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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
舞衣さんの秘密編
197/438

188.お母さんとお婆さん

 妹が3人に増えた日の翌日―

 俺は、アヤの通う短大の近くのハンバーガー屋に来ていた。



「お兄さん、おまたせ」

「おっす、兄ちゃん~」


 舞衣さんが話があるとかで、待ち合わせしていたのだ。


 しかし、舞衣さんは俺のことを『お兄さん』とか読んでるけど……

 舞衣さんまで『俺の妹になる』とか言い出さないよね?



「実は、お兄さんの事をお母さんに話したら、家に連れて来るように言われちゃってね」

「俺も色々話を聞きたかったから、問題ないよ」


「いや~、話が早くて助かる。

 じゃあ、付いてきて」


「って、今から!?」



 俺は、トイレに行くふりをして一旦家に戻り、エレナとヒルダに事情を説明した。


 エレナとヒルダにも、携帯かスマフォを持たせたほうがいいかもな~


~~~~~~~~~~


 舞衣さんの家は、吉祥寺駅から少し行った所にあった。

 そこは、歴史を感じる大きな家だった。



「お姉ちゃん、お帰りなさ~い。

 あれ? お客さん?」


 玄関で俺たちを出迎えてくれたのは―


 舞衣さんそっくりな幼女だった。



「ん?? 舞衣さんの双子の妹?

 ……

 いや、だまされないぞ!!

 あなたは、舞衣さんのお母さんだ!」


「……ふふふ……

 よくぞ見破りましたね!

 そう! 私こそ、舞衣の母!!

 流石、舞衣に勝つほどの男性ですね!」


 何だこの茶番は……


 実年齢は40歳くらいなのだろうが―

 見た目と行動は両方とも10歳児なみだな……



「お母さん、やめてくれよ。恥ずかしい」

「あら、いいじゃない。いつもの事でしょ」


 いつもこんな事をやっているのか。


 しかし、そっくりだ。

 姉妹に間違われるとは聞いていたが―

 双子(・・)の姉妹に間違われるのか……



「お恥ずかしながら、これがボクの母だ」


 舞衣さんのお母さんは、丁寧に三つ指をついている。



「まあ、立ち話もなんですから、上がって下さい」


 舞衣さんのお母さんは、暗黒微笑を浮かべながら、俺達を迎い入れてくれた。


「お夕飯まだですよね? 食べていってください」


 うーむ、ごく一般的な日本の食卓という感じなのだが……

 テキパキと夕飯の用意する姿は、小学生がお手伝いをしているようにしか見えない。



「まさか、こんなに若いとは思いませんでした」

「あらあらお上手です事、おほほほ」


 いやいや、お世辞じゃないことくらい分かるだろ!


 もうなんだか、おままごとをしているような気分になってきた。



「やはり、舞衣から聞いてたとおり、ものすごい()を感じますね」

()ですか?」


「あ、()って言っても、舞衣と私の間でそう言っているだけなんです」


 舞衣さんは魔法を感じられたりしたから、その事かな?


「こんなに強そうな人なら、私も一度戦ってみたいかも」

「お母さん!」


「分かってますよ~

 そんな怖い顔しなくても、

 年甲斐も、なくそんな事はしませんよ~」



「ところで、お婆さんはいらっしゃらないんですか?」


「そう言えば、うちのお婆さんの話を聞きたいと言うことでしたね。

 今呼んできます」



「こんばんは、舞衣の祖母です」


 現れたのは、普通の人だった。

 品があって、お婆さんと呼ぶには少し若い感じ。


 しかし、この三人を見ていると、どう見てもお婆さんと双子の孫にしか見えない。


「お話は後にして、どうぞ召し上がって下さい」


 俺たちは、勧められるがまま、ご相伴にあずかった。



 幼女お母さんが作ってくれた料理は、どれも『おふくろの味』という感じの美味しい料理だった。

 見た目はアレなのに、こういうところを見ると歳相応の人なんだと感じられるから不思議だ。


 そう言えば、エレナとヒルダはちゃんとご飯を食べてるかな?

 追跡用ビーコンの映像を確認してみると、エレナとヒルダは出前のピザをとって、二人でにょろ~んとチーズを伸ばしながら、美味しそうに食べていた。



 食事を終え、お茶を頂いている所で―


「一息ついた所で、昔話でもしましょうか」


 お婆さんが、そう切り出してきた。



~~~~~~~~~~


 今を去ること丁度40年前……


 若いころのお婆さんが家に帰ろうと、少し薄暗くなった夜道を歩いていると―

 通りかかった雑木林の中から、獣のうめき声のような音が聞こえてきたという。


 とても怖かったのだが、なぜだか無性に気になって―

 恐る恐る、雑木林を覗き込んだ。


 するとそこには―


 ()が居た。


 鬼と言っても、角が1本あるだけで、それ以外は普通の人のように見えた。


 そしてその鬼は、苦しそうにうずくまり、唸っていた。


 更に近づいてみたところ―

 どうやらこの鬼、怪我をしている様子だ。


 お婆さんは、急いで家に返って救急箱を持ってきた。


 お婆さんは当時、看護婦になるための学校に通っていたらしく、すこしばかり看護についての知識があったそうだ。



 お婆さんが鬼を治療しようと近づくと、鬼はお婆さんの知らない言葉を発して威嚇をしてきた。

 それでもお婆さんは、身振り手振りで、何とか治療しようとしていることを伝え、鬼を治療してあげたという。


 そして、お婆さんが治療を終え、帰ろうとすると―

 鬼は急にお婆さんの腕をつかみ、離そうとしない。


 言葉はわからなかったが、一緒にいて欲しいと言うことだと察したお婆さんは、しばらく鬼のそばに居てあげた……



 そして、なんやかんやがあり……

 雄しべと雌しべ的なチョメチョメが……



 いつの間にか寝てしまったお婆さんが目覚めたのは、スズメがチュンチュンさえずる朝だった。



 しかし、鬼の姿は消えていて―

 その場に残されていたものは―


 寝ていたお婆さんの上に布団代わりに掛けられていたマントと―

 何かの皮で作られた紙―

 そしてその紙が飛ばされないように重し代わりに乗せられていたペンダントだった。


 ペンダントには、家紋のようなものが描かれているメダルが付いていた。


 そして紙には、どこの言葉か分からない文字が書き込まれていたという。


~~~~~~~~~~


「私の話は、こんなところです。

 まあ、年寄りの与太話だと思って聞き流して下さい」


 鬼が置いていった物があるのか……

 手がかりになりそうだな。


「残されていた物は、見せていただけますか?」


「ええ、いいですよ」


 お婆さんは、古めかしい木箱を持ってきて、それに入っていた3つの物を見せてくれた。



「失礼して、見させて頂きます」



 先ずは、マント。


┌─<鑑定>────

│【魔王のマント】

│魔王のみ付けることを許されるマント

│レア度:★★★★

└─────────


 うわ!

 もしかしてとは思っていたが、『魔王』かよ!



 次に、ペンダント。

┌─<鑑定>────

│【魔王のペンダント】

│魔王の紋章が描かれたペンダント

│レア度:★★★★

└─────────


 これは、確定的に明らかだな。



 最後に文字が書かれている紙。


 ってか、これは『魔族語』だ!


┏━━━━━━━━━━

┃名も知らぬ人族の少女へ

┃ 傷の治療感謝する。

┃ 俺はもう帰らなければならんが、

┃ 治療のお礼にペンダントを残す。

┃ 困ったことがあれば、

┃ これを持って魔族の街に来い。

┃ 俺が力になってやる。

┃      魔王より

┗━━━━━━━━━━


 なんかマッチョな文章だな。



「この文字が読めるのですか!?」


 お婆さんが驚いている。


「実は、この人と思われる人にあったことがあります。

 今度またその人に会いに行ってきますが―

 これらの写真を撮ってもいいですか?」

「ええ、かまいません」


 俺は、マント、ペンダント、手紙の写真を取らせてもらった。



「もしよろしければ、先方に見せたいので、お婆さんの写真も取らせてもらっていいですか?」

「いいえ、それは勘弁して下さい。

 あの人に、こんな歳をとった姿を見せられません。

 代わりにこれを……」


 お婆さんは、そう言うと、一枚の写真を差し出した。

 お婆さんが二十歳くらいの時の写真だった。


 俺は、お婆さんから写真を預かり―

 魔王に会いに行くことにした。



 しかし、これを魔王に見せたら、どんな顔をするだろう。

 物凄く、楽しみだ!


どうする魔王!


ご感想お待ちしております。

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