魔王が知らない?



 魔王の言動に、俺が考え込んでいると―

 横から誰かが話しかけてきた。


「これは、先代魔王の物じゃな」


 武器屋のお爺さんだった。



「これは、刀鍛冶・マサムネ殿」

「おう、坊やも元気にしていたか?」


 マサムネ!!?

 武器屋のお爺さん、そんな凄い名前だったのか!!?


 しかも、魔王の事を、『坊や』とか言ってるし!!



「坊やは止めてくれ、もう俺は魔王なのだぞ」


 このお爺さん、相当偉い人だったらしい。


「60歳じゃまだまだ坊やだろ」


 へー、魔王は60歳なのか……


 あれ? 魔族って寿命が人族の4倍なんだよな?

 と言うことは、魔族の60歳は人族で言えば15歳?


 15歳!?


「魔王、あんた60歳だったのか!?」

「おいセイジ、俺を呼び捨てにするな」


「何じゃ、お主達、知り合いじゃったのか?

 そう言えば、お主は魔王の紹介で来たんじゃったな」



 おっと、魔王の年齢のことで脱線するところだった。



「おじいさ…マサムネさん、

 このペンダントのことを知っているんですか?」


「ああ、このペンダントは―

 ワシが作って、先代魔王に収めたものじゃからな」


「と言うことは、マントも、その先代魔王様の物ってことですよね」

「そうじゃな、確か昔はそんなマントを使っていた」


 なるほど、舞衣さんのお爺さんは……



 そんな話をしていると―

 急に結婚式会場が、ざわつき始めた。



「先代魔王様が、おいでになりました!」



 兵士が会場内の人たちにそう告げると―

 会場内は、水を打ったように静まり返った。



 そして、禍々しい雰囲気の大柄な魔族が、仰々しく登場した。


 魔族たちは全員整列し、

 魔王も頭を下げて、そいつを迎えている。


「ブンミー、来たぞ」

「これはこれは、先代魔王様!

 わざわざお越しいただき…」


 ブンミーさんが地べたにひれ伏してる。


「よいよい、堅苦しい挨拶は抜きだ」


 魔王の時は、それほどでもなかったのに。

 先代魔王だと、こんなに態度が違うのか!



 うむ。

 先代魔王こそ、本物の魔王なんだろうな……


 それに比べて、今の魔王は―

 中ボスもいいところ。



「よう、先代魔王。先にやっとるぞ」

「マサムネ、お前も来ていたのか」


 やはり、マサムネさんは先代魔王様と仲がいいらしい。


「何じゃこの酒は! 先代魔王、飲んでみろ」

「おお、これは旨い!

 おいブンミー、この酒はどこで手に入れたのだ!?」


「はい、セイジという人族が持ってまいりました」


 先代魔王とマサムネさんが、獲物を見つけたような目で俺を見ている……

 もう帰ろうかな~



「おい、セイジとやら。こっちに来い」


 先代魔王様は、禍々しい満面の笑みで俺を手招きしている。



「はい、なんでしょう?」

「お前は何者だ?」


「えーっと……

 花嫁のカサンドラさんの知り合いです」


「……」


 先代魔王は、何も言わずに、俺を舐め回すように見ている。


 俺、ヤられちゃう?



「この酒はどこで手にれたのだ?」

「俺の故郷の酒です」


「そうか!

 人族の国に行けば、この酒があるのだな?」

「いいえ、違います。

 私の故郷は『日本』です」


「ニホン? 聞かぬ名だな」



「あれ? 先代魔王様は、『日本』にいらしたことが、あるのではないのですか?」


「いや、そんなところに行ったことはないぞ?」


 あれ? おかしいな?



「では、この女性に見覚えはありませんか?」


 俺が、舞衣さんのお婆さんの若いころの写真を見せると―



「こ、この者は!?

 この者は、何処に居るのだ!!?」


 先代魔王様は、急に俺に襲いかかって来て―


 俺は、先代魔王様によって―



 『壁ドン』、されてしまった……


今回は、女性のセリフが一切ありませんでした……



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